赤羽(Akabane)
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運動やスポーツの暑さ対策で大切な6つの要素&効果的な戦略とは?
この記事では、暑さ対策について、より見識を深めるのに良さげなレビュー研究を見ていきます。出典は、2020年に南オーストラリア大学とシドニー大学が発表した研究(#1)です。
暑さ対策で重要な6つの要素
まず、暑さ対策では、大きく4つの環境的要素と2つの個人的要素をしっかり考慮する必要があります。
環境的要素
- 気温
- 湿気
- 風速
- 放射温度(太陽光の熱)
個人的要素
- 衣服
- 活動
熱中症予防としては、よく気温や湿気の話は出ますが、風や太陽光まではカバーし切れていないケースが多いように感じますね。これの何処が良くないかと言うと、気温はあくまで日陰での温度を反映したものであって、屋外で過ごす場合の太陽光の熱は考慮されないのですね。
実際に、湿球黒球温度を日陰の気温と比べると、なんと15℃も高くなり得るようで、一概に気温だけで決めつけるのが早計だということがわかります。
* 湿球黒球温度…湿った黒い球体を使って算出する暑さ指数のことで、湿度や太陽光温度、気温を考慮して測定する
また、着ている服の通気性や活動の強度などの個人差も、もちろん重要なカギとなります。気温が高くなくとも、【湿度ジメジメ+通気性悪いウェア+風速低い】というような条件下であれば、人体が熱を上手く体外に放出できず、熱中症を引き起こすリスクは高いといえましょう。
暑さ対策で知っておきたい体の仕組み
次に、人体が暑さに適応するための調節機能の概要をおさらいします。シンプルに見ると、熱中症にかからないようにするには、体内の熱収支を気にした方が良さそうです。
例えるなら、カロリー収支みたいなもので、体内に入る熱の割合が増える程、体温がどんどん上昇してしまいます。そして度が過ぎれば、体はショートしてしまい、意識を失ったり、最悪の場合死に至ります。(カロリーも増えるほど太り、いき過ぎると慢性病に繋がる)
暑さ対策として組織規模で出来る2つの戦略
次に、暑さ対策として私たちができることを幾つか挙げていきます。ここでは、対環境用に組織規模で出来ることを2つ見ていきます。
組織規模
- 天気予報などで情報を入手する
- 独自に設備を整えて暑さ指数を測定する
最近では天気データへのアクセスは誰でも簡単にできますし、費用面の心配もナシ。より正確を期すなら、多少のコストを叩いて専用の機器を取り入れれば尚良しですね。
暑さ対策として個人規模で出来る戦略の評価
最後に、暑さ対策で個人ができる範囲の戦略について。研究チームによると、少なくともオーストラリアでは、個人ができる暑さ対策として「水分補給」や「暑さへの順応」だけが重視され過ぎていると言います。
ここで彼らが強調しているのが、「冷却」の重要性でして、ざっとこんなアプローチが効果的なのでは?と説きます。
- 冷水の摂取
- 氷状シャーベットの摂取
- 冷却用衣服、タオルをあてる
- ファン(扇風機とか)に体が湿った状態で当たる
- こまめにゲーム間休憩を挟んで涼む
ただ、注意点として、上記のアプローチは置かれる環境下によっては効果が出なかったり、単体では微妙なモノもあるとのことです。
例えば、冷水や氷状シャーベットの摂取には、体内を冷却する効果は見込めなかったり、ファンに当たる方法は、酷暑下では単体の効果が無い、といった感じです。この辺りのミクロな部分は、現場の監督者たちの力量次第感が否めません。
*ファンの例で言うと、酷暑の中扇風機を回したところで、熱風に当たるようなものなので、他の戦略との組み合わせが必須となる
まとめ
赤羽(Akabane)
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#1 Chalmers S, Anderson G, Jay O. Considerations for the development of extreme heat policies in sport and exercise. BMJ Open Sport Exerc Med. 2020;6(1):e000774. Published 2020 Apr 1. doi:10.1136/bmjsem-2020-000774