目次
たった2週間のセルフコンパッショントレーニングで自己肯定感がアップ、不安やうつ症状まで改善した?!
今回は「短期間のセルフコンパッションでもかなり効果あるかもよ?」というお話です。
セルフコンパッションとは「自分に今より少し優しく接する」ことで、メインはついつい自分を責める癖があったり、無茶しすぎたりする方にフォーカスしたトレーニングになります。
詳しいやり方は記事最後のリンクをご覧ください。一旦先へ進みましょう。
たった2週間のセルフコンパッションプログラムであらゆるメンタルの問題が改善?
「短期間のセルフコンパッショントレーニングをしたらどのくらい効果出るの?」この問題については、2017年にベルゲン大学が発表したRCT(#1)が参考になりそうです。
これは158名の大学生(平均25歳、女性8.5割)を対象に、2週間のセルフコンパッションプログラムで彼らのメンタルの問題は改善するか?を調べたもので、まず彼らを次の2グループにランダム分けしました。
- セルフコンパッション(69名):90分のセッションを期間中に3回行う。内容はセルフコンパッションだけでなくマインドフルネスも含まれた
- 何もしない(69名):倫理的な問題を解消するため、実験終了後にこちらも同じプログラムを受けるが、実験中は何もない
で実験前後で普段のネガティブ思考や不安、うつ症状レベルなどをチェックして、実験によってどのくらい改善しているか?を見ていったんですね。
すると結果、こんなことが分かりました。
- セルフコンパッションでネガティブな思考が減って自己肯定感が増した
- 不安やうつ症状レベルも改善した
- マインドフルネス、セルフコンパッションのレベルも上がった
ここから言えるのは、たった2週間でもセルフコンパッションは我々のネガティブな思考のクセを正したり、結果として不安感やうつ症状を改善してくれるということ。
しかもこの効果は、セッションを終えた後も6ヵ月後までずっと続いていたみたいです。つまり効果は長続きするかもしれない、と。
注意点・まとめ
ただ注意点もあって、今回の実験でセルフコンパッションのセッションを主導したのは研究者たちでした。つまり、結果が良い方に転がるよう「内集団バイアス」が働いている可能性があるかも!ということ。
また他にも、参加者は女性が大半だったり、自主的な応募によって集まってたりします。そうなると、当然参加者たちはやる気があって応募しているので、これまた結果が良い方に転びやすいですね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- セルフコンパッションは「今より少し自分に優しくする」こと
- 2週間のセルフコンパッションプログラムで参加者の自己肯定感から不安、うつ症状まで改善した
- 他の研究とあわせれば、効果は見込んで良さそう
こんな感じでしょうか。今回の結果だけでは心もとないものの、一応2019年にはメタ分析(#2)も出ていて、セルフコンパッション自体の効果は実証されています。
赤羽(Akabane)
セルフコンパッションについてはこちらもどうぞ
【8つのエクササイズ】その道のスペシャリストに聞く!「セルフコンパッション」の鍛え方とは?嫌いな自分も受け容れる!認知行動療法の分家『CFT(コンパッション・フォーカスト・セラピー)』で人生満足度を上げよう。あなたは自分に優しい?論文研究で一番使われているセルフコンパッション診断テスト「SCS 26問」をやってみよう参考文献&引用
#1 Dundas I, Binder PE, Hansen TGB, Stige SH. Does a short self-compassion intervention for students increase healthy self-regulation? A randomized control trial. Scand J Psychol. 2017 Oct;58(5):443-450.
#2 Alexander C. Wilson, Kate Mackintosh, Kevin Power,Stella W. Y. Chan. Effectiveness of Self-Compassion Related Therapies: a Systematic Review and Meta-analysis. Mindfulness, June 2019, Volume 10, Issue 6, pp 979–995.