赤羽(Akabane)
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【筋肥大編】筋トレは「もう挙がらない..」までやるべきか?オールアウトでデカくなれるのか問題の結論は..
これは俗に「オールアウト」と呼ばれるテクニックで、結構昔から筋トレに効果的だと言われています。そのせいか、今ではその界隈で常識みたいになっていますね。
前回は筋力アップ編を書いたので、ここでは「筋肥大編」を見ていきましょう。
【筋力編】筋トレは「もう挙がらない..」までやれ!はどこまで信じていいのか?【オールアウト】筋肥大編:筋トレはオールアウトするべきか?
参考になるのが2019年にヴィクトリア大学が発表したレビュー研究(#1)で、過去の関連研究をまとめて、オールアウトって筋肥大には本当に効果あるの?というテーマを調べてくれています。
では結論、何が分かったのでしょう?いきなり今回のまとめから見ていくとこんな感じでした。
- オールアウトを推奨する研究は確かに幾つかあるが、どれも筋トレのプログラムに大きな欠陥があった
- 結局やるべきかどうか?は週の筋トレ頻度、セット数やレップ数などのボリュームにもかなり影響される
- どちらかと言えば多関節種目(ベンチ、スクワット、デッドリフト等フリーウェイト系に多い)でのオールアウトは神経系への負荷もデカいので避けて、単関節種目で使うのはアリかもしれない
まとめると、オールアウトの筋肥大効果を実証するエビデンスは現時点では弱めで、やるべきか?と言われると「それは週の筋トレ頻度やセット&レップ数とかのボリュームによるかな」という答えになる、と。
ちなみに筋トレプログラムに見つかった欠陥というのは、具体的に「レップ間でも小休憩を挟んでいた」「筋トレのボリュームがオールアウトのグループで多めになっていた」「アイソメトリックス運動(壁押しなど筋肉が収縮伸張しない運動)しかやっていなかった」みたいな感じ。
週の筋トレ頻度やセット、レップ数に左右されるというのは、オールアウトは翌日以降にダメージがかなり溜まるからです。2017年の研究(#2)でも、1種目6レップ×5セットと10レップ×3セットで回数を揃えつつセット当たりのレップ数だけを変えた実験の結果、10×3のほうで1~2日後まで筋肉の疲労物質が蓄積して回復が遅れていたという報告が上がっています。ここから言えるのは、週に何度か同じ部位を鍛える場合、オールアウトはパフォーマンス低下に繋がるから避けたほうがいいということです。
注意点・まとめ
ただし現状には幾つか注意点もあって、以下のような点は押さえておくと良さそうです。
- 筋トレ初心者対象の研究が多い:当然初心者と経験者では効率も体の造りも違うので、同じプログラムをやっても結果に違いが出てくる
- 研究間で筋トレプログラムの内容は違う:これは仕方ないですが、内容によって結果も当然変わってきます。これについては色々な筋トレプログラムの実験を沢山行って統計的におおよそのあたりをつけるしかありませんが、現状ではその研究数も少ないといったところ
- ボリュームを考慮していない研究が多い:ボリュームは筋トレの効果を左右する大事な要素。オールアウトをするグループ、しないグループで分けた時に、グループ間でなるべく筋トレの量は揃えたほうが参考になるデータとなります。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- オールアウトの筋肥大効果にはあまり強固なエビデンスはなかった
- やるべきかどうか?は同じ部位を週に複数回鍛えない、各部位は週1回ずつだ、という場合はやってみてもいいかも
- ハッキリした裏付けはないが、オールアウトは多関節種目では避けて単関節種目で使うといいかもしれない
こんな感じでしょうか。総合するとオールアウトの筋肥大効果はパッとしませんでしたが、細かく条件を見ていくと試してみてもいいかな?というケースもありました。
赤羽(Akabane)
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#1 Schoenfeld, Brad Jon; Grgic, Jozo MS. Does Training to Failure Maximize Muscle Hypertrophy? Strength & Conditioning Journal: October 2019, Volume 41, Issue 5, p 108–113.
#2 Morán-Navarro R, Pérez CE, Mora-Rodríguez R, et al. Time course of recovery following resistance training leading or not to failure. Eur. J. Appl. Physiol. 117: 2387-2399, 2017.