赤羽(Akabane)
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昆虫は優秀なたんぱく質源なのか?筋力と筋肉量への効果は..
早速ですが、この問題について参考になる研究を見ていきましょう。
昆虫プロテイン vs. 炭水化物!筋トレの成果はどう変わる?
これは2018年にオーフス大学が発表した研究(#1)で、18名の健康な男性(平均24.2歳、過去に筋トレ経験はあり)を対象に、昆虫プロテインの効果を調べたもの。
具体的には、参加者らに週4回ペースの筋トレを行ってもらいつつ、ランダムに次のようなグループに分けられました。
- インセクトプロテイン(9名):昆虫のたんぱく質0.4g/体重kgが含まれるバーをトレーニング1時間後と寝る1時間前に食べる(トレーニング日のみ)
- 炭水化物(9名):カロリー総量をインセクトと揃えた炭水化物バーを同じタイミングで食べる
で食事の内容は3日ごとにチェックして、実験前後の筋肉量や筋力アップを比較したんですね。
ちなみに筋トレの中身は、大きく上半身、下半身のトレーニングで分かれていて、ベンチプレスやレッグプレスなどメジャーどころを押さえつつ、全身満遍なく鍛えられる感じでした。
でこうした実験を8週間行った結果、こんなことが分かりました。
インセクト vs. 炭水化物
- 筋肉量は両グループで同様にアップした(+2.7kg vs. +2.5kg)
- ベンチプレスの1RMも同様にアップした(+8.1kg vs. +13.8kg)
- レッグプレスの1RMも同様にアップした(+36.6kg vs. +42.0kg)
ここから言えるのは、インセクトプロテインは炭水化物と筋トレの成果に大差なし!ということ。どちらも同様に筋肉量、筋力ともにアップしていました。
ではどうして違いが出なかったのでしょう?考えられる要因は、たんぱく質の総摂取量が両者であまり変わらなかったからかと。炭水化物グループもバー以外のところでちゃんとたんぱく質を補っていた、と。
とはいえ、全体的に2か月弱とは思えない成長ぶりですね。これにはトレーニングや栄養摂取が割としっかりしていた点と、参加者が実験時点でトレーニングをしていなかった点で伸びしろが大きかったからだと考えられます。
注意点・まとめ
ただし今回の研究はまだ初歩段階です。男性しか対象にしていなかったり、サンプル数も少なめ。おまけに、バー以外の食事やトレーニングのタイミングなども特に指定なしで実験デザインは緩めです。
以上を踏まえて今回の内容をまとめると、
- 昆虫のたんぱく質は炭水化物と比べて特に筋肉への効果が優れたわけではなかった
- 両者でたんぱく質の摂取量が同じくらいだったので、結局たんぱく質の量のほうが大事かも
- 昆虫プロテインが普及したら飲んでみてもよさそう
こんな感じでしょうか。今回は他の食事面などのルールが緩かったんで、あまり参考になりませんでしたね。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Vangsoe MT, Joergensen MS, Heckmann LL, Hansen M. Effects of Insect Protein Supplementation during Resistance Training on Changes in Muscle Mass and Strength in Young Men. Nutrients. 2018 Mar 10;10(3). pii: E335.