赤羽(Akabane)
目次
筋トレでボリュームや負荷を緻密に変える「ピリオダイゼーション」は筋力アップに効果的なのか?
まずはピリオダイゼーションって何?というところからおさらいしておきましょう。
筋肉を負荷に慣れさせない緻密なトレーニングテク「ピリオダイゼーション」
ピリオダイゼーションとは、簡単に言うと「週や月の中でトレーニングの量(ボリューム)や強度を変えていくテクニック」のこと。
具体例を挙げると、
週3回のトレーニング
- 1回目:3 × 18~20RM
- 2回目:3 × 8~10RM
- 3回目:3 × 13~15RM
こんな感じで、週の中で強度をその都度変えていったりします。ちなみに年単位で計画するピリオダイゼーションは「マクロサイクル」と呼ばれていて、月単位は「メソサイクル」週単位は「ミクロサイクル」という風に分類されていますね。
でこれが神経系の同じ負荷への慣れを防いで、頭打ちになった筋力アップを再加速させる!と話題なんですね。(他の目的としてはオーバートレーニングの防止とか)
ピリオダイゼーションは筋力アップに効果があるのか?現段階で最も信頼できる研究によると…
ではここから本題へ。この問題については、2017年にアラバマ大学が発表したメタ分析(#1)が参考になりそうです。
これは1988~2015年の間に出た18件の研究から612名のデータをまとめたもので、大まかにピリオダイゼーション vs. 普通のトレーニングで筋力アップ効果を比較しています。
その他、具体的な情報を並べておくと、
- 実験期間:3~36週間(平均12.3±7.6週間)
- 実験毎サンプル数:5~46名(15.4~70.6歳)
- サンプル特徴:筋トレ経験者対象実験は2件のみ、アスリートを「経験者」に含めると経験者/初心者で半々くらい
- トレーニング頻度:週に2~4回
- 効果の基準:筋力アップ→1RM(ベンチ、スクワットなど)
こんな感じでした。そしてこの結果、次のようなことがわかりました。
- ピリオダイゼーションは普通のトレーニングよりも筋力アップに中くらいの効果があった(効果量 = 0.43, 95% CI 0.27–0.58; P < 0.001)
- 特に筋トレ初心者で筋力アップ効果が高かった
- トレーニングは長期で、週ごとにより多くこなしたほうが効果が高かった
どうやらピリオダイゼーションは全体的に普通のトレより筋力アップに効くみたい。特に初心者の方には効果てき面なようですね。
ちなみに「効果量 = 0.43」というのは、ベンチプレスに換算して「+11.4 kg」くらいとのこと。統計上は「効果中くらい」ですが、実際これは相当デカい成長でしょう。
注意点・まとめ
ただし今回の研究にも注意点があって、
- 出版バイアスの可能性がある:ピリオダイゼーションに有利なデータばかり集まっていて、未発表の研究も含めると筋力アップの効果がもう少し低くなるかも
- 経験者としてアスリートが多く含まれた:今回「筋トレ経験者」として実際にトレイニーを対象にしたのはたったの2件。筋トレの熟練者とアスリートでは、初心者と比べた場合と同じようにトレーニング効果に違いがある
- 実験の期間が短め:ピリオダイゼーションは数か月以上の単位で真価を発揮することが見込まれるので、もう少し長期の研究結果も欲しいところ
- その他定番の細かい部分:トレーニングのボリュームを揃えていないケースが半分くらいあったり、「もう挙がらない..」までやるケースとやらないケースもバラバラだったりする
この辺りは押さえておくとよろしいかと思います。実質「トレイニー」を対象にした研究はあまりなかったので、肝心な筋トレ好きに今回のレベルで効果があるか?が断言できないのは残念ですね。
では最後に、以上を踏まえて今回の内容をまとめます。
- ピリオダイゼーションは週や月の中でトレーニングの量や強度を変えていくテクニック
- 普通のトレーニングよりも筋力アップに効果が高い傾向が見られた
- 特に初心者では高い効果が確認されているのでオススメできそう
こんな感じでしょうか。ピリオダイゼーションは筋トレ初心者の方こそ積極的に取り入れてみると良さそうですね。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Williams TD, Tolusso DV, Fedewa MV, Esco MR. Comparison of Periodized and Non-Periodized Resistance Training on Maximal Strength: A Meta-Analysis. Sports Med. 2017 Oct;47(10):2083-2100.