赤羽(Akabane)
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eスポーツによる健康被害?整形外科医が指摘する6つの悪影響とその対策とは?
eスポーツはゲームを正式な競技として行う新感覚のスポーツで、色々な種類の世界大会が行われるようになってきています。今まさにアツいジャンルですね。
ただ、eスポーツは座りっぱなしで長時間プレイするものがほとんど。こうした特徴が我々の健康にどんな影響をもたらすのか…?この記事ではこの問題についてみていきます。
整形外科医が厳選!座りっぱなしのeスポーツ競技者が気をつけたい体の不調とその対策
参考になるのが、2020年にニューヨーク工科大学オステオパシー医学専門学校が発表した研究(#1)で、eスポーツによる健康への影響とその対策についてまとめてくれていました。
ではまずeスポーツ競技者に起きがちな体の不調をザッと見てみましょう。
VDT症候群
長時間のゲーム中はずっと目を画面に固定しなければならない分、目が疲れますね。
VDT症候群はゲームの長時間プレイなどが原因で起こる疾患で、目がかすんだり、頭痛や腰痛を併発したりします。
画面は目から50〜70cmくらいは離す
部屋の照明はスクリーンを凝視しなくてもいいように明るく設定する
首や腰の不調
首や腰の不調も長時間のゲームでは定番の悩みであります。これはゲーム中の姿勢が問題で、頭や肩が前のめりになることで首や腰に負担がかかるからです。
また他にも、ゲーミングチェアなどの背もたれ椅子自体が腰椎や脊椎の湾曲を水平に近い状態にしてしまうので、結果として背中の筋肉を緊張させてしまうみたい。
マッスルエナジーテクニックの施術を受ける
上肢の機能不全
長時間のゲームと関係が深いのは、主に肩や手首などの痛みです。肩はPCのキーボードやゲームコントローラを持っているとすくんでしまったり余計な負荷がかかりますし、手首はコントローラ操作などで酷使してしまいます。
代謝の機能不全
長時間ゲームをプレイすると、どうしても座りっぱなしの時間が長くなってしまいます。こうした条件はオフィスワーカーと同じで、日中の運動量が圧倒的に減ってしまって運動不足になりがちです。実際にeスポーツの競技者たちは、ゲームをプレイする時間が長い分、運動をほとんどしないことがわかっているようです。
またゲーム文化と根強いのがエナジードリンクなど不健康な食習慣で、こうした食生活の偏りも代謝に悪影響です。
毎日7000~10000歩ほど歩く習慣をつける
週に150分以上の中強度の運動をする(WHOによる推奨基準)
サーカディアンリズム(概日リズム)
朝日光を浴びてセロトニンという物質が分泌されて、その約15〜17時間後くらいに今度はメラトニンという物質が分泌される…。
メラトニンは夜眠くなるのに欠かせない物質で、PCやゲームモニターのブルーライトはこのリズムを阻害します。すると睡眠のリズムが崩れて、寝るべき時間に眠れなくなってしまうんですね。
暖色のサングラスをかけたり、スクリーンに搭載されているブルーライトカット機能を使う
メンタルヘルス
インターネットゲーム障害は今や立派な精神疾患です。2019年にはWHO(世界保健機関)もゲーム障害を精神疾患認定(#2)していたり、世界的に対策が求められる段階にきています。
例えばゲーム依存から抜け出せなくなって、オフの時もゲームのことが頭から離れない…みたいな症状ですが、現段階での診断基準にはまだ議論の余地がありそうです。
まとめ
eスポーツ自体がまだ歴史が浅い分このテーマに関する科学的なデータも少ないですが、すでに幾つか気を配れる余地もありそうですね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- eスポーツにまつわる健康被害は、長時間のゲームやそれに伴う姿勢、生活習慣の乱れ、運動不足からきていた
- eスポーツ競技者やゲーマーたちは、健康への被害を最小限にするために睡眠、食事、運動にも気を遣うべき
- 既に何等かの問題を抱えていて、上記で書いた対策でカバーし切れない場合は専門医に診てもらうほうがいい
こんな感じでしょうか。結局はゲームのしすぎで他の生活習慣がおざなりになっているよ!ということでしたね。
赤羽(Akabane)
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#1 Zwibel H, et al. An Osteopathic Physician’s Approach to the Esports Athlete. J Am Osteopath Assoc. 2019 Nov 1;119(11):756-762.
#2 WHO. World Health Assembly Update, 25 May 2019, accessed on 6th Feb 2020.