「クルクミンは体内で全然吸収されない」って本当?吸収率を上げて効果を高める5つの有望株とは?

「クルクミンは体内で全然吸収されない」って本当?吸収率を上げて効果を高める5つの有望株とは?

赤羽(Akabane)

今回は「クルクミンは体内で全然吸収されない」問題についてのお話です。

「クルクミンは体内で全然吸収されない」って本当?吸収率を上げて効果を高める5つの有望株とは?

クルクミンはポリフェノールの一種で、「ウコン」やカレー粉に含まれるスパイス「ターメリック」で有名です。強力な抗酸化作用もあって、アンチエイジングにも重宝される成分なんですね。

ただこのクルクミン、体内での利用率や吸収率があまりよろしくないと専らの噂。まずはこの問題について、原因など諸々を見ていったあと、現時点で有望な5つの摂取方法を見ていきましょう。

クルクミンは体内で上手く利用できない!その要因と最近の解決策は?

参考になるのが、2017年にベイラー・ユニバーシティ・メディカル・センターが発表したレビュー研究(#1)で、クルクミンの体内で上手く使えない!問題について詳しくまとめてくれています。

まずこの研究では、ザッと以下の4つをテーマにしています。

  1. クルクミンの体内利用率だけが大事な要素なのか?
  2. もしそうなら、クルクミンで効果が報告されている多くの臨時試験の結果は何なのか?
  3. どうしてクルクミンの体内利用率アップは、必ずしもクルクミンの生体活性につながらないのか?
  4. 上の3つが合理的でないなら、何がクルクミンの生体活性を高める要素なのか?

どれも核心を突く感じで良いですね。では早速クルクミンの体内利用率が悪い要因から見ていきましょう。

クルクミンの体内利用率が悪い3つの要因

クルクミンの体内利用率が悪いのは、次の3つの要因が関係しています。

  • 水に溶けにくい(疎水性)
  • 吸収されにくい
  • 広範囲にわたって分子が代謝転換される

実際に多くに動物実験やヒトを対象にした臨床試験でも、クルクミンは飲んだ量に対して体内で使われてる率がかなり少ないことがわかっています。

こうなると「クルクミンは体内でうまく使われないし、意味ないの?」という話になりますが、実はそうでもありません。動物実験やヒトを対象に、クルクミンによるメリットが報告されているケースも少なくないからです。

ではどうやってクルクミンは効果を発揮してるんでしょう?実はここでポイントになってくるのは、クルクミン本体ではなく、その代謝産生物かもしれないようです。

クルクミンの体内利用率の悪さで全部片付けられるなら、そもそも実際の試験で効果は確認できないはずですので…。

クルクミンの代謝産生物がメリットをもたらしていた?

例えば「テトラヒドロキシクルクミン」というクルクミンの類縁体にあたる物質があります。これは幾つかの動物実験(#2 , #3)で酸化ストレスを和らげる効果が確認されていますね。

また他にも、クルクミンが分解された「フェルラ酸」や「バリニン」などにも、クルクミンと同じような効果が見込めるという報告(#4, #5)もあったりします。

ただこの問題は今も議論が続いていて、「代謝物はクルクミンより活性が低いんでは?」との主張もあれば、「クルクミンより高い生体活性がある!」との主張も。クルクミンが真価を発揮する一つの可能性としては、ままあり得る話かと思います。

次に肝心なポイント「クルクミンを効率良く摂るための方法」についてザッと見ていきましょう。

結局、クルクミンを効率良く摂る方法はないの?現時点での5つの有望株

「クルクミンは体内で上手く使えない!」ということが分かってから、なんとか出来ないか?ということで色々な方法が試されてきました。

ここでは大きく5つの方法を紹介します。

バイオペリンクルクミン

これは参考文献のレビュー研究にはちょっとしか載ってなかったですが、黒コショウに含まれる「ピぺリン」と一緒にクルクミンを摂る方法です。

ピぺリンはクルクミンをそのままの形態で運んでくれて、結果的に体内利用率や吸収率を高めることが分かっています。つまり一緒に摂れば効率よくクルクミンを活用できるということですね。

