赤羽(Akabane)
目次
筋トレを「もう挙がらない..」までやるオールアウトは使えるのか?
- オールアウトは筋肉の運動単位を総動員できて、結果的に筋肉をより多く刺激できる!
- オールアウトはメカニカルストレス(筋肉への直接ダメージ)を高めることができるから、結果的に筋肉への刺激が多くなる!
こうした点も踏まえて、筋トレマニアの間では多く支持されているテクニックですが、一方では、オールアウトはオーバートレーニングやバーンアウト(燃え尽き症候群)を引き起こすリスクがある(#1)みたいな主張もありまして、果たして取り入れるべきなのか判断が難しいところ。
そこで今回はオールアウトと筋力アップの関係についてザっと見ていこうかと思います。
過去のオールアウトと筋力アップの関係を調べた研究の総まとめ!
参考は2016年にシドニー大学が発表したメタ分析(#2,#3)で、オールアウトは筋力アップに追加効果があるか?を調べてくれています。
ザッと中身を覗いてみると、こんな感じです。
- 8件の研究から199名の男女(17~35歳)を対象に、
- オールアウトvs.オールアウトなしの筋トレで筋力アップを比べた
- 実験期間は6~14週間、筋トレは週2~3回で行われた
簡単に言うと、若い男女を対象にオールアウトが本当に筋力アップを高めてくれるのか?を比較したんですね。
すると実験の結果は、以下のようになりました。
- オールアウトをしたグループとしなかったグループでは筋力アップに差がなかった
- ベンチプレスやスクワットなどの複合種目でみても、グループ間で差がなかった
- バイセップカールやレッグエクステンションなどの単一種目でみると、有意ではないがわずかにオールアウトのほうが筋力アップが見られた
どうやら、オールアウトでは追加の筋力アップ効果は見込めないみたいです。これはビックリ..。
細かくみると、単一の部位を鍛える種目(バイセップカールとか)だとわずかにオールアウトが有利だったみたいですが、こちらも取るに足らない差だった、と。ちなみにオールアウトで更なる筋力アップを!が実現しなかった理由については、
- 限界までやらなくても筋力アップに必要な筋肉への刺激は十分与えられている
という主張がもっともらしいですね。要はオールアウトは蛇足である、と。
注意点・まとめ
以上をまとめると、「オールアウトは筋力アップに意味なし!」と言えそうですが、一方で注意点もいくつかありまして、
- 各研究のサンプル数(参加者の数)が少ない
- 8件中4件はトレーニングのボリュームを揃えていない
- 男性のみ対象の研究が大半
- 若者~中年までしか対象にしていない
- 週2~3回の筋トレしか含まれていない
このあたりは押さえておいたほうがよろしいかと思います。特にボリュームについては、筋トレで一番大切だと言われる要素。今回はあまり影響がなかったみたいですが、本来優先して揃えたほうがいい部分なんですね。
また女性や高齢者にも同じことが言えるか?も今回の結果だけではハッキリ言えなさそう。
赤羽(Akabane)
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【筋肥大編】筋トレは「もう挙がらない..」までやるべきか?オールアウトでデカくなれるのか問題の結論は..参考文献&引用
#1 Fry, AC, and Kraemer, WJ. “Resistance exercise overtraining and overreaching.Neuroendocrine responses.” Sports Med. 23: 106-129, 1997.
#2 Davies T, Orr R, Halaki M, Hackett D,”Effect of Training Leading to Repetition Failure on Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis.“,Sports Med. 2016 Apr;46(4):487-502.
#3 Davies T, Orr R, Halaki M, Hackett D,”Erratum to: Effect of Training Leading to Repetition Failure on Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis“,Sports Med. April 2016, Volume 46, Issue 4, pp 605–610.