【人類の夢】睡眠中に単語を暗記したい!がもしかすると叶うかもしれない。

教育&勉強法, 睡眠時間&質の考察, 考察編

睡眠時に学習したことは記憶に定着するのか?

睡眠 学習 徐波 脳波

睡眠といえば、当ブログではアンチエイジングと結びつけることが多いですが、今回は学習の観点から面白い知見を共有します。

テーマは「寝ながら楽して記憶学習ができないか?」というもの。この分野の研究は面白くて、例えば現段階でも、
 

  • 実際の記憶テストでは良い結果は出なかったが、睡眠中に単語を流したら潜在記憶の動きが脳波で確認された!(#1,#2)
  • いや、徐波ステージでは記憶学習に重要な脳の遺伝子発現が少ないし、アセチルコリンレベルも低いから学習に向いてない!(#3)

 
というように研究者によって主張に食い違いがあったり。徐波とは睡眠時のゆるやかな脳波のことでして、ノンレム睡眠の中でも深い眠りが起こるステージです。
 

 
そして今回共有するのは、2019年にベルン大学が発表した研究(#4)でして、徐波睡眠時の学習は記憶に定着するのか?を調べたもの。ザッと中身を覗いてみると、
 

  • 41名の眠っている被験者を対象に
  • 睡眠学習を行いつつ脳波のタイプを測定する
  • その後起きたら、睡眠時に覚えさせた単語ペアの記憶テストを実施する
  • 被験者のうち15名はテストを受けながらfMRIで脳波を測定する

 
といった内容。要は睡眠時に流れた情報を覚えてられるのか?どの睡眠パターンの時に最も覚えられるのか?を実験したんですね。

とはいえ各々被験者の知っている単語や知識に偏りはあるので、ここでは実際には存在しない単語のペアを組み合わせて覚えさせたようです。例えば、
 

  • tofer = 家
  • aryl = コルク栓
(#4)より引用。
(#4)より引用。
 

こんな感じの単語を計4回ずつ流した様子。そして記憶テストではこれらの単語について、
 

  • この単語の指すモノは靴箱より大きいか?小さいか?

 
を聞いたんですね。つまり「aryl」だとYes、「tofer」だとNoと答えるのが正解。すると結果は、

 

  • 徐波(SWS)時に音声が流れると興奮系の脳波が確認された
  • 2回目の音声再生時の脳波が徐波(SWS)ピーク時と重なると単語の記憶定着率が高かった

 

ということで、徐波(SWS)のピークと2回目の音声再生タイミングが一致していた単語が最も記憶定着率が高かった模様。これは興味深い…!

もし今回の結果が今後他の研究でも得られれば、

・睡眠時、徐波が盛んになる
→反応!
→設定しておいた暗記物を再生する!
→脳が睡眠学習してくれる!
→翌朝頭に入ってる!

というようなチートみたいな機械が世に出回るかも。とはいえまだまだ更なる研究が必要な分野ですので、あくまで可能性の話ですが..。

dummy
赤羽(Akabane)

以上、睡眠学習にまつわる面白い知見でした。いずれ寝ながらにして暗記ができる時代が来るんでしょうか(笑)そうなると巷に溢れる勉強法とかも淘汰されていくのかもしれませんね。期待しつつ、今後の追加研究を楽しみにしておきましょう。

 

参考文献&引用

#1 T.Andrillon, S.Kouider “Implicit memory for words heard during sleep”,Neurosci. Conscious., 2016 (2016), p. niw014.

#2 S.Ruch, T.Koenig, J.Mathis, C.Roth, K. Henke,“Word encoding during sleep is suggested by correlations between word-evoked up-states and post-sleep semantic priming”,Front. Psychol., 5 (2014), p. 1319.

#3 B.J. Leonard, B.L. McNaughton, C.A. Barnes,”Suppression of hippocampal synaptic plasticity during slow-wave sleep” Brain Res., 425 (1987), pp. 174-177.

#4 Marc Alain Züst, Simon Ruch,Roland Wiest,Katharina Henke,“Implicit Vocabulary Learning during Sleep Is Bound to Slow-Wave Peaks” Current Biology,Volume 29, Issue 4, 18 February 2019, Pages 541-553.