赤羽(Akabane)
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痩せる脂肪「褐色・ベージュ脂肪細胞」を増やす6つの成分・食品
褐色・ベージュ脂肪細胞は脂肪細胞の一種で、TVなどメディアでよく「痩せる脂肪」として取り上げられているやつですね。
これを聞くと、痩せる脂肪ってどうやって増やせるの?という点が気になるところですが、この記事では特定の成分や食品をいくつかピックアップしていきます。
褐色・ベージュ脂肪細胞を増やす6つの成分・食品
参考は2019年にパドヴァ大学が発表したレビュー研究(#1)で、褐色・ベージュ脂肪細胞を増やす成分や食品をリストアップしてくれていました。
では早速6つの有力候補を確認していきましょう。
カプサイシン
トウガラシ属の唐辛子で有名なアルカロイドの一種で、辛味成分として色々な料理で使われています。
カプサイシンは脂質酸化やエネルギー消費など代謝面で注目されていて、ヒトを対象にしたいくつかの実験でも褐色脂肪細胞を活性化して脂肪燃焼を促進する効果が確認されています。
メカニズムとしては、感覚神経に存在する「TRPV1」というイオンチャネルがカプサイシンの辛み成分で活性化したり、プチ断食や運動などの若返りに関係しているサーチュイン遺伝子を活性化させたり、といった経路が挙がっているようです。
レスベラトロール
最近注目されているポリフェノールの一種で、ぶどうやベリー類、ピーナッツなどに含まれていて、強力な抗酸化作用を持っています。
レスベラトロールが白色脂肪細胞を褐色化してくれる!という動物実験が幾つか報告されていて、プチ断食や運動などの若返りに関係しているサーチュイン遺伝子を褐色脂肪細胞内で活性化することで、脂肪の燃焼効率を高めることが分かっています。

クルクミン
ウコンでおなじみ、ターメリックの根っこなどに豊富な黄色いポリフェノールの一種です。
クルクミンは白色脂肪細胞内でベージュ脂肪の発現を促進したり、褐色脂肪を増やしたりする効果が主に動物実験で確認されていて、経路には、体内のエネルギーのセンサーとも呼ばれる「AMPK」の活性化が挙げられています。

緑茶
カメリアシネンシスの葉から抽出した日本ではお馴染みの緑茶です。茶カテキンと総称される、強力な抗酸化作用を持つポリフェノールが豊富な健康食品ですね。
緑茶にも脂肪燃焼効果があるかも..?と言われていて、ヒトを対象にした幾つかの実験でも、減量効果や脂質酸化の促進効果が確認されています。メカニズムとしては、カフェインや茶カテキンの力が合わさってアドレナリンに関わる経路から褐色脂肪細胞の燃焼を促進すると考えられていますが、この辺りはまだ現段階で賛否が分かれています。

メントール
環式モノテルペンという有機化合物の一種で、ペパーミントから抽出される成分です。
メントールは主に動物実験でベージュ・褐色脂肪細胞の発現を促進する効果が確認されています。メントールのあの冷たい感覚に関わっている「TRPM8」というイオンチャネルの活性化によって、褐色細胞内のミトコンドリアに存在する脱共役タンパク質(UCP1)を刺激する、という経路が挙げられています。
オメガ3脂肪酸
サーモンや鯖など魚の油として有名な脂肪酸の一種で、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコペンタエン酸(EPA)などが挙げられます。
オメガ3を含むフィッシュオイルサプリで、褐色脂肪内の脱共役タンパク質(UCP1)を増やしたり、逆に内臓の白色脂肪を減らしたりといった効果が動物実験で確認されています。
またEPAには白色脂肪をベージュ脂肪細胞に変える効果があるかも?とされていますが、この点はまだヒトでの検証データが少ない状態みたいです。

注意点・まとめ
今回候補に挙がった6つは、どれも近年注目されている健康成分・食品で、体に良いものは脂肪燃焼にも効くんだなあと思いました。
ただし注意点としては、どの候補もまだ検証の質も量も足りていない印象があります。どれも動物実験では十分なエビデンスがあるようですが、次はヒトを対象にした質の高い研究でも更に検証される必要があるかと思います。
赤羽(Akabane)

参考文献&引用
#1 Hamza El Hadi, et al. Food Ingredients Involved in White-to-Brown Adipose Tissue Conversion and in Calorie Burning. Front. Physiol., 11 January 2019.