【大きく4種類】幸福をブーストする自分のための「親切」の使い方とは?

【大きく4種類】幸福をブーストする自分のための「親切」の使い方とは?

赤羽(Akabane)

今回は「親切って形はどうあれやっぱり幸せをブーストするよね!」というお話です。

幸福をブーストする自分のための「親切」の使い方とは?

早速ですが最近発表されていた面白い研究結果を覗いてみましょう。

親切は幸福をブーストさせる。しかもその「形」は何でもいい!

これは2018年にオックスフォード大学が発表した研究(#1)で、親切は自分自身を幸せな気持ちにするけれど、その形によって効果は変わるんだろうか?という疑問を調べています。

具体的には、29か国から集めた683名の男女(女性88%、30~45歳)を対象に、まず親切をする「対象」によってタイプ分けをしていて、

  • 強い絆で結ばれた他人(例:家族、友人)…132名
  • 弱い関係性の他人(例:見知らぬ人、ただの顔見知り)…114名
  • 自分自身…148名
  • 周囲の他人の親切を観察する…136名
  • 何もしない(比較グループ)…153名

ザっとこんな感じでランダムに区分けしていました。案外、これまでの研究ではここまで細かく親切を分類したものは見たことがありません。

でそれぞれの親切の形を「何もしない」グループと比較して、その後の主観的な幸福度はどうなっているのか?を10点満点でチェックする流れです。

こうした実験を7日間で行って、親切グループの参加者らには「毎日1回は意識して親切をして(観察して)、記録するように」と伝えたようです。

すると結果は、こんな感じになりました。

結果
  • 4つの親切グループはどれも比較グループより幸福度が高かった
  • 親切の「回数」が多いほど、幸福度も高まった
  • 親切の「形」によって幸福度はあまり変わらなかった

ここから言えるのは、親切をしたり見たりするのは多いに越したことはなくて、どんな形であれ親切は人を幸せにするかも!ということ。

注意点・まとめ

ただ、今回の結果はあくまで初歩段階の研究結果なので、あくまで参考程度に留めておくのがよさそう。(女性が9割近い、ということもあるし..)

例えば、過去には「家族や友人など強い絆で結ばれた人にお金を使った方が見知らぬ人など弱い絆の人に使うよりも幸福度は高まる」といった報告(#2)があったりします。これは今回の結果とは微妙に違っていますね。

このように過去の研究と食い違う結果が出る原因は、「親切行動」のやり方や実験の期間なんかも関係していそうです。上の研究では、過去にお金をあげた記憶を思いだすだけでしたが、今回の研究では、実際に7日間で集中して親切した結果です。この辺のデザインの違いでも結果に差が出てくる、ということは押さえておくと良さそうです。

では以上を踏まえて、最後に今回の内容をまとめます。

ポイント
  • 親切は総じて幸福度を上げてくれる
  • その対象は親しい人から知らない人、自分自身まで誰でも良し
  • 誰かが親切をしているのを観察するだけでもいいみたい

ひとまず「親切」は他人にしてあげてもよし。自分自身にしてあげてもよし。周りの人がやっているのを観察するだけでもよし、ということでおひとつ。

赤羽(Akabane)

余談ですが、この研究を発表したのは、当サイトでも過去に触れた「他人への親切で自分が幸せに!」という趣旨のメタ分析(#3)にも関わっているローランド助教授&カリー主任研究員なんですね。いつも素敵な研究をオープンアクセスで共有してくださっていて、その親切心だけで幸せな気分です。(こじ付け)

関連記事はこちらをどうぞ

親切 幸福 幸せ「他人に優しく」は本当に綺麗ごとなのか?大規模なメタ分析でわかった親切のメリット

参考文献&引用

#1 Rowland L, Curry OS. A range of kindness activities boost happiness. J Soc Psychol. 2019;159(3):340-343.

#2 Aknin, L. B., Sandstrom, G. M., Dunn, E. W., & Norton, M. I. (2011). It’s the recipient that counts: Spending money on strong social ties leads to greater happiness than spending on weak social ties. PloS one, 6(2), e17018.

#3 Oliver Scott Curry,Lee A.Rowland,Caspar J.Van Lissa,Sally Zlotowitz ,John McAlaney,Harvey Whitehouse. Happy to help? A systematic review and meta-analysis of the effects of performing acts of kindness on the well-being of the actor. Journal of Experimental Social Psychology,Volume 76, May 2018, Pages 320-329.