赤羽(Akabane)
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物を買うことの「幸せ」が長続きしないのは何故?
「結局世の中お金が全てでしょ?」という意見があれば、「モノじゃ人は幸せになれないよ」とはよく言ったものですが、実際はどうなのでしょうか?
モノは買っても買っても満足しない「ヘドニックトレッドミル」
そこで参考になるのが、2014年にベイラー大学が発表した研究(#1)です。この研究によると物を買っても買っても人生満足度は増えない!という結論に達したようです。
ザックリした概要は、246人(129人女性)の私大の商学科のメンバーを対象に、物質主義と幸福度の相関関係を調べたというもの。
そして今回測定するのは、欲求充足度、感謝、人生満足度など。欲求充足度というのは、「日頃、自分を満たすような行動がどのくらいできているか」の基準ですね。これらは1~7のような度合いでアンケートがとられたようです。
すると結果は次のようになりました。
- 物質主義者ほど、人生満足度が低く欲求も満たされていなかった
- 欲求充足度、人生満足度の低さがこの強い相関関係の50%も影響していた
- 感謝の度合いは最も影響力が高かった
どうやら物質主義に走るのは負のスパイラルのようです。物を買うことに固執してしまうとどんどん新しい欲しいものが増えていき、<<今、自分は欲しいものをまだ手にしてない>>ということばかり考えてしまうのですね。そして現状にいつまでたっても満足できなくなってしまう。こうなると、どんなにイイ物を買ってもすぐに慣れてしまうので、幸せな気分はそれほど続きません。
- 欲しい物を買う「やったー!」
- もっとイイ物が欲しい…
- あれも欲しい、これも欲しい
- 今この時(現状の物)に決して満足できない
こうした物質への一種の「慣れ」をヘドニック・トレッドミルと呼ぶそうです。念願叶って欲しかったものを手に入れても、すぐに慣れてしまい更に上のグレードを欲してしまったり。そこで、本研究の教授らは2つの方法をおススメしています。
- 日頃から感謝の気持ちを高める
- まだ見ぬ新しい別の欲求を探して満たす
2つ目なんかは納得ですね。服なんかに対する物欲が半端ない時には、知識欲を高めるべくひたすら本にお金を投資してみたり。すると不思議なことにメルカリを全く開かなくなっているんですよね..。
ということで結論は、物を買っても買っても幸せになれるとは限らない、くらいになりそうです。いかんせん、この研究では「物質主義者だと幸せになれない!」みたいな因果関係は明らかではないので。ただ、物を買っても幸せは続かない、という感覚は人間の「慣れ」の観点から考えると納得のいく説だと思います。
【モノか経験か】「幸せをお金で買う 5つの授業」に学ぶ、幸福になれる5つのお金の使い道とは?
参考文献&引用
#1 Jo-AnnTsang,Thomas P.Carpenter,James A.Roberts,Michael B.Frisch,Robert D.Carlisle,”Why are materialists less happy? The role of gratitude and need satisfaction in the relationship between materialism and life satisfaction“,Personality and Individual Differences,Vol.64,pp62-66,2014.