赤羽(Akabane)
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最新論文で判明!他人の不幸は蜜の味「シャーデンフロイデ」には3つの種類と1つのテーマがあるみたい
まずシャーデンフロイデについてザックリ見ていきましょう。
他人の不幸は蜜の味?心理学用語「シャーデンフロイデ」
シャーデンフロイデというのは、ドイツ語で「他人の不幸は蜜の味」みたいな心境を表現する言葉です。最近では脳科学者の中野信子先生の本が有名ですね。

よくある例として、芸能人などいわゆる成功者のスキャンダル報道を知って気持ちが晴れ晴れする、みたいな気持ちが挙げられます。当然、スキャンダルが発覚すれば当の本人としてはかなり困りますし、下手したら謹慎や引退もあり得ます。このように、自分は直接手を下していないけれど、嫉妬の対象が勝手に引きずりおろされる時はまさにシャーデンフロイデを感じると言えるでしょう。
最新研究が解き明かす「シャーデンフロイデ」の3つの種類と1つのテーマとは?
ではここから本題へ。参考になるのが2019年にエモリー大学が発表した研究(#1)で、シャーデンフロイデには次のような3つの種類と1つのテーマがある!とのことでした。
シャーデンフロイデの3つの種類
まずシャーデンフロイデの種類から見ていくと、
シャーデンフロイデ3つの種類
- 攻撃性:社会的な価値観の感覚からくるもの。自分が所属するグループなどへの帰属意識、自分のグループが他より優れていて欲しいという気持ちから生まれる。スポーツ観戦でライバルチームが負けていると嬉しくなるなど。
- 競争心:個人的な競争心からくるもの。妬み嫉みといった感情を伴うことが多くて、自分が欲しいものを手に入れている人や社会的地位が高い人など、羨望の対象が椅子から転げ落ちるとホッとしたり気分が晴れたりする。
- 正義心:公平性、平等性を求める感覚からくるもの。ズルをした者が捕まったり引き摺り下ろされるのに快感を覚えたり、兎に角対象が罰や不幸を受けるに「値する」と感じるタイプ。
大きくこの3つに分かれるようです。この3種類は状況によって2つ以上同時に発動することもあって、それぞれが微妙に関わりあう関係だといいます。
冒頭で出した成功者のスキャンダルの例は「競争心」と「正義感」が微妙に混ざり合った感じでしょうか。
ちなみに、サイコパスやサディスト、ナルシストなどの性格障害を持つ人は、このシャーデンフロイデの性質と重なる部分が多いみたい。
シャーデンフロイデの1つの核となるテーマ
ではこのシャーデンフロイデ、どんな心理が働いて起きているんでしょう?この問いの答えとなるのが、「非人間化」という心境の変化みたいです。
非人間化は、シャーデンフロイデの対象になる人を「人間ではないもの」のように扱う心理のことで、場面や状況に応じて割とどんな人でも経験する心境だといいます。
例えば、戦場では軍人は敵の兵士を「人とは見なさない」し、人は性犯罪者をよく「人ではない獣」だと表現します。こうした状況下で、我々は知らず知らずのうちにシャーデンフロイデに陥っているのかもしれません。
注意点・まとめ
では最後に今回の内容をまとめます。
- シャーデンフロイデは「他人の不幸は蜜の味」な気持ち
- 3つの種類は「攻撃性」「競争心」「正義」
- 1つのテーマは「非人間化」
こんな感じでしょうか。シャーデンフロイデは話題性で一気に有名になりましたが、まだまだ定義も曖昧で、研究もこれからなテーマです。その意味では、この研究はシャーデンフロイデの理解を一歩先に進めたと言えるでしょう。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Shensheng Wang, Scott O.Lilienfeld, Philippe Rochat. Schadenfreude deconstructed and reconstructed: A tripartite motivational model. New Ideas in Psychology, Volume 52, January 2019, Pages 1-11.