赤羽(Akabane)
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チューインガムを噛めば腹部手術後に低下した便通も改善できる!というメタ分析
ガムにはリラックス効果などなにかとメリットがあることがわかっていますが、この記事では「ガムが術後の腸機能を早く回復させてくれるかも!(便通の改善に繋がるかも)」というデータを見ていきます。
チューインガムで腹部手術後の便通が善くなる!というメタ分析
2015年にイングランドの「UHB Education and Research Centre」が発表したメタ分析(#1)によると、チューインガムが腹部手術後に低下した腸の機能の回復を早めてくれるようです。
この研究は81件のRCTから腹部手術後(帝王切開や直腸手術など)の9072名分のデータを集めたもので、各実験では彼らを以下のようなグループにランダムで分けていました。
- ガムグループ:術後にガムを噛む
- プラセボグループ:術後に飴を舐めたり磁気バンドを巻いたり意味のないことを行った
シンプルですね。そして腹部術後に低下しがちな腸機能の回復までの時間や退院までの期間などをチェック、グループごとに比較をしました。
すると結果、以下のような事実がわかりました。
- 最初のおならまでの時間が10.4時間早まった(95% CI, -11.9~ -8.9)
- 退院までの期間が0.7日早まった(95% CI, -0.8~ -0.5)
- 最初のお腹のギュルギュル音までの時間が5時間早まった(95% CI, -6.4~ -3.7)
- 腸の運動が始まるまでの時間が12.7時間早まった(95% CI, -14.5~ -10.9)
まとめると、腹部手術後にチューインガムを噛むことでお腹の調子が早く改善されて退院までの期間もちょっと短縮されたんですね。
メカニズムについては、ガムを噛むことで体が「食事が始まった!」と勘違いして、消化器官の働きを促すのでは?という可能性が挙げられています。「別にそれだけなら他の食べ物でもいいのでは?」と思われるかもしれませんが、腹部手術後すぐに食べ物を口にすると嘔吐や吐き気などの合併症の恐れがあるので、今回のようなケースではガムが最適なのではないか?と。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくとよろしいかと。
- 結果のバラつきは大きい:どうやら腹部手術の内容によっても効果は左右されるようで、全体的にガムを噛むことで効果は見込めるものの個人差は大きく出そう
- 対象はあくまで腹部術後の患者のみ:ガムの便通改善効果はメカニズムも挙げられているが、普通に便秘気味な人でどのくらい効果があるかは分からない
- 実施&報告バイアスの可能性がある:グループ分けや実験の意図が参加者らには隠せなかったり、実験の事情を知っている分結果にバイアスがかかりやすい。また研究者にとって都合の良い結果が強調されている恐れがある
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- チューインガムで腹部手術後の腸の不調を改善する効果が見られた
- ガムを噛むことで、おならやお腹の音、腸が運動し始めるまでの時間が早くなって、退院までの期間も短縮された
- ガムには消化器官の運動を促す効果がありそうなので、普通の便秘にも効果が見込めるかもしれない
こんな感じでしょうか。ガムで便通が善くなるならかなりコスパが良いですね。
赤羽(Akabane)
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#1 Short V, et al. Chewing gum for postoperative recovery of gastrointestinal function. Cochrane Database Syst Rev. 2015;2:CD006506.