赤羽(Akabane)
ランダム化比較試験(RCT)とは
ザックリ3行で説明すると、
- 対象者をA、Bの2つのグループに分けて、
- 片方には効果を確認したい薬などを与えて、
- もう一方には何も与えずに結果に差がでるかを実験する
みたいな研究手法ですね。これは現時点で最高の研究デザインと言われていて、因果関係を特定するのに最適な方法であります。詳しいRCTの研究ステップは図書『心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門』(金剛出版)を参考に見ていきます。
- リサーチ・クエスチョン(誰を対象に、どんな実験を、何と比べて、どうなるか)
- 参加者をランダムにグループ分け
- 介入実験開始!
- 結果の差をグループで比べる
まず、リサーチ・クエスチョンの段階で実験のテーマを決めます。そして参加者はグループ分けされますが、ここでは参加者のグループ分けに偏りが出ないようにランダムに分けられます。RCTは医療の臨床試験なんかで頻繁に使われていて、例えば、
Bグループ…プラセボでただのビタミン剤(効果なし)を毎日飲むグループ
こんな実験は鉄板だったり。このグループ分けで比べられる効果は、新薬「キットヨクナール」の効き目ということになります。もし結果として両グループで違いが見られたら、それはキットヨクナールが関係している可能性が高い!ということが言えるんですね。例えば「血圧が下がった」とすると、
- 新薬「キットヨクナール」には血圧を下げる効果がある!
こんな風に考えられる、と。ただしこれは極端な例で、実際には「キットヨクナールを飲む」以外のところで対象者らが結果に関係する何か(運動、降圧剤を飲んでいたとか)をしていたとも考えられます。だから大事なポイントは、結果に関係しそうな別要素は出来る限りグループ間で揃えること。例えば飲むタイミング、量、できれば睡眠時間帯や食生活なども。この辺りの調整が効いているほど、導き出される因果関係は信頼できるものになります。
ちなみに研究の信頼度で言えば、質の高いランダム化比較試験(RCT)をかき集めたメタ分析(メタアナリシス)が最強、エベレストの頂きです。複数のRCTから導き出される結論となると、大体は科学のお墨付きと捉えてもよろしいかと思います。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
# 伊藤公一朗著『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』光文社新書、2017年。
# 原田隆之著『エビデンス・ベイスド・プラクティス入門 エビデンスを「まなぶ」「つくる」「つかう」』金剛出版、2015年。