「不安が襲ってくる…」そのメンタルの不調、腸内環境の悪化が原因かもしれませんよ

その他ストレス対策, 体の仕組み, 栄養成分、物質, 考察編

腸内環境を改善する介入で不安症状も改善?

腸内環境 メンタル 不安

今回は「腸内環境とメンタル」についてのお話です。
 

 
腸といえば「第二の脳」なんて呼ばれ始めていて、最近特に注目されている臓器です。
 
 
ではどのようにして腸は「第二の脳」と呼ばれるまでに出世したのでしょうか?ザっと理由を並べてみると、

 

  • 腸内環境が気分やメンタルに多大な影響を与える「セロトニン」や快楽を司る「ドーパミン」といったホルモンの分泌に深く関係しているから(#1,#2)
  • 腸内環境は迷走神経など興奮/リラックスを司る中枢神経系にも深く関係していて、腸内細菌叢と情報を交信しているから(#3,#4)

 

こういった報告が結構上がっています。「脳-腸-腸内細菌叢軸(#5)」なる体の神経伝達軸を表す言葉もあるくらいで、最早腸とメンタルは切っても切り離せない関係と言えましょう。
 

過去の「腸内環境改善で不安を撃退しよう!」という比較実験をレビューした結果…

では本題に入ります。今回は「腸内環境を改善する介入実験で本当に不安症状も改善するの?」という疑問について。
 
 
参考になるのが、2019年に上海交通大学が発表した系統的レビュー(#6)で、これは過去21件のRCTから1503名のデータをまとめたもの。
 
 
具体的な内訳としては、

 

  • 14件…プロバイオティクスを使って不安症状改善を目指す
  • 7件…IBS(腸過敏性症候群)患者に「低FODMAPs食」など、食事で不安症改善を目指す

 

こんな感じ。プロバイオティクスのサプリで直接腸内の善玉菌を増やすパターンと、腸に優しい食事で間接的に改善するパターンの大きく2つですね。
 
 
ちなみに「低FODMAPs食」とは、炎症が起きてたり悪い細菌が繁殖したりして、腸内環境が荒れている人用の食事。こうした人は腸が上手く栄養を吸収できなかったりガスが溜まりやすいので、消化吸収が大変な一部の炭水化物(食物繊維)を徹底して減らすことが先決なんですね。
 
 
でこうした実験を4~8週間行った結果は、

 

  • 21件中11件で不安症レベルの改善が確認された!

 

全体の半分以上の研究で腸内環境改善効果が見られた模様。なかなかの効果ではないでしょうか。
 
 
さらに詳しく見てみると、

 

  • プロバイオティクスだと36%で不安症改善効果が見られた
  • 食事による介入だと86%で不安症改善効果が見られた

 

こんなこともわかりました。どうやら腸に優しい食事を心がけたほうが不安解消に繋がるかもしれない、と。
 

プロバイオティクスより食事が優れていた要因は?

プロバイオティクスよりも食事で一定の効果が得られた要因としては、

 

  • 腸内細菌のエネルギー源は主に食事なので、食事内容を根本から変えることで直接腸内環境の改善につながりやすかった
  • 一方外部から善玉菌を取り込む方法だと、既存の腸内細菌との生存競争になって、全部が効率よく根付くとは限らない
  • 実験の調査期間が数週間しかないので、取り込まれた善玉菌が根付くには短すぎた

 

この辺りが挙げられています。どれも影響してそうですね。
 
 
では以上も踏まえて、最後に今回の内容をまとめます。

 

ポイント
  • 腸内環境を整えると不安症状も和らぐ可能性は高い
  • 今回の結果では「腸に優しい食事」のほうが効果が見込めそう
  • 腸内環境に問題がなければ食物繊維をたくさん摂ること、問題がある方は「低FODMAPs食」などを心がける
 

この辺りを押さえておくとよろしいかと思います。
 
 
結びに研究チームの言葉で締めましょう。
 

今回、益々多くの研究者が我々の健康における腸内フローラの重要性に気づいていることが示された。しかし他方で、我々の日頃の食事の機能性は無視され続けている。[筆者訳]

 
研究チームが指摘するように、私たちは日頃食事に気を遣わなすぎなのかもしれません。腸内環境に優しい食事や、腸内の善玉菌を増やすための食事は今後取り上げていきます。

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赤羽(Akabane)

腸内環境の改善や腸内細菌についての関連記事を以下に並べておきますので、よろしければ続きもご覧ください。

参考文献&引用

#1 Natalie Terry and Kara Gross Margolis. Serotonergic Mechanisms Regulating the GI Tract: Experimental Evidence and Therapeutic Relevance. Handb Exp Pharmacol. 2017; 239: 319–342.

#2 Rahul Mittal, Luca H. Debs, Amit P. Patel, Desiree Nguyen, Kunal Patel,Gregory O’Connor, M’hamed Grati, Jeenu Mittal, Denise Yan, Adrien A. Eshraghi,Sapna K. Deo, Sylvia Daunert, and Xue Zhong Liu. Neurotransmitters: The critical modulators regulating gut-brain axis. J Cell Physiol. 2017 Sep; 232(9): 2359–2372.

#3 Cryan JF, Dinan TG. Mind-altering microorganisms: the impact of the gut microbiota on brain and behaviour. Nat Rev Neurosci. 2012 Oct;13(10):701-12.

#4 Bruno Bonaz, Thomas Bazin, and Sonia Pellissier. The Vagus Nerve at the Interface of the Microbiota-Gut-Brain Axis. Front Neurosci. 2018; 12: 49.

#5 Clair R. Martin, Vadim Osadchiy, Amir Kalani, and Emeran A. Mayer. The Brain-Gut-Microbiome Axis. Cell Mol Gastroenterol Hepatol. 2018; 6(2): 133–148.

#6 Yang B, Wei J, Ju P, et al. Effects of regulating intestinal microbiota on anxiety symptoms: A systematic review. General Psychiatry 2019;32:e100056. doi: 10.1136/gpsych-2019-100056.