赤羽(Akabane)
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パートナーとの間に特別な感情が芽生えるまでの過程が脳科学的に判明。
この記事では、上記のテーマについて面白いデータを見ていきます。
野生では珍しい一夫一婦制をとるプレイリーハタネズミを使った動物実験によると..
2017年にエモリー大学が発表した研究(#1)によると、パートナーとの間に特別な感情が芽生える過程では、脳の快楽にまつわる部位に、理性的な行動や考えを形成する部位が強く干渉していることが分かりました。
プレイリーハタネズミは北米に生息しているげっ歯類で、野生では珍しい一夫一婦制を取る動物です。
この研究は、そんなプレイリーハタネズミを対象にした動物実験でして、まずは雄雌のペアごとに同じケージの中で6時間を過ごしてもらって、その間の様子を頭に刺した電極とビデオで観察するという流れで実験を行いました。(脳の活動とネズミたちの行動)
するとこの実験の結果、雄雌ペアのネズミたちが寄り添ったり交尾したりして親密度を深めるまでの時間を、脳の皮質線条体回路の活動によって予測できることが分かりました。
ここでいう「皮質線条体回路」というのは、具体的に脳の「前頭前野内側部」と「側坐核」という部位の繋がりに着目していて、それぞれ「理性的な行動や考えを形成する」「報酬や快楽、好みなどの情動に関わる」という役割があります。今回の結果に照らし合わせると、交尾をするにつれて、前頭前野内側部の低周波活動が側坐核の高周波活動に干渉するようになり、親密度が深まってペアになると、こうした干渉が弱まっていく傾向が見られたんですね。
上記を踏まえて、この研究では別の実験も行っています。光を使って脳の神経を刺激する手法を採用しつつ、交尾や寄り添い合いといったペア形成に必要な行動が起きない条件で、ネズミの皮質線条体回路を人工的に刺激するという内容でして、果たして以下のような結果になりました。
- 前頭前野内側部の低周波活動によって、ペア形成までの時間が加速した
というわけで、ここまでの実験内容を踏まえると、ネズミの雄雌ペアが形成されるまでの過程には、前頭前野内側部による側坐核への干渉が漏れなく確認されていて、この回路が大きく影響している可能性が示唆された!という感じです。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、今回の結果は動物実験なので、ヒトでどこまで再現できるのか?は分かりません。プレイリーハタネズミとヒトではカップルができるまでの過程も異なりますし、まだ初歩的な段階と言えましょう。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- パートナーとの間に特別な絆が芽生えるまでの過程には、脳の「前頭前野内側部」と「側坐核」の間の繋がりが関係している可能性が示唆された
- ヒトと同じように、一夫一婦制をとるプレイリーハタネズミを対象にした動物実験によると、上記の繋がりによって雄雌のペアが形成されるまでの時間などが予測できることが判明した
- 前頭前野内側部の低周波活動が、側坐核の高周波活動に対して干渉するほど、パートナー(ペア)の形成が促進されるのかもしれない
赤羽(Akabane)
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パートナーとの間に特別な感情が芽生えるまでの過程が脳科学的に判明。参考文献&引用
#1 #1 Amadei, E., Johnson, Z., Jun Kwon, Y. et al. Dynamic corticostriatal activity biases social bonding in monogamous female prairie voles. Nature 546, 297–301 (2017). https://doi.org/10.1038/nature22381