赤羽(Akabane)
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人は罪悪感に苛まれている時にこんな仕草を見せる!という研究結果
罪悪感といえば、何かしでかしてしまった時に後悔したり、被害を被った人に申し訳なく感じたりする時の感情ですね。
この罪悪感、最近では「他人から信頼に足る人間だと思ってもらえるために大事な要素だ」という報告が上がっていたり、個人的にも注目していたりします。
というわけで、この記事では「人が罪悪感を感じているときに見せがちな仕草が分かったぞ!」というデータを見ていきます。
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人は罪悪感に苛まれている時にしかめっ面と首に手を当てる仕草を見せるようだ
2020年にポーツマス大学とオタゴ大学が発表した研究(#1)によると、人は罪悪感に苛まれている時、しかめっ面と首に手を当てる仕草を見せる傾向があることが分かったようです。
この研究では、計238名を対象にして大きく2つの実験を行っていました。
- 実験①: イギリス在住の131名(平均25.41歳)を対象に、以下の実験を行う
- 実験②: イギリス在住の114名(平均29.96歳)を対象に、以下の実験の様子を録画した動画を見てもらい、被験者らが罪悪感を感じていそうだと思ったら報告してもらう
*実験の大まかな流れ…性格特性に関する診断ツールに回答→怒り・恐怖・喜び・嫌悪・驚き・悲しみの6つの感情を表情で表現してもらう→過去にあった、①罪悪感を感じた出来事、②誇りに思う出来事、を思い出してもらうグループに無作為に分類する→①と②で、その出来事について書いたデータをUSBに保存し、渡してもらうように頼む→①でのみ、そのUSBが壊れてしまっていて、データが失われてしまったこと、その旨を調査機関に報告することを伝える(もちろん嘘)→最後に①②両方でポジティブ・ネガティブ感情に関するアンケート調査を行う
要するに、罪悪感について書き出してもらったり、その後で実際に罪悪感を感じてしまうような状況をわざと作り出すことで、参加者らはどんな反応をするのだろうか?と。なかなかイヤらしい実験ですね(笑)
そして結果は、こんな感じになりました。
- USBデータ喪失の件直後に、実験を通して①のグループで特に罪悪感や恥の気持ちが高まっていて、こうした心情の変化は第三者にもよく伝わっていた
- 実験後の感情の調査結果を比較すると、①は②よりもポジティブ感情が減少し、ネガティブ感情や罪悪感、恥、ストレスが高まっていた
- ①と②の振る舞いを比べると、①のグループで、しかめっ面や首を触る頻度が多いことが分かった
どうでしょう、実際に振り返ってみて心当たりはあるでしょうか?個人的には、申し訳ない気持ちになった時に自分でもよく首根っこを触る心当たりがあります。顔がしかめっ面になってしまうのは、何となく納得のいく結果かと。
他にも、①のグループでは、口角を上げたり、エクボを見せたり、顎を上げたりする頻度が少なかったりしたようで、全体的にネガティブな印象がありますね。
また、こうした仕草が「罪悪感ではなく恥の感情と関係しているのでは?」という可能性についても検証してくれていまして、こちらは相関が見られなかった様子。この点からも、今回の結果が罪悪感と結びついている可能性の方が高いと考えられます。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- イギリス人が大半だった: 他にも中国人などもそこそこ含まれていたが、人種の幅が狭い分どこまで一般化できる内容なのか?は分からない
- 首に触れる仕草はそれ程多く確認されたわけではなかった: 統計的に有意な効果ではあったものの、罪悪感を感じるグループの12.5%でしかこの仕草は確認されなかった
実験のコントロール下ではありますが、その場で罪悪感を再現しようと試みていたり、現実世界での文脈により近づけようとしている点では、なかなか参考になる研究だといえましょう。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 人は罪悪感に苛まれている時にしかめっ面と首に手を当てる仕草を見せがちみたいだ
- 今回の研究では、罪悪感を感じるような状況に遭った参加者は、罪悪感や恥、ネガティブ感情などが増していて、こうした心境の変化は第三者にもよく伝わっていた
- 罪悪感という感情に関しては、表情や仕草などに読み取る手がかりが表れやすいのかもしれない
赤羽(Akabane)
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#1 Julle-Danière E, Whitehouse J, Mielke A, et al. Are there non-verbal signals of guilt?. PLoS One. 2020;15(4):e0231756. Published 2020 Apr 24. doi:10.1371/journal.pone.0231756