赤羽(Akabane)
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睡眠ホルモン「メラトニン」とは?
メラトニンと言えば、睡眠のリズムを調整する非常に大事なホルモンです。夜が深くなるにつれて徐々に体内で分泌されて、我々を眠りの淵にいざなってくれる役割があるんですが、ブルーライトを夜に沢山浴びすぎると分泌リズムが狂ってしまいます。寝る前のデバイスはなるべく避けたい..。
ちなみに当ブログでも過去にメラトニンに関する最大規模の研究について触れていて、
- 入眠効率、睡眠時間、質の改善
- 乳がんリスクの低下
- 夜間の高血圧の改善
- 術前&術後の不安、イライラ、痛み
このあたりに効くのはほぼ間違いないことが分かっています。メラトニンには睡眠リズム調整だけでなく、抗炎症、抗酸化、高血圧改善効果があるので、こうした効果が上のような結果に繋がったと考えられているんですね。
というわけで、この記事ではメラトニンの意外な効果について更に見ていきます。
一日100mgのメラトニンサプリで筋トレの疲れが取れてアンチエイジング効果?!
2017年にスペインのグラナダ大学が発表したRCT(#1)によると、大量のメラトニンサプリで筋トレのダメージが回復してアンチエイジング効果も期待できるかも!とのことでした。
ザっと研究内容をおさらいしておくと、こんな感じです。
- 24名の男性アスリートを対象に
- 2つのグループ*に分けて
- 両グループとも4週間の筋トレプログラムに参加してもらう
・メラトニンサプリグループ..就寝30分前に一日100mgのメラトニンを摂取する
・プラセボグループ..効果のないサプリを摂取する
メラトニンを一日100mgというのは、例えば睡眠の権威「国立睡眠財団」が推奨している最大量(#2)のおよそ20倍の量でして、「大丈夫なのか?」と思ってしまうレベルです。
この摂取量については一旦置いておいて、筋トレメニューに関しては、
- 週に8回、大体1~1.5時間
- 筋トレ(5回)、ウェイトトレーニング(2回)、有酸素ランニング(1回)
こんな内容をこなしたようです。すると結果は、以下のようになりました。
- メラトニングループは体の抗酸化能力がアップした
- 脂質酸化を抑えた
- 一酸化窒素レベルを下げた
- タンパク質過酸化物の増加を予防
- グルタチオンやグルタチオンペルオキシダーゼの酸化還元効果を高めた
何やら難しい用語が沢山出てきましたが、まとめると、激しいトレーニングによる体の一時的な酸化を軽減してくれたんですね。そしてもう少し詳しく見ていくと、
- クレアチンキナーゼ、乳酸脱水素酵素の数値を下げた
- クレアチニン、総コレステロール値を下げた
どうやら筋トレでの筋肉疲労までしっかり改善してくれた様子。ここでいうクレアチンキナーゼや乳酸脱水素酵素というのがその数値ですね。加えて総コレステロール値まで改善してくれていたりも。
注意点・まとめ
とここまでで、大量のメラトニンの筋肉疲労回復&運動による酸化除去効果がわかりました。すると次に問題になるのがやはり摂取量問題。一応ここに関しては、
- 5名の健康な人を対象にメラトニンサプリを20、30、50、100mgに分けて飲んでもらったところ、特にメラトニンサプリ摂取による副作用は確認されなかった(一時的な軽いめまいのみ)(#3)
というように推奨量を遥かに超えた量でも重大な副作用はなかったらしいのですが、長期で見た時の副作用が分かっていないのが大きな問題。当面は大量に摂るのは控えたほうが良さそう。
ちなみに国立睡眠財団が推奨する一日当たりメラトニン摂取量は0.5mg~5mgの間(#2)とされております。ご参考までに。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Roberto C. Leonardo-Mendonça, Javier Ocaña-Wilhelmi, Tomás de Haro, Carlos de Teresa-Galván,Eduardo Guerra-Hernández, Iryna Rusanova, Marisol Fernández-Ortiz, Ramy K.A. Sayed,Germaine Escames, and Darío Acuña-Castroviejo,”The benefit of a supplement with the antioxidant melatonin on redox status and muscle damage in resistance-trained athletes.“,Appl Physiol Nutr Metab. 2017 Jul;42(7):700-707.
#2 National Sleep Foundation,”How Much Melatonin Should You Really Be Taking?”,accessed 23rd Apr 2019.
https://www.sleep.org/articles/how-much-melatonin-to-take/
#3 Helen F. Galley Damon A. Lowes Lee Allen Gary Cameron Lorna S. Aucott Nigel R. Webster,”Melatonin as a potential therapy for sepsis: a phase I dose escalation study and an ex vivo whole blood model under conditions of sepsis“,Journal of Pineal Research Volume 56, Issue 4.