オーツ麦のβグルカンはどこまで健康にいいのか?

オーツ麦のβグルカンはどこまで健康にいいのか?

赤羽(Akabane)

今回は「オーツ麦のβグルカンはどこまで健康にいいのか?」というお話です。

オーツ麦のβグルカンはどこまで健康にいいのか?

オーツ麦(えん麦)は麦の一種で、水溶性のβグルカンを始めとした食物繊維やミネラル、ビタミンB群などが豊富です。トレイニー御用達のオートミールはこのオーツ麦が原料になっています。

というわけでこの記事では、オーツ麦に含まれるβグルカンはどこまで体にいいのか?を検証したデータを見ていきます。

中期的に見たオーツ麦の健康効果を検証した実験

2020年にサントルソラ=マルピーギ総合病院が発表したRCT(#1)によると、βグルカンが豊富なオーツ麦は高コレステロール気味な人たちのコレステロール値を軒並み改善したようです。

この研究は83名のコレステロール値が高めなイタリア人を対象に、8週間の食事介入試験を行ったもので、まず彼らをランダムで以下の2グループに分けました。

  • オーツ麦βグルカングループ:毎日3gのオーツ麦(βグルカン入り)を水に溶かして毎朝飲む
  • プラセボグループ:同量のオーツ麦(βグルカンなし)を水に溶かして毎朝飲む

そして実験が終わったら4週間の期間を置いてから、今度はグループを入れ替えて同じ手順を踏んでもらうという内容でした。(クロスオーバー試験)

測定項目は実験前後と4週間目時点でのコレステロール値や血糖値、主観的なお腹の調子で、グループ間でどんな変化があるのか?を追っていったようです。

するとこの実験の結果、こんなことが分かりました。

結果
  • βグルカン入りオーツ麦を食べたグループは4週目時点でLDLが12.1%、実験終了時で15.1%減少していた
  • 更に総コレステロールと非HDLは4週目時点でそれぞれ6.5%、11.8%減少し、実験終了時には8.9%、12.1%減少していた
  • 空腹時血糖値、主観的なお腹の調子には両グループで効果はなかった

まとめると、βグルカンが含まれるオーツ麦を毎日食べ続けたグループで有意にLDLや中性脂肪などが下がっていたんですね。この事実から、βグルカンが重要なカギであると考えられますね。

具体的には、βグルカン入りオーツ麦を食べたグループでは8週間を通してLDLが0.59 mmol/L (95%CI: −0.8 ~ −0.39)下がったとのことで、この効果は男性よりも女性、高齢者よりも若者で大きく見られたみたい。原因はよくわかっていません。

また実験の間に置いた4週間の期間うちに、上記の効果はまた実験前に戻ってしまったみたいで、どうやら継続して摂り続けることが大事らしいですね。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくとよろしいかと思います。

注意
  • 食事のコントロールは厳密ではない:地中海食のガイドラインに沿った食事を勧められたり、赤肉と乳製品をなるべく避けるように指示を受けていた
  • どこまで一般化できるか?問題:参加者はイタリア人のみで、高コレステロール気味だったので、他の地域や文化の中でも同様の結果になるか?は分からないし、健康な人でどこまで効果があるかは不明
  • 実験期間は短い:研究チームは中期と定義しているが、8週間は比較的短い

また血糖値への効果が見られなかったのは恐らく参加者の血糖値が至って正常だったからかもしれないです。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • オーツ麦やオオムギに豊富な水溶性食物繊維の一種「βグルカン」
  • βグルカン入りのオーツ麦で短期間だがコレステロール値全般を改善する効果がみられた
  • 食物繊維意外にもミネラルやビタミンB群などが豊富なので健康には良さそうだ

こんな感じでしょうか。オーツ麦の栄養の中でも水溶性食物繊維であるβグルカンは重要みたいですね。

赤羽(Akabane)

実験で使われたオーツ麦ではありませんが、オートミールはAmazonにも結構ありますね~。興味のある方は試してみてはいかがかと思います。私もオートミールには興味があるので試してみようかなぁ。

参考文献&引用

#1 Arrigo F.G. Cicero, et al. A randomized Placebo-Controlled Clinical Trial to Evaluate the Medium-Term Effects of Oat Fibers on Human Health: The Beta-Glucan Effects on Lipid Profile, Glycemia and inTestinal Health (BELT) Study. Nutrients 2020, 12(3), 686.