【File.2】アニメの登場人物を心理学的に分析してみた。『宇宙よりも遠い場所』2話 高校に行かず一生懸命働く日向

赤羽(Akabane)

※ネタバレ注意です。

 宇宙よりも遠い場所第2話「歌舞伎町フリーマントル」

番組公式Twitterメディアより引用

この第2話はキマリと報瀬が「南極」という同じ方向に向かって歩き出した直後でしたね。このタイミングで新メンバーの日向が加入します。

明るくてしっかり者、三宅日向(みやけひなた)

番組公式Twitterメディアより引用

キマリと同い年で、高校二年生の代ですね。

作中でも出てきますが、日向は中学卒業後高校は中退して、大学に向けてバイトをしてお金を貯めています。明るい性格が表立っていますが、時折しっかり者な一面も窺えます。

個人的に作品の中では、この日向ちゃんが一番好きです。

 アドラー心理学にみる、日向のひた向きな頑張り

番組公式Twitterメディアより引用

取り上げるシーンは・・

今回取り上げたいのはこのシーン。南極に行く資金繰りのためにバイトを始めたキマリでしたが、偶々そのバイト先が日向と一緒に。日向は前からキマリと報瀬のことを知っていたようで、「わたしも南極行きたい!」と名乗りを上げます。そして日向は初めて報瀬と会って話している最中です。

勉強は絶対負けないから。公認も取ってるし、この前の模試は合格判定Aだし。

合格しまくって、高校で怠けて落ちたやつらにざまあみろって言うのが、今んところの夢。

こうやって文字起こししてみると過激に見えますが、実際は明るい口調ですし、そんな嫌味な子ではないことだけ念押しさせてください(笑)

ちなみにこれは、報瀬に南極に行くための時間とお金について聞かれたときに「高校には行ってなくてバイトもずっとしているからお金も問題ない」ということを説明している場面ですね。

「中卒だからって、勉強は負けないぞ!」という気概が感じられますね。同時に、すかさず上のようなセリフが口をついて出た様子から、”中卒”の肩書きに少なからず劣等感を感じているようにも見えました。

この感情は悪いものなのでしょうか・・・?

最近人気のアドラー心理学の観点から・・

「現代心理学の父」と名高いアルフレッド・アドラー先生は、劣等感という感情について、人間が成長していく上で健全なものとしています。(#1)他の誰かに何かで負けたくないという気持ちは人間のホメオスタシス(恒常性)に反して「変わろう」、「頑張ろう」、「負けてたまるか」という気持ちを巻き起こしてくれます。

となると、日向の劣等感は健全なもので日向自身をいい方向へ向かわせてくれる原動力になっていると言えそうですね。現にコンビニのバイトだけではなく、勉強もスポーツも頑張っている”できる女”な描写が見られます。

一方でアドラーによると、これはダメだという劣等感もあるようです。

  • 劣等コンプレックス(Inferiority Complex)
  • 優越コンプレックス(Superiority Complex)

簡単に言うと、「劣等コンプレックス」は劣等感に押しつぶされてしまうことです。

一方で「優越コンプレックス」は劣等感から逃れる術として自分より下を見つけて安心することです。

これら2つに共通しているのは劣等感をプラスの方向に活かせていない点です。そしてこれらはコインの表裏のようなもの。劣等感と優越感という、一見真逆の感情を抱いているのに、実はどちらも劣等感をスタートとしているのがわかりますね。もしかしたら、優越感に浸っている人は本当は劣等感に苛まれまくっているのかもしれません。

番組公式Twitterメディアより引用

赤羽(Akabane)

日向の毎回の名言・格言はこのアニメの見どころの一つです(笑)
【File.1】アニメの登場人物を心理学的に分析してみた。『宇宙よりも遠い場所』5話 キマリとめぐっちゃんの関係性

参考文献&引用

#1 アルフレッド・アドラーの優越・劣等コンプレックスについては

Henry T. Stein,”Alfred Adler Institute of Northwestern Washington”,2011.

#「宇宙よりも遠い場所」公式Twitter

https://twitter.com/yorimoi(2018年2月1日アクセス)