現代を生きる狩猟採集民族に学ぶ「健康に長生きするための秘訣」

現代を生きる狩猟採集民族に学ぶ「健康に長生きするための秘訣」

赤羽(Akabane)

今回は「狩猟採集民族の暮らしに学ぶ『健康に長生きするための秘訣』」についてのお話です。

現代を生きる狩猟採集民族に学ぶ「健康に長生きするための秘訣」

狩猟採集民族の暮らしは、いわば現代人のかつての生活を反映しています。それは文明化が進んだ現代においても、根っこは変わらず。今でも狩猟採集を軸に生活している民族が、世界中にはたくさん居ます。

一方で、現代人の大半は文明化によって、これまでとは180°違った世界で暮らしています。生活が便利になる一方で、俗に言う「文明病」、つまり生活習慣病などが急増していて、こうした一面は文明の弊害と言えましょう。

というわけで、この記事では「文明化以前の狩猟採集民族の暮らしをお手本に、健康に暮らす術を学ぼう!」というデータを見ていきます。

文明から切り離された今を生きる狩猟採集民族の暮らし

2018年にデューク大学の研究者らが発表したレビュー研究(#1)では、現代の狩猟採集民族である「ハッツァ族」などを代表に取り上げて、文明化した先進国などとその生活スタイルを比較しています。

このレビューのテーマは、「公衆衛生のお手本としての狩猟採集民族」で、彼らの暮らしを調査してわかった、見習うべき生活スタイルについてまとめてくれていました。生活スタイルの詳しい項目はこんな感じです。

  • 平均寿命
  • 死亡要因
  • 肥満&メタボ
  • 循環器系疾患
  • その他生活習慣病
  • 運動&エネルギー支出
  • 食事

ではザッと結果をまとめていきます。

研究から分かったこと

  • 狩猟採集民族は、現代の先進国民よりも寿命が短いと思われがちだが、その原因は新生児の死亡率が高いからだと考えられる。現に、45歳まで生きた人はその後もう20年以上は生きることができるとのこと。衛生面やヘルスケアなどの設備が充実していれば、先進国民同様にもう少し寿命を伸ばすことは可能ではないかと考えられる
  • 狩猟採集民族は、軒並み低い肥満率を誇り、平生からよく運動していることが分かっている。運動には、直接カロリーを燃焼するだけでなく、間接的に食欲を抑える効果があったり、様々な方面から肥満を予防する効果があると考えられている
  • 狩猟採集民族の食事は、カロリー密度が低く、食物繊維が豊富でGI値が低い食品が中心であることが分かっている。こうした食事は、加工食品などが中心の現代に一般的な食事、特に西洋的な食生活とは真逆のスタイルになるが、必ずしも炭水化物の量は少ないとは限らないようだ
  • 狩猟採集民族のその他の健康的な側面としては、友情や家族との関わりが深く、社会経済的な不平等がほとんど無いことが挙げられている。こうした側面も、いわゆる現代人の生活とは対極に近く、慢性的なストレスなどを通じて文明病に寄与しているのかもしれない
  • 狩猟採集民族たちの健康状態は、人種や民族によってあまり変わらず普遍的であった。このことから、彼らの遺伝的要素というより、彼らを取りまく環境がそうさせている可能性が考えられる
  • 現に、狩猟採集民たちがその暮らしを離れて西洋的な食事や生活スタイルに順応した場合、いわゆる「文明病」に罹るケースが多数報告されている

ザックリまとめると、狩猟採集民の暮らしから学べることは、「とにかくよく動くべし!」「加工食品や西欧的な食生活を避けてバランス良く食べるべし!」「家族や友人など人間関係のリアルなネットワークを大切に!」といったところでしょうか。

また、現代人に肥満が多い要因としては、1日あたりのエネルギー支出量が少ないというよりは、カロリー過多になっている可能性が高いようです。今では、脂肪と糖質が絶妙なバランスで調整されている加工食品をはじめ、脳を過剰に刺激する食品で溢れていたり、そこら中で簡単に食べ物が手に入ってしまうので、こうした要素が絡み合って食べ過ぎに繋がるのでは?と個人的には考えていますが…。

まとめ

赤羽(Akabane)

狩猟採集民族の暮らしを全て真似して取り入れなくてもいいですが、良いところはどんどん取り入れるべきかと思います。今回、睡眠時間については触れていませんでしたが、以下の記事で意外な事実について書いています。興味があれば続きもどうぞ!

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参考文献&引用

#1 Pontzer H, Wood BM, Raichlen DA. Hunter-gatherers as models in public health. Obes Rev. 2018;19 Suppl 1:24‐35. doi:10.1111/obr.12785