赤羽(Akabane)
目次
荒廃した腸内環境に救いの手を「低FODMAPs食」
「FODMAPs(フォドマップ)」については前章でザックリ説明しておりますが、一応ここでも軽くおさらいしておきます。
「FODMAPs」とは、「Fermentable(発酵性)」「Oligosaccharides(オリゴ糖)」「Disaccharides(二糖類)」「Monosaccharides(単糖類)」「Polyols(ポリオール)」の頭文字を取った名称で、短鎖炭水化物や糖アルコールのグループを表したものである。[筆者訳](#1)
これだけだとあまりピンときませんが、要はこうした炭水化物の仲間たちは消化吸収が大変だったり、腸内でガスを発生させやすかったりで、腸内環境が最悪な人にとってはよろしくないモノなんですね。
で荒れ果ててしまった腸内環境を復旧するために、これから紹介する「低FODMAPs食」が効果てき面だ!と。

「低FODMAPs食」で食べても良い食品・避けるべき食品とは?
では本題に入ります。今回も2010年にモナッシュ大学が発表した研究など(#1,#2)を参考にしていきましょう。
この研究では野菜や果物をはじめ、あらゆる食品の「FODMAPs」を調べて、これが多い食品と少ない食品に分類してくれています。
では早速大まかなリストを見てみましょう。
「低FODMAPs食」で避けるべき食品
- リンゴ、ナシ、桃、マンゴー、スナップエンドウ、スイカ、フルーツ缶詰全般、ドライフルーツ、フルーツジュース、ランブータン、ライチ、ネクタリン、サクランボ、プラム、プルーン
- アーティチョーク、アスパラガス、カブ、芽キャベツ、ブロッコリー、キャベツ、フェンネル、ニンニク、ニラ、オクラ、玉ねぎ、シャロット、アボカド、カリフラワー、マッシュルーム
- ひよこ豆、レンズ豆、金時豆、ベイクドビーンズ
- カシューナッツ、ピスタチオ
- ハチミツ、果糖、果糖ブドウ糖液糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト、その他糖アルコール類、人工甘味料全般
- アイスクリーム、ヨーグルト(低脂肪も×)、リコッタチーズ、コッテージチーズ、小麦&ライ麦(パンやパスタ、ビスケット、クラッカー等)、大麦
「低FODMAPs食」で食べても良い食品(代替案)
- 卵、魚介類、赤肉全般、鶏肉
- バナナ、ブルーベリー、スターフルーツ、ドリアン、グレープフルーツ、ブドウ、ハネデューメロン、キウイ、レモン、ライム、マンダリン、オレンジ、パッションフルーツ、ポーポー、ラズベリー、ロックメロン、イチゴ、タンジェロ
- タケノコ、ニンジン、セロリ、トウガラシ、チンゲンサイ、サイシン、コーン、ナス、サヤインゲン、レタス、エゾネギ、パースニップ、カボチャ、ビートルート、ワケギ、トマト
- 豆乳、豆腐
- マカデミアナッツ、ピーナッツ、パンプキンシード、ウォルナット
- メープルシロップ、ゴールデンシロップ、ブドウ糖
- 乳製品は「乳糖不使用」のモノ、シリアル系は「グルテンフリー」のモノ、ブリーチーズ、カマンベールチーズ、ジェラート、シャーベット、バター
細かいし、制限もかなり厳しいですね。一応、FODMAPsでややこしい野菜と果物の区分は日本人に馴染みのある食品でサクッと図解してみましたので、よろしければご参考までに。
低FODMAPs食の始め方
ザックリとOK食品・NG食品の違いが分かったところで、次は実際に「低FODMAPs食」を始めよう!というところ。
始め方についてはモナッシュ大学の特設ページ(#2)にも説明があって、こちらの内容を参考に見ていきましょう。
フェーズ1:低FODMAPs食完全移行
2~6週間で、上に挙げた「低FODMAPs食」に完全切り替えする。食事は偏ることなく色々な食品群から摂取することを心がけましょう。
フェーズ2:FODMAPs再導入
8~12週間の期間で、次の制限を開放してみる。
- FODMAPsを一度の食事で一つずつ解禁
- 一つずつ高FODMAPsの食品を解禁
- 3日間以上これを続けてみる
これで徐々に自分が大丈夫な範囲を探っていく感じですね。そして問題なさそうなら解禁した食品の量も増やしてみます。
フェーズ3:FODMAPs個人化カスタマイズ
ここまでくれば、自分が何を食べて良いのか?ダメなのか?がわかってきます。こうした食品のバランスを許容できる範囲で保っていきましょう。
まとめ
ザっとこんな感じです。最初は上で挙げたあの膨大な食事制限ガイドラインを守りつつ、少しずつ制限を緩くしていきます。そしてちょっとずつ「自分にとってベストな制限レべル」を探していくんですね。
個人的にこのやり方は、エンジニアがエラーの原因を広く山勘で探って範囲を狭めながら特定していくのに似ているなぁ、なんて思いました(笑)
赤羽(Akabane)
壊れた腸内環境を立て直す「FODMAPs」次号

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参考文献&引用
#1 Peter R Gibson Susan J Shepherd. Evidence‐based dietary management of functional gastrointestinal symptoms: The FODMAP approach. Journal of Gastroenterology and Hepatology Volume25, Issue2, February 2010, Pages 252-258.
#2 Monash University. The Low FODMAP Diet. accessed on 2nd July 2019.