【腸過敏性症候群】「低FODMAPs」の食事制限はどのくらい効果があるのか?

2019年7月8日その他ダイエット, 体の仕組み, 考察編

「低FODMAPs」の食事制限はお腹の調子を改善してくれるのか?

FODMAPs 腸内環境 食品 IBS 腸過敏性症候群

今回は腸内環境に優しい「低FODMAPs」食事制限は実際に効果があるのか?というお話です。
 
 
「FODMAPs(フォドマップ)」については前章でザックリ説明しておりますが、一応ここでも軽くおさらいしておきます。
 

「FODMAPs」とは、「Fermentable(発酵性)」「Oligosaccharides(オリゴ糖)」「Disaccharides(二糖類)」「Monosaccharides(単糖類)」「Polyols(ポリオール)」の頭文字を取った名称で、短鎖炭水化物や糖アルコールのグループを表したものである。[筆者訳](#1)

 
これだけだとあまりピンときませんが、要はこうした炭水化物の仲間たちは消化吸収が大変だったり、腸内でガスを発生させやすかったりで、腸内環境が最悪な人にとってはよろしくないモノなんですね。
 
 
で荒れ果ててしまった腸内環境を復旧するために、これから紹介する「低FODMAPs食」が効果てき面だ!と。
 


 

2016年シドニー大学のメタ分析

ではここからが本題です。ここでは「低FODMAPs」と腸過敏性症候群(IBS)に関する大規模な研究を幾つか見ていきます。
 
 
はじめに2016年にシドニー大学が発表したメタ分析(#2)から見てみましょう。
 
 
この研究では、6件のRCTと16件の比較実験を集めて、「低FODMAPs食」は腸過敏性症候群(IBS)の症状をどこまで改善するのか?を調べてくれています。
 
 
期間はRCTだと3~6週間、その他比較実験だと最短で2日間のものから35か月追跡している実験もあったみたい。
 
 
でザックリと結果を見てみると、

 

低FODMAPs食 vs. 比較グループ
  • IBSの症状が緩和した
  • お腹の痛みも軽減
  • お腹の膨満感が軽減
 

全体でこのような改善が見られました。研究によって比較グループが違ったりして、研究間のバラつきはありますが、少なくとも普通の食事アドバイスよりはIBS改善に効果がありそうですね。
 

2017年ラクイラ大学のメタ分析

お次は2017年にラクイラ大学が発表したメタ分析(#3)です。
 
 
この研究は6件のRCTと6件の観察研究を集めて、短期~中期までの期間で幅広く低FODMAPs食のIBS改善効果を調べてくれたもの。
 
 
RCTでは最短11日間~4週間までの短期間、観察研究では4週間~15か月まで中くらいの期間で効果を見ています。
 
 
すると結果は次のようになりました。

 

  • RCTでみると、低FODMAPs食グループは伝統的な食事と比べてお腹の痛みや膨満感が有意に改善したが、便通の改善には大差なかった
  • 観察研究では、低FODMAPs食をした群で、普段の食事の場合と比べてお腹の痛みや膨満感が有意に改善した

 

どうやらIBS改善の伝統的な食事スタイルよりも症状改善が見込めるみたい。ただしこのの結果は、長くて4週間までの短期間なので、長期になった時どうなるか?は分かっていません。
 
 
一方で、またしても確認できたのがお腹の痛みや膨満感の改善効果です。ここまででも、低FODMAPs食はこの2つにはかなり効くんではないかと思われます。
 

2018年デュースブルクエッセン大学のメタ分析

では最後に2018年にデュースブルクエッセン大学が発表したメタ分析(#4)です。
 
 
この研究では9件のRCTから596名を対象に全体の効果をまとめたところ、

 

低FODMAPs食 vs. その他食事
  • IBSの症状が改善した
  • お腹の痛みも和らいだ
  • 健康にまつわる主観的な生活の質も増した
 

このような結果が得られました。これまで出たお腹の痛みはもちろん、IBSの症状全般のスコアも改善した様子。
 
 
ちなみに今回比較した食事は、
 

  • 3件…参加者らの普段の食事
  • 2件…西欧の食生活
  • 2件…IBS(腸過敏性症候群)に推奨される食事
  • 1件…高FODMAPs食
  • 1件…プラセボ食

 
こんな感じです。上で紹介した過去研究よりも更に色々な食事と比較してくれています。
 
 
この結果から、低FODMAPs食はIBS改善にかなり効果が見込めるうえに、IBSに特化した食事と並べても遜色ないかもしれません。
 
 
ちなみにこうした結果は「低FODMAPs食と基本のIBS改善食」で比較したメタ分析(#5)でも報告されていて、なかなか期待できるかと思います。
 

まとめ

では最後に今回の結果をまとめます。

 

ポイント
  • 「低FODMAPs」は腸過敏性症候群(IBS)に効いてお腹の調子を改善してくれそう
  • その効果は一般的なIBS改善食と同等かそれ以上かもしれない
  • ただ長期の研究結果が足りないので、短期~中期くらいの結果として捉えるべき
 

こんな感じでしょうか。結構「低FODMAPs」のメタ分析は出ているものの、どれも短期間の研究ばかりで長期間調べたものはあまり出ていない、と。
 
 
とはいえ、そもそも「低FODMAPs」自体何年も実践するような食事法ではありませんし、短期で効果が見込めることが分かっただけでも大きな収穫かと思います。(栄養が偏るし、FODMAPsには食物繊維など大事な成分も含まれるから)

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赤羽(Akabane)

今回は低FODMAPsがお腹の調子を改善してくれることが分かりました。次回は「低FODMAPs」の問題点について幾つか書いていこうと思っています。興味のある方は次回も是非。

壊れた腸内環境を立て直す「FODMAPs」バックナンバー

参考文献&引用

#1 Peter R Gibson Susan J Shepherd. Evidence‐based dietary management of functional gastrointestinal symptoms: The FODMAP approach. Journal of Gastroenterology and Hepatology Volume25, Issue2, February 2010, Pages 252-258.

#2 Marsh A, Eslick EM, Eslick GD. Does a diet low in FODMAPs reduce symptoms associated with functional gastrointestinal disorders? A comprehensive systematic review and meta-analysis. Eur J Nutr. 2016 Apr;55(3):897-906.

#3 Altobelli E, Del Negro V, Angeletti PM, Latella G. Low-FODMAP Diet Improves Irritable Bowel Syndrome Symptoms: A Meta-Analysis. Nutrients. 2017 Aug 26;9(9). pii: E940.

#4 Schumann D, Klose P, Lauche R, Dobos G, Langhorst J, Cramer H. Low fermentable, oligo-, di-, mono-saccharides and polyol diet in the treatment of irritable bowel syndrome: A systematic review and meta-analysis. Nutrition. 2018 Jan;45:24-31.

#5 Péter Varjú, Nelli Farkas, Péter Hegyi, András Garami, Imre Szabó, Anita Illés, Margit Solymár, Áron Vincze, Márta Balaskó, Gabriella Pár, Judit Bajor, Ákos Szűcs, Orsolya Huszár, Dániel Pécsi, József Czimmer. Low fermentable oligosaccharides, disaccharides, monosaccharides and polyols (FODMAP) diet improves symptoms in adults suffering from irritable bowel syndrome (IBS) compared to standard IBS diet: A meta-analysis of clinical studies. PLoS One. 2017 Aug 14;12(8):e0182942.