AmazonやiHerbを見ていても、この製法で吸収率を高めたクルクミンサプリがちらほら見られます。色々調べていて評判が高いのがこの商品でしょうか。


ナノ粒子クルクミン

最もポピュラーな方法の一つ「ナノ粒子化」です。クルクミンをナノ粒子カプセルに詰めたりして飲むんですが、これが体内利用率を上げたりするのに良いようです。

生体外実験や動物実験がほとんどですが、クルクミンのメインターゲットであるガン腫瘍以外にも、あらゆる疾患への効果が報告されています。

日本でも「セラクルミン」というサプリが出ていて、これは正にナノ粒子化したクルクミンですね。


リポソーム製クルクミン

クルクミンのように水に溶けにくい物質の吸収率を上げる良い解決策、それが「リポソーム」です。

リポソームの層で包むことで、疎水性の物質でも水に溶けやすくなって、体内利用率も上がるんですね。

実際に、元のクルクミンと比べて、前立腺がん細胞の生成を防ぐのにたった1/10の量で同等の効果を発揮できたとの報告(#6)もあるようです。


エッセンシャルオイルコーティングのクルクミン

これは、ターメリックの根っこを蒸留して抽出したエッセンシャルオイルとクルクミンをブレンドするという方法です。

こうして自然に作られたクルクミンは、7〜10倍の体内利用率を誇る(#7)とも言われていて、体内でもゆっくり吸収されるので長く留まり続けます。

効果が他の方法に勝るかは不明ですが、現時点では最も安心して使える解決策ではなかろうかと思います。「BCM-95」と表記されているものはこの製法で作られているみたいなので、とりあえずコレでしょうか。


クルクミンの類縁体

例えば「二フッ素化クルクミン」という物質は、元のクルクミンよりも安定性が高くて、実際に体内で腫瘍が生成されるのを抑える働き(#8)が確認されたようです。

注意点・まとめ

現時点で、クルクミン論争の問題と課題をまとめてみましょう。

注意
  • クルクミン自体が不安定なので正確な検出が難しい
  • 体内でクルクミンとして留まる時間が短くて検出のタイミングも難しい
  • 代謝物の効果を知りたいのに、そもそもクルクミンの代謝物まで調べた研究が全然ない

クルクミンの特性上の問題と、これまでの研究の課題がありますね。今後は、実際に体内でどのくらいの容量がある時に、どのくらい活性するのか?の両方からアプローチしたヒト対象の研究がもっと出てくると良いですね。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • クルクミンは確かに体内で上手く利用されにくい
  • 一方で幾つかの研究で効果が報告されているが、これはクルクミンの代謝物などが貢献してるのかも
  • 全体的に質の高い研究はまだ少ないが、効率よく摂る方法は幾つか登場している

こんな感じでしょうか。わからないことのほうが多くて、今のところどの解決策&サプリがベターなのか?もハッキリ断言はできない印象です。ただひとまず言えるのは、元のクルクミンを飲むよりは、上で紹介した効率アップ版のサプリを試してみたほうが良いということですね。

赤羽(Akabane)

一応、各有望株で紹介しているサプリはどれも吸収率や利用率の面はクリアしているので、試す価値はあるかと思います。アンチエイジングはもちろん、お酒の飲みすぎで肝臓をちょっとは労わりたい..そんな方にもおすすめです。

紹介したクルクミンサプリまとめ

参考文献&引用

#1 Toden, Shusuke; Goel, Ajay. The Holy Grail of Curcumin and its Efficacy in Various Diseases: Is Bioavailability Truly a Big Concern? Journal of Restorative Medicine, Volume 6, Number 1, 4 December 2017, pp. 27-36(10).

#2 Khopde SM, Priyadarsini KI, Guha SN, et al. Inhibition of radiation-induced lipid peroxidation by tetrahydrocurcumin: possible mechanisms by pulse radiolysis. Biosci Biotechnol Biochem. 2000; 64(3):503–9.

#3 Okada K, Wangpoengtrakul C, Tanaka T, et al. Curcumin and especially tetrahydrocurcumin ameliorate oxidative stress-induced renal injury in mice. J Nutr. 2001; 131(8):2090–5.

#4 Ji HF, Shen L. Can improving bioavailability improve the bioactivity of curcumin? Trends Pharmacol Sci. 2014; 35:265–6.

#5 Sultana R. Ferulic acid ethyl ester as a potential therapy in neurodegenerative disorders. Biochim Biophys Acta. 2012; 1822(5):748–52.

#6 Thangapazham RL, Puri A, Tele S, et al. Evaluation of a nanotechnology-based carrier for delivery of curcumin in prostate cancer cells. Int J Oncol. 2008; 32(5):1119–23.

#7 Shishu, Maheshwari M. Comparative bioavailability of curcumin, tumeric, and BiocurcumaxTM in traditional vehicles using non-everted rat intestinal sac model. J Funct Foods. 2010; 2:60–5.

#8 Bao B, Ali S, Banerjee S, et al. Curcumin analogue CDF inhibits pancreatic tumor growth by switching on suppressor microRNAs and attenuating EZH2 expression. Cancer Res. 2012; 72(1):335–45.