【インクライン&デクラインベンチ論争】ベンチプレスは部位毎に角度を分ける必要があるのか?

2019年6月9日体の仕組み, 筋力トレーニング, 考察編

胸の部位によってベンチを倒す必要性はあるのか?

インクラインダンベルベンチ

今回はベンチプレスの「角度」についてのお話です。
 
 
まずベンチプレスにはフラット(通常)、インクライン、デクラインの3種類が存在しますが、これは胸の上部や下部など部位毎で効かせられるメニューが変わってくる!と考えられているからなんですね。

 

  • フラット→胸の中心からまんべんなく(大胸筋胸肋部)
  • インクライン→胸の上部(大胸筋鎖骨部、脚が下で頭が高い位置にくる)
  • デクライン→胸の下部(大胸筋腹部、脚が高く頭が低い位置にくる)

 

 
では実際に各トレーニングは狙った場所に最適な負荷を加えられているのか?この疑問を調べてくれているのが、日本のスポーツ科学研究教授らが2008年に発表した研究(#1)です。
 
 
ザっと中身を覗いてみると、
 

  • 筋トレ熟練者の成人男性8名を対象(23.0±2.7歳、身長174.8±5.1cm)
  • 1RMの70%の負荷でベンチプレス3種目を行い、筋電図をとる
  • 開始前には参加者各々の1RMの50%の重さでウォームアップはしてもらった

 
このような内容でした。1RM(Repitition Maximum)とは、ギリギリ一回挙げられる重量のことです。例えば、1RMが100kgの人の70%は70kgとなります。
 
 
以上を踏まえて、結果はどうなったのでしょう?

 

  • 【大胸筋鎖骨部】…デクライン≒フラット>インクライン
  • 【大胸筋胸肋部】…デクライン≒フラット>インクライン
  • 【前鋸筋】…フラット≒インクライン>デクライン
  • 【三角筋】…インクライン>フラット>デクライン
(#2)より引用。

 

結果、思ったよりも角度を付けた時の効果がないような印象を受けます。総合的にみると、普通のフラットのベンチプレスが万遍なく効いて最適かと思いますね。
 
 
2017年のEMG研究(#3)でも、ベンチプレス3種で大胸筋の活動に大差はなかったとの結果が出ておりますし、この住み分けは大胸筋と同時にどの筋肉を鍛えたいか?で判断するしかなさそうです。
 

部位毎ベンチプレスまとめ
・基本はフラットベンチでOK
・同時に三角筋を鍛えたい!→インクライン
・大胸筋下部(腹部)にデクラインが格別効くのかどうかはわからない
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赤羽(Akabane)

ボディビルダーを目指していたり目標が高い方でなければ、フラットのベンチプレスだけで事足りるかと思います。あとは上で紹介した胸筋に効く4つのメニューを織り交ぜてやっていけばよろしいかと。レッツエンジョイ筋トレ!

参考文献&引用

#1 半田 徹、加藤浩人、長谷川 伸、岡田純一、加藤清忠『筋力トレーニングのベンチプレス系 3 種目における大胸筋、前鋸筋および三角筋の筋電図学的研究』スポーツ科学研究, 5, 58-70, 2008 年。

#2 石井直方、岡田隆著『筋力トレーニング・メソッド』高橋書店、2011年。

#3 Atle Hole Saeterbakken,Dag-André Mo, Suzanne Scott,Vidar Andersen,”The Effects of Bench Press Variations in Competitive Athletes on Muscle Activity and Performance“,J Hum Kinet. 2017 Jun; 57: 61–71.