「ボディスキャン瞑想」と「漸進的筋弛緩法」の共通点と違いとは?

【図解】「ボディスキャン瞑想」と「漸進的筋弛緩法」の共通点と違いとは?

赤羽(Akabane)

今回はごっちゃになりやすい「ボディスキャン瞑想と漸進的筋弛緩法」の違いについてのお話です。

「ボディスキャン瞑想」と「漸進的筋弛緩法」の共通点と違いとは?

違いを見る前に、ボディスキャン瞑想と漸進的筋弛緩法をそれぞれザックリおさらいしておきましょう。ではまずボディスキャン瞑想から。

ジョン・カバットジン教授が提唱した「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」のプログラム「ボディスキャン瞑想」

ボディスキャン瞑想は、1970年代にマサチューセッツ大学医学大学院のジョン・カバットジン教授が提唱した「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」のプログラムに含まれるテクニックの一つです。

一言で表すと「仰向けで目をつむって全身を観察するタイプの瞑想」で、一応本家の様式に沿うならば足のつま先から頭のてっぺんまでを順にスキャンしていく流れになります。

エドモンド・ジェイコブソン氏が提唱したリラクゼーション法「漸進的筋弛緩法」

漸進的筋弛緩法は、1930年代に内科・精神科医のエドモンド・ジェイコブソン氏が提唱したリラクゼーション法で、患者のメンタル改善を目的に考えられたようです。

簡潔に表すと「特定の筋肉に意識を向けて緊張と弛緩を繰り返して体の感覚変化を観察するリラックス法」で、例えば両肩にギューッと全力を込めたあとに、カクッと一気に脱力させる、といった具合です。

ボディスキャン瞑想と漸進的筋弛緩法の共通点と違い

【図解】「ボディスキャン瞑想」と「漸進的筋弛緩法」の共通点と違いとは?

では以上を踏まえてここから本題です。両者にはどんな共通点とどんな違いがあるんでしょうか?

参考になるのが2017年にブリッジウォーター州立大学教授らが発表したレビュー研究(#1)で、この問題を分かり易くまとめてくれています。

早速両者の共通点と違いを見ていきましょう。

共通点
  • モニタリング(観察):体の感覚の変化に意識を向けて観察する点
  • アクセプタンス(受容):感覚の変化に対してリアクションせず、ただ受け容れつつ観察する点
相違点
  • 観察の対象:終始体が自然に変化するのを観察し続けるか、筋肉に意識的に力を込めてその結果としての変化を観察するかの点
  • 姿勢:仰向けか別の姿勢かという点(ボディスキャン瞑想は仰向けが一般的で、漸進的筋弛緩法は立ったままや座って行うなど様々)
  • 根本のスタンス:ボディスキャン瞑想が在るがままを観察する「being」であるのに対して、漸進的筋弛緩法は意識的に筋肉や思考を働かせた結果を観察する「doing」である点

お互いに「観察」「受容」といった重要な概念は似通っていますが、一方で根本のスタンスにはハッキリした違いが見られますね。

まとめ

では最後に今回のまとめです。

ポイント
  • ボディスキャン瞑想と漸進的筋弛緩法はどちらもマインドフルネスの概念を踏襲している
  • ボディスキャン瞑想は「being(有るがまま自然体)」での観察
  • 漸進的筋弛緩法は「doing(意識的な体の変化)」での観察

この辺りを押さえておけばOKかと。結構似ている部分が多いので混同されがちですが、「being」と「doing」で区別しておけば覚えやすいでしょう。

赤羽(Akabane)

過去には「米軍パイロットの2分爆睡法」というものを紹介しましたが、これが見事に「ボディスキャン瞑想」「漸進的筋弛緩法」の融合を実現しています。ぜひお試しください。

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参考文献&引用

#1 Samuel J. Dreeben, Michelle H. Mamberg, Paul Salmon. The MBSR body scan in clinical practice. Mindfulness, December 2013, Volume 4, Issue 4, pp 394–401.