赤羽(Akabane)
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アミノ酸の一種「アルギニン」のサプリでスポーツや競技のパフォーマンスは本当に高まるのか?
アルギニンは、非必須アミノ酸の一種です。運動前に摂ることでパフォーマンスアップにつながる!と言われていて、アスリートにとっても定番のサプリであります。
ちなみに、運動パフォーマンスアップに関わる効能としては、ザっと以下のようなメリットが挙げられています。
- 成長ホルモンの分泌を促す
- クレアチンの材料になる
- 一酸化窒素を生成して血管拡張効果、血液循環の促進をする働きがある
というわけで、この記事では、改めてアルギニンのサプリってどれくらい運動パフォーマンスを高めるの?というデータを見ていきます。
アルギニンサプリでアスリートたちの運動パフォーマンスは高まるのか?をまとめた系統的レビュー&メタ分析
2020年にレオン大学が発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、アルギニンサプリにはアスリートたちの運動パフォーマンス、特に有酸素運動の性能を高める効果があった!という結論になったようです。
この研究は、18件のRCTやランダム化クロスオーバー試験から、394名分のデータを対象に、アルギニンサプリの有酸素&無酸素運動におけるパフォーマンスアップを検証したものです。
それぞれの実験の大まかなデザインは、参加者を以下の2つのグループにランダムで分類したり、同じ参加者に違う期間で以下の両グループをこなしてもらうといった感じ。
- アルギニングループ: 「L-アルギニン」「L‐アルギニン/L‐アスパラギン酸」「アルギニン アルファ ケトグルタル酸(AKKG)」などのフォームで、0.15g/体重kg/日 〜 12g/日の量を飲む
- プラセボグループ: アルギニンサプリと同量の効果のないサプリを飲む
実験期間は大きく短期と長期に分かれて、それぞれ、体力テストの30分前〜2日前からサプリを飲む、7〜45日間でサプリを飲み続けるといった流れでした。
そしてサプリの効果を、ザックリ有酸素性運動、無酸素生運動パフォーマンスに分けて分析した結果、こんなことが分かりました。
- アルギニンサプリは、プラセボよりも有酸素性運動のパフォーマンスを高める大きな効果があった (SMD =0.84; 95% CI, 0.12 to 1.56; I2 =89%; p = 0.02)
- アルギニンサプリは、プラセボよりも無酸素性運動のパフォーマンスを小さいながらも高めた (SMD =0.24; 95% CI, 0.05 to 0.43; I2 =0%; p = 0.01)
*SMD…標準化平均差、この数値が「効果量(効果の大きさを表す数値)」として算出されている。一般的に「~0.2」は効果が小さい、「0.7~」は効果が高いとされる
まとめると、アルギニンサプリには全体的にアスリートたちの運動パフォーマンスを向上させる効果があると言えそうです。特に有酸素性能の向上は目を見張るものがあります。
また、現時点で含まれている研究を詳しく見てみると、短期/長期、有酸素/無酸素の区分別に、以下の条件で高い効果が確認されたみたいです。
- 短期の場合、有酸素と無酸素運動、どちらのパフォーマンスを高めるためにも、一日当たり0.15g/体重kgを運動前60~90分に飲むとイイ!
- 長期の場合、有酸素運動のパフォーマンスを高めるには、一日当たり1.5~2gを4~7週間飲み続けるとイイ!無酸素運動の場合は、一日当たり10~12gを8週間飲み続けるとイイ!
こうした結果も踏まえると、アルギニンサプリには運動の数時間前に飲むことによる超短期的な効果から、数週間飲み続けることによる中期的な効果まで見込めると考えられます。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズは小さい: 参加者数が少ない分、統計的なパワーは弱くなる
- サンプルは限定的: アスリートや普段からよくトレーニングをする人しか含まれておらず、またほとんど男性である。他の特徴を持つ人たちでどこまで同じ結果が得られるか?は分からない
- 適切な量やタイミングに関するエビデンスはまだ少ない: 上記で示されたアルギニンサプリの適切な摂取量やタイミングに関しては、まだ分かっていることが限定的で、断定はできない
また、有酸素/無酸素とひと口に言っても、中身の体力テストの内容にも差があったりして、結果的に有酸素運動のパフォーマンス向上効果には結構なバラつきが見られます。この辺り、今後は追試が増えていって細かい検証まで進むとイイですね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- アルギニンは非必須アミノ酸の一種で、血管拡張効果やクレアチンの材料になったりと、運動パフォーマンスを向上させるメリットが盛りだくさんな栄養素
- 今回のメタ分析では、様々なアスリートを対象にした実験をまとめると、運動パフォーマンス全般、特に有酸素運動のパフォーマンスを高める効果が確認された
- 適切な量やタイミングについては、まだエビデンスが乏しいものの、一応現時点で効果が高いとされる量・タイミングを目安に飲んでみるといいかもしれない
赤羽(Akabane)
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#1 Viribay, A.; Burgos, J.; Fernández-Landa, J.; Seco-Calvo, J.; Mielgo-Ayuso, J. Effects of Arginine Supplementation on Athletic Performance Based on Energy Metabolism: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients 2020, 12, 1300.