赤羽(Akabane)
目次
りんごと梨で二型糖尿病リスク対策
まず本題の前に、りんごと梨ってどのくらい栄養があるの?という点をおさらいしておきましょう。
2015年に文部科学省が発表した資料(#1)を参考にすると、以下のような中身になっています。
りんご
- エネルギー57kcal
- 炭水化物15.5 g
- β-カロテン12 μg
- チアミン (B1) 0.02 mg
- ナイアシン (B3) 0.1 mg
- パントテン酸 (B5) 0.03 mg
- ビタミンB6 0.04 mg
- 葉酸 (B9) 2 μg
- ビタミンC 4 mg
- ビタミンE 0.1 mg
- カリウム 120 mg
- カルシウム 3 mg
- マグネシウム 3 mg
- リン 12 mg
- 鉄分 0.1 mg
- 銅 0.05 mg
- 水溶性食物繊維 0.4 g
- 不溶性食物繊維 1.0 g
- ビオチン (B7) 0.5 µg
日本梨
- エネルギー43kcal
- 炭水化物 11.3 g
- チアミン (B1) 0.02 mg
- ナイアシン 0.2 mg(B3)
- パントテン酸 0.14 mg(B5)
- ビタミンB6 0.02 mg
- 葉酸 (B9) 6 μg
- ビタミンC 3 mg
- ビタミンE 0.1 mg
- カリウム 140 mg
- カルシウム 2 mg
- マグネシウム 5 mg
- リン 11 mg
- 鉄分 0.1 mg
- 銅 0.06 mg
- 水溶性食物繊維 0.2 g
- 不溶性食物繊維 0.7 g
- ビオチン (B7) 0.5 µg
全体的に見て栄養価に大きな違いはありません。りんごの方が食物繊維が若干多くてβカロテンが含まれていて、梨は代わりに葉酸が豊富、といったくらいです。
週に1個りんごと梨を食べるだけで二型糖尿病リスクが〇%減る?!
では本題に入ります。りんごと梨が栄養満点なのはわかったけど、実際の病にはどのくらい効くのか?というところで、参考になるのが2017年に浙江大学が発表したメタ分析(#2)。
これは過去に発表された5件の観察研究から228315名を対象にした分析で、リンゴや梨の消費量はその後の二型糖尿病発症とどのくらい関係があるのか?を調べてくれています。
具体的には、対象者らの食事内容をチェックしつつ、リンゴや梨の消費量が多い群、少ない群、みたいに大まかな分類をしました。
すると最低8.8年以上、654403人年以上の追跡調査の間に14120件の二型糖尿病発症が報告されました。ではリンゴや梨とどのくらい関係があったかというと、
- 二型糖尿病発症リスクが18%低かった(95% CI: 0.75~0.88)
どうやら、リンゴや梨をよく食べると二型糖尿病リスクがまあまあ減るみたい。
でもう少し詳しく見てみると、こんなことも分かりました。
- 週にりんごや梨を1個食べるごとに、二型糖尿病発症リスクが3%ずつ下がっていった(95% CI: 0.96, 0.98)
つまりリンゴや梨は週の中で定期的に食べたほうが良さそうだ、と。
りんごや梨が二型糖尿病に効くメカニズムは?
ではりんごや梨は一体どのように効果を発揮しているのでしょう?このメカニズムについては次の3つが考えられます。
とはいえこれらは他の優秀な果物たちにも当てはまるので、色々な果物をバランスよく摂るのがよろしいかと思います。
まとめ
では今回のまとめといきましょう。
- りんごや梨は二型糖尿病リスクにまあまあ効くようだ
- 週に1個増やすだけでも3%もリスクを減らしてくれるみたい
- ポリフェノールや食物繊維がカギなので、トータルでこれらを意識した食事を心がけるのが大切
この辺りを押さえておくとよろしいかと思います。ただ、「3%」という数字に関しては、対象の研究も少ないですし、あくまで参考程度に留めておくほうが良さそうですね。
また、「あの食品がアレに効く!」みたいなTVのうたい文句がよくありますが、食事はトータルで考えたほうが間違いないです。リンゴと梨で全部解決!ではなくて、あくまでリンゴや梨はその一部という解釈でお願いします!
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 文部科学省『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』2019年6月17日アクセス。
http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm
#2 Guo XF, Yang B, Tang J, Jiang JJ, Li D. Apple and pear consumption and type 2 diabetes mellitus risk: a meta-analysis of prospective cohort studies. Food Funct. 2017 Mar 22;8(3):927-934.
#3 Wang X, Bao W, Liu J, Ouyang YY, Wang D, Rong S, Xiao X, Shan ZL, Zhang Y, Yao P, Liu LG. Inflammatory markers and risk of type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. Diabetes Care. 2013 Jan;36(1):166-75.
#4 M.A.Martincabrejas, R.M.Esteban, F.J.Lopezandreu, K. Waldron and R. R. Selvendran, Dietary fiber content of pearand kiwi pomaces, J. Agric. Food Chem., 1995, 43,662–666.