赤羽(Akabane)
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荒廃した腸内環境を立て直すキーワード「FODMAPs」とは?
「FODMAPs」については何回かに区切ってやっていこうと思っています。ここではまず「FODMAPs」って何ぞや?というポイントだけでも押さえておきましょう。
「FODMAPs」の定義と目的
「FODMAPs(フォドマップ)」は元々オーストラリアのモナッシュ大学が発明した腸に優しい食事区分のことで、2010年に発表された研究(#1)が参考になります。
「FODMAPs」とは、「Fermentable(発酵性)」「Oligosaccharides(オリゴ糖)」「Disaccharides(二糖類)」「Monosaccharides(単糖類)」「Polyols(ポリオール)」の頭文字を取った名称で、短鎖炭水化物や糖アルコールのグループを表したものである。[筆者訳](#1)
これだけではいまいちピンとこないかもしれませんが、FODMAPsに分類されるモノにはこんな特徴があります。
- 小腸で吸収されにくい:腸内環境が敏感になっていたり荒れてたりすると負担になる
- 腸内の浸透圧を高める作用がある:腸内の水分を増やしてお腹を緩くする
- バクテリアによって素早く発酵される:炭水化物の結合数が少ない(=短鎖)ので、その分発酵スピードが速くて、お腹にガスが溜まりやすくなる
どれも腸が敏感だったり荒れてたりする場合には、更に症状を悪化させ兼ねないモノばかりです。つまり「FODMAPs」は腸内環境がよろしくない場合に減らしたほうが良いモノを分かり易くまとめたものなんだ、と。
でこうした理由から、IBS(腸過敏性症候群)の患者などに向けて推奨されているのが、上で挙げたリスクを徹底的に減らした「低FODMAPs食」なんですね。
ということで今回は一旦終わり。最後にポイントをザっと見ていきましょう。
- 「FODMAPs」は「Fermentable(発酵性)」「Oligosaccharides(オリゴ糖)」「Disaccharides(二糖類)」「Monosaccharides(単糖類)」「Polyols(ポリオール)」の頭文字を取ったもの
- これらは腸内環境が荒れているor敏感な時には逆に症状を悪化させる
- こうした条件に当てはまる人に推奨されるのが「低FODMAPs食」
- ただし腸内環境に問題がない方が摂る分には健康的なメリットが大きい
この辺りを押さえておくとよろしいかと思います。大事なポイントは、「FODMAPs」は摂る人の腸内コンディションによって良い方にも悪い方にも働くよ、という点。
いかんせん、FODMAPsには健康の代表格「食物繊維」なんかもバッチリ含まれますので。慢性腎臓病が進行した患者に高カリウムな野菜がかえって危険なのと同じように、食物繊維も腸が弱った方には逆効果だ、と。
赤羽(Akabane)
壊れた腸内環境を立て直す「FODMAPs」次号
荒れ果てた腸内環境の救世主「低FODMAPs食」のNG食品・OK食品一覧参考文献&引用
#1 Peter R Gibson Susan J Shepherd. Evidence‐based dietary management of functional gastrointestinal symptoms: The FODMAP approach. Journal of Gastroenterology and Hepatology Volume25, Issue2, February 2010, Pages 252-258.