就活の面接は沢山受ける程後悔する!人生満足度を下げる「選択のパラドックス」とは?

2019年4月25日人間心理, 幸せについての考察

「選択のパラドックス」

スーパー
igorovsyannykov / Pixabay

就活で企業分析を徹底的に行い、沢山面接を受けた。その結果が身を結んで内定を手に入れた。でも何だか他の企業が気になってしまう…これは「選択のパラドックス」の仕業ですね。簡単に言うと、選択肢が多いほど自分の選択を後悔しやすくなる人間心理のことで、心理学者のバリー・シュワルツ氏のTEDスピーチ(#2)で詳しく触れられています。

例えばスピーチの中で出た話で言うと、シュワルツ氏自身がジーンズを買い替えに行った時の話があります。大筋はこんな感じです。

シュワルツ氏@アパレルショップ

シュワ

このサイズのジーンズを探してるんだが・・

ショップ店員

タイプはストレート、スリム、リラックスがあります。ボタンフライかチャックかも選べますし、またストーンウォッシュ加工やアシッド、ダメージ加工のものも御座います。ブーツカットにしますか、それともテーパードですか?

シュワ

くぁwせdrftgyふじこlp

結局、膨大な選択肢の中から一つ、イイ感じのジーンズを一本購入したそうですが、気分は最悪だったと言います。こうなってしまった原因をまとめると以下のような流れになります。
 

  1. Aを選んだけど、BもCもDもEもアリだったかもなぁ。。Bを選んでたら・・Cを選んでたら・・(他の可能性が頭から離れない)
  2. いや、Aはこの中でも最高だ!(選んだものに過剰に期待するようになる)
  3. はぁ・・他のにしておけばよかったorz (期待を超えられず後悔)
  4. 何でアレにしなかったんだ・・(自己嫌悪)

 
まとめると、多すぎる選択肢は自由よりも無力感をもたらし、満足度を低下させるということですね。
 

就活生を対象にした実験によると・・

カチッとスーツ
Goumbik / Pixabay

上で紹介したような「選択のパラドックス」は人生のあらゆる場面に当てはまります。それは就活の場面とて例外ではなくて、名著『選択の科学』で有名なシーナ・アイエンガー教授らが2006年に発表した研究(#1)によると、就活生たちの中で沢山の企業を受けた就活生ほど、最終的に選んだ会社に不満を感じて後悔しやすくなることが分かりました。この研究では、レベル別に11の大学から548人の学生を募って以下のようにタイプ分けしました。
 

  1. 最善の選択を追い求めて全ての可能性を完璧に調べたがるタイプ
  2. 自分たちの許容範囲か、それに近い選択肢が出てくればそれで充分だというタイプ

 
例えるなら、TVを観るのに一通り全チャンネルを確認してから観る番組を決めるタイプか、チャンネルを回していて「これでいいや」と最初に思った番組を選ぶタイプですね。そして職業調査(就活)を経験した学生たちに幾つかの項目別アンケートに答えてもらうと、1のタイプの学生ほど次のような傾向が見られたようです。

 

  • 選ばなかった他の選択肢に想いを馳せた。(隣の芝生は青く見える的な)
  • もっと多くエントリーすればよかったと感じた。(後悔)
  • 就活の前に、実際に応募したよりも、自分は多くの職種にエントリーするだろうと推測してた。
  • 中でも内定を受諾した学生の場合は自分の選んだ就職先に不満感があった。

 

こうした結果を受けて、研究チームは次のようにまとめています。

▼沢山の選択肢を追求する
→より多くの可能性があることを知ってしまう
→「Aにしたけど、BもCもDもEも良かったなぁ・・」と潜在的な後悔の種が増える
→その分、最後に選んだ一つの選択肢Aに過剰な期待を持つ
→期待が高すぎて満足できない。
→無駄にした時間と他の選択肢への後悔が残る。

これは冒頭に書いたシュワルツ氏の体験談とほとんど同じですね。選択のパラドックス、恐るべし。
 
 
ただ、一方で1のグループは比較的良い就活の結果が得られたようです。具体的には、
 

  • 就職面接を受けた数
  • 内定をもらった数
  • 内定を受諾した会社の年収

 
これらを総合した成績だったみたい。中でも、働き始めの年収に関しては、1は2よりも約20%高いことが分かりました。とはいえ研究チームもココに因果関係はなさそうだ、としています。
 

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赤羽(Akabane)

まとめると、念入りな下調べによって総合的な就活の結果は良くなったものの、結果的に充実感、満足感は下がった。ということですね。長い流行をみせている「ミニマリズム」はこういった選択のパラドックスを回避する意味でも効果的でしょう。

 

参考文献&引用

#1 Sheena Iyengar, Rachel E.Wells, Barry Schwartz “Doing better but feeling worse”,Psychological Science,Vol.17,No.2,pp143-50,2006.

#2 https://www.ted.com/talks/barry_schwartz_on_the_paradox_of_choice?language=ja#t-189647 (2018年1月26日アクセス)