【メカニズムも解説】乳製品はニキビの原因だ!はどこまで本当なのか?【牛乳、チーズ、ヨーグルト】

【メカニズムも解説】乳製品はニキビの原因だ!は本当なのか?【牛乳、チーズ、ヨーグルト】

赤羽(Akabane)

今回は「乳製品でニキビはできやすくなるの?」という問題についてのお話です。

乳製品はニキビの原因だ!は本当なのか?そのメカニズムは?

ではまずどういうことなのか?説の根拠を見ていきましょう。

乳製品とニキビの関係をつなぐメカニズム

「乳製品でニキビができやすくなる!」という説のメカニズムは、

  • インスリン様成長因子-1(IGF-1):成長に欠かせないホルモンの一種で、乳製品に含まれるIGF-1(やIGF-2)が皮脂の産生を促進してニキビの発生リスクを高める
  • ジヒドロテストステロン(DHT):男性ホルモン「テストステロン」が酵素反応で変換したもので、牛乳などに多く含まれる。同じく皮脂の産生を促進してニキビの発生リスクを高める
  • mTORC1というシグナル伝達回路を活性化させる:これはザックリ「細胞の成長を調整する回路」で、この回路はニキビ発生と深く関わっている。乳製品がIGFシグナルやインスリンの分泌を促進することで活性する

ザっとこんな感じで挙げられます。どれもままあり得る話で、エビデンスも豊富ですが、実際のところどうなんでしょう?

乳製品はニキビの発生リスクを高めるのか?大規模研究の結果…

ではまず「乳製品」の大きなくくりで見ていきましょう。

参考になるのが、2018年にデンマークの大学教授らが発表したメタ分析(#1)で、14件の観察研究から78529名の子どもから大人まで(7~30歳)を対象に、乳製品とニキビの関係を調べたものです。

具体的には、乳製品の種類別、摂取量別でニキビの発生リスクを調べていて、比較は【乳製品を食べる群 vs. 乳製品を普段食べない群】という感じ。

ではこの結果、何が分かったんでしょうか?ザっとリスト形式で見ていきましょう。

食べる群 vs. 食べない群
  • 全体的にみるとニキビ発生リスクが25%高かった(95% CI: 1.15–1.36)
  • 全乳の乳製品でみると22%高かった(95% CI: 1.08–1.38)
  • 牛乳全体でみると28%高かった(95% CI: 1.13–1.44)
  • 全乳でみると22%高かった(95% CI: 1.06–1.41)
  • 低脂肪乳/スキムミルクでみると32%高かった(95% CI: 1.16–1.52)
  • チーズでみると22%高かった(95% CI: 1.00–1.50)
  • ヨーグルトでみると36%高かった(95% CI: 1.05–1.77)
牛乳の摂取量別:○○ vs. 週1以下の頻度で飲む群
  • 週に2~6杯の牛乳を飲む群:24%高かった(95% CI: 0.95–1.62)
  • 毎日1杯の牛乳を飲む群:41%高かった(95% CI: 1.05–1.90)
  • 毎日2杯以上の牛乳を飲む群:43%高かった(95% CI: 1.09–1.88)

ここから言えるのは、乳製品全体でニキビ発生リスクを高める可能性はあるということです。

ただし、出版バイアス(見栄えがいい結果が出た研究ばかり発表される偏りのこと)が確認されていたり、研究の質があまり高くないことを考えると、もう少し実際のリスクは小さく落ち着くのかなとも思いますね。

現にこうした結果のインフレ(高騰)は別のメタ分析(#2)でも確認されていて、【乳製品の摂取が最も多い群 vs. 最も少ない群】で比較したところ、なんと多い群は2.5倍ちかくニキビ発生リスクが高かったのだとか。

あらゆる牛乳の種類とニキビの発生リスクの関係は…

では次に「牛乳」に特化して調べた大規模研究を覗いてみましょう。

2018年に四川大学が発表したメタ分析(#3)では、4件のコホート研究と9件の症例対照研究や横断研究から71819名を対象に、牛乳とニキビの相関を調べています。

比較は【牛乳を多かれ少なかれ飲む群 vs. 牛乳を普段飲まない群】といった感じで、牛乳の消費量でニキビの発生リスクはどう変わるか?を見ています。

するとまず大まかな結果は、

飲む群 vs. 飲まない群
  • 全体的にニキビの発生リスクが16%高かった(95% CI 1.09-1.24)

このように、牛乳を普段から飲む群はちょっぴりニキビが出来やすいかも、といった様子になりました。牛乳の消費量別で見ても、多い群で最もリスクが高かったですね。

そしてもう少し詳しく牛乳の種類まで見ていくと、

  • スキムミルク:24%高かった(95% CI 1.13-1.37)
  • 低脂肪牛乳:14%高かった(95% CI 1.08-1.22)
  • 全乳牛乳:13%高かった(95% CI 1.05-1.21)

こんな結果に。どうやら、スキムミルクは比較的ニキビのリスクが高いようです。

ただ、牛乳は軽度のニキビ発生には影響しなかったり、全部ひっくるめて考えると、牛乳がニキビに与える影響って実は結構小さめなんではないかと思います。

まとめ

では最後に今回の内容をまとめましょう。

ポイント
  • 乳製品全般の消費が増えると確かにニキビの発生リスクが高まった
  • ただしその影響は言われているよりもかなり小さい可能性がある
  • ニキビ予防で乳製品減らすのは効果がありそうだが劇的ではないかも

この辺りを押さえておくと良さそうです。ニキビが相当気になる方であれば、乳製品の割合を減らしてみてもいいかもしれませんね。

赤羽(Akabane)

乳製品と一口に言っても、ヨーグルトやチーズのように発酵食品もあれば、牛乳でみても色々な種類があります。モノによっては健康的なメリットが大きいものもあるので、まずはその部分と天秤にかけてからの検討をお勧めします。

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参考文献&引用

#1 Juhl CR, Bergholdt HKM, Miller IM. Dairy Intake and Acne Vulgaris: A Systematic Review and Meta-Analysis of 78,529 Children, Adolescents, and Young Adults. Nutrients. 2018 Aug 9;10(8). pii: E1049.

#2 Aghasi M, Golzarand M, Shab-Bidar S, et al. Dairy intake and acne development: A meta-analysis of observational studies. Clin Nutr. 2019 Jun;38(3):1067-1075.

#3 Dai R, Hua W, Chen W. The effect of milk consumption on acne: a meta-analysis of observational studies. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2018 Dec;32(12):2244-2253.