赤羽(Akabane)
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eスポーツの盛り上がりの裏で…ゲーム文化は睡眠に悪影響?競技者たちが取るべき対策とは?
eスポーツはゲームを正式な競技として行う新感覚のスポーツで、色々な種類の世界大会が行われるようになってきています。今まさにアツいジャンルですね。
ただ、eスポーツの世界で生きていくには相当な量をプレイしないと厳しいようで、この点は他のスポーツと同じであります。そこでこの記事では、eスポーツの睡眠への影響について見ていきましょう。
eスポーツの睡眠への影響は?
2020年にフリンダース大学が発表した研究(#1)では、eスポーツの睡眠への影響は大きいんじゃないか…?という結論に至っていました。
この研究はeスポーツに関する過去の文献をレビューしたもので、ザッと以下のテーマを調べていました。
- ゲーム文化やジャンルによって睡眠にどんな影響があるのか?
- eスポーツで睡眠時間が削られていく仕組み
- eスポーツ競技者たちの快眠ニーズを満たすための方法
ではこれらについて、研究の要約を見ていきましょう。
- eスポーツは他のスポーツと違って環境や周りのサポートの設備が整っていなかったり、ゲーム特有の文化によって規則正しい生活が脅かされる可能性が高い
- eスポーツはカフェインの摂取や遠征、大会前の緊張などによって睡眠に悪影響を与えるかもしれない
- ゲームジャンル別では特に違いはみられなかったが、従来のスポーツに関するデータを参考すると個人競技の方が睡眠時間が短縮されるかも
- eスポーツの競技人口は比較的若いので、夜型の生活になりやすかったりする
- eスポーツ競技者はナイトシフトと似た睡眠リズムになりがちなので、練習後は暗めのサングラスをかけることでブルーライトを避けてリズムを整える、或いは「不眠症のための認知行動療法(CBT-I)」を受けるのも効果的とのこと
一つ目からザッと解説すると、従来のスポーツにはエリート育成コースなどが充実していて、それと同時に栄養や睡眠などの重要性も教えこまれることが多い一方、eスポーツにはこれが十分でない!という指摘です。
またeスポーツにはゲーム文化が根底にあって、「やり込み」が良しとされる風習があると考えられます。最近ではゲーム実況配信者などで寝落ちするまでプレイする…といったこともあるみたいで、こうした影響を受けて生活リズムの崩れにつながると睨んでいるんですね。
二〜四つ目は、eスポーツに留まらず睡眠に影響を与える要素についてです。夜型の生活やそれに伴うカフェインの大量摂取、また大会が夜に開催されることが多いのも生活リズムを崩す要因になり得るとのこと。
そして最後にeスポーツ競技者たちに向けた睡眠の改善法です。ここでは夜更かしして練習をした場合にブルーライトを避けるためにサングラスをかけることがおすすめされています。また不眠症に効果的なCBT-Iで、快眠を邪魔する思考のクセを矯正するのも効果的だと考えられますね。
まとめ
というわけで、eスポーツが睡眠に及ぼす影響についてでした。こうした研究はまだまだ発展段階なので、今後の細かい実証実験などを待ちましょう。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- eスポーツは他のスポーツと違って育成や教育がまだ充実してなかったり、そもそもゲーム文化が根底にある点で練習への取り組み姿勢などが異なる
- eスポーツ競技者は若者が多いので夜型生活になりやすかったり、eスポーツ関連のイベントも夕方以降開催が多かったりするようで、この辺りが睡眠に悪影響を与えるかもしれない
- 夜更かしして練習した場合はブルーライト対策、睡眠に問題がある場合はCBT-Iなどで根本的な思考の歪みを正した方がよさそうだ
こんな感じでしょうか。ブルーライト対策で外からの影響を防ぎつつ、CBT-Iで内からも快眠できるメンタリティを整えていくイメージですね。
赤羽(Akabane)
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#1 Daniel Bonnar, et al. Risk Factors and Sleep Intervention Considerations in Esports: A Review and Practical Guide. Sleep Medicine Research (SMR) 2019; 10(2): 59-66.