赤羽(Akabane)
目次
東大&ハーバード大の研究で判明!テレビの健康番組をよく観る高齢女性は死亡リスクが低い?
早速ですが、この件について最新の研究を見てみましょう。
東京大学とハーバード大学の研究で判明「TVの健康番組をよく観る高齢女性は死亡リスクが低い」
これは2019年に東京大学とハーバード大学が発表した研究(#1)で、65歳以上の8544名の男性と9698名の女性を対象に、彼らの健康に関する情報へのアクセスと早死にリスクを3年間追跡していったものです。
調査は2013年に21の市区町村で始まって、この時点で彼らが健康に関する情報を普段どんな方法で得ているか?を尋ねるアンケートを行ったようです。具体的には、テレビの健康番組やニュース、新聞や雑誌、政府からのアナウンス、インターネットなどがありました。
そしてこの調査期間内で956名が亡くなって、ここから次のようなことが分かりました。
- テレビの健康番組から健康情報を得ていた女性は、そうでない女性よりも死亡リスクが10%低かった(95%CI; 0.83~0.98)
- 男性ではこの傾向が見られなかった
- 男女関係なく、他の媒体ではこの傾向が見られなかった
まとめると、日ごろからTVの健康番組をチェックしている高齢女性は、その後3年間で死亡するリスクが低かったんですね。イメージは「たけしの本当は怖い家庭の医学」みたいな番組でしょうか。
しかもこうした相関は、食事の大まかな内容や疾患、飲酒や喫煙の有無など、メジャーな要素を調整したうえでも見られたようです。
注意点・まとめ
ただし注意点も幾つかあります。
- 調査期間がちょっと短い:死亡リスクを調査するのに3年は少し短いし、疾患など健康状態を考慮していたとしても完全とは言い切れない
- 因果関係ではない:TVの健康番組を観る→長生きできるという因果関係ではないので注意。その類の番組をよく観る人は健康志向が高かっただけという逆の因果関係もあり得る
この辺りは押さえておくと良さそうです。また、どうして高齢女性だけで効果が見られたのか?もまだ分かっていません。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 日頃からテレビの健康番組を観る高齢女性は、そうでない女性よりその後3年の死亡リスクが10%低かった
- 健康番組をよく観る人は日頃から健康意識が高い人だったせいかもしれない
- いずれにしても、テレビの健康番組は重要な立ち位置を担っているので質の高い内容を心がけるべき
こんな感じでしょうか。テレビの健康番組を参考に健康意識を高められるのは良いことですね。
赤羽(Akabane)
関連研究はこちらもどうぞ
「TVや電気をつけっぱなしで寝ると太るぞ」はどこまで本当なのか?どんなメカニズムで起こるのか?参考文献&引用
#1 Koryu Sato, Kasisomayajula Viswanath, Hana Hayashi, et al. Association between exposure to health information and mortality: Reduced mortality among women exposed to information via TV programs. Social science & medicine (1982). 2019 01;221;124-131.