赤羽(Akabane)
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運動の持久力パフォーマンスを高めるには「ビートルートジュース」が効果的だ!
ビートルートジュースとは、根菜のビーツをジュースにしたもので、見た目は真っ赤でトマトジュースみたいな感じです。特筆すべきは硝酸塩という物質で、これが体内で一酸化窒素を生成する役割を担っています。一酸化窒素には血管を拡張させる役割があって、血圧を改善したり、運動中のパフォーマンスも高めるんじゃないか?と注目されていたんですね。
では実際のところはどうなのか?参考になるデータを見ていきましょう。
ビートルートジュースなど硝酸塩サプリ全般のエルゴジェニック効果をまとめたメタ分析
2017年にクイーンズランド大学が発表したメタ分析(#1)では、47件の研究から581名を対象に硝酸塩の運動パフォーマンスアップ効果を検証していました。
この分析のテーマ的には硝酸塩ですが、含まれた研究の大半がビートルートジュースを使っていたのでこちらの効果として書いていきます。
試験の中身はシンプルで、ビートルートジュース vs. プラセボジュース(ビートに似せた偽の飲み物)という構図で参加者をグループ分けして、その後の持久力テストの効果を比較しよう!というもの。ちなみに持久力テストには、タイムトライアル形式や疲れるまでの時間を測定するもの、運動強度が上がっていくものがあって、中身はサイクリングが大半でした。
ではこの結果を見ていきましょう。
- 疲れるまでの時間を延ばす効果が小~中程度で確認された(効果量 = 0.33; 95% Cl = -0.27~0.06; p < 0.05)
- 運動強度が上がっていくタイプでは持久力パフォーマンスは大して向上しなかった(効果量 = 0.25; 95% Cl = -0.06~0.56; p > 0.05)
- タイムトライアル形式の持久力パフォーマンスでは大して効果がなかった(効果量 = -0.10; 95% Cl = 0.15~0.50; p < 0.01)
まとめると、目覚ましい効果ではありませんがビートジュースで一部持久力がアップする効果が確認されたんですね。
また細かく見ていくと、長期的にビートジュースを与え続けた実験で、より疲労までの時間を延ばす効果が報告されていました。どうやら即効性の効果を期待するよりは、少なくとも15日以上は飲み続ける必要がありそうです。
注意点・まとめ
ただし注意点としては、各研究のサンプル数は少ない点は押さえておくと良さそうです。つまり統計的なパワーは弱くて、結果に誤差が生まれやすいということ。
また今回の結果はアスリートや日頃からアクティブな人を対象にしたものなので、運動習慣が全くない人への効果はまた違ってくると思われます。
- ビートルートジュースには血管拡張効果など持久力パフォーマンスを高める効能が期待される
- 体が疲労するまでの時間が延びる効果が小~中程度確認された
- しかしタイムトライアル形式や運動強度を上げていくテストでは特に効果が見られなかった
ポイントとしてはこの辺りを押さえておくと良さそうですね。大きい効果は見込めないかもしれませんが、競技者や運動に熱心な方は取り入れてみてもよろしかと思います。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 McMahon NF, Leveritt MD, Pavey TG. The Effect of Dietary Nitrate Supplementation on Endurance Exercise Performance in Healthy Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2017 Apr;47(4):735-756.