赤羽(Akabane)
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筋肉を負荷に慣れさせないトレーニング法「ピリオダイゼーション」は筋肥大に効果的なのか?
まずはピリオダイゼーションって何?というところからおさらいしておきましょう。
筋肉を負荷に慣れさせない緻密なトレーニングテク「ピリオダイゼーション」
ピリオダイゼーションとは、簡単に言うと「週や月の中でトレーニングの量(ボリューム)や強度を変えていくテクニック」のこと。
具体例を挙げると、
- 1回目:3 × 18~20RM
- 2回目:3 × 8~10RM
- 3回目:3 × 13~15RM
こんな感じで、週の中で強度をその都度変えていったりします。ちなみに年単位で計画するピリオダイゼーションは「マクロサイクル」と呼ばれていて、月単位は「メソサイクル」週単位は「ミクロサイクル」という風に分類されていますね。
でこれが神経系の同じ負荷への慣れを防いで、頭打ちになった筋力アップを再加速させる!と話題なんですね。(他の目的としてはオーバートレーニングの防止とか)
ピリオダイゼーションは筋肥大に効果があるのか?現段階で最も信頼できる研究によると…
ではここから本題に入ります。この問題については、2019年にケンタッキー大学が発表したレビュー研究(#1)が参考になりそうです。
これは過去のピリオダイゼーション研究をザっとレビューして、筋力アップと筋肥大への効果についてまとめられたもの。
ここでは筋肥大への効果として現状わかっていることを見ていきましょう。
- ピリオダイゼーションの対筋肥大効果を調べた精度の高い研究は少ない:例えば2018年に出た系統的レビュー(#2)では、筋肥大への効果を調べた研究は12件ヒットしたものの、超音波やMRIなどしっかりした測定法を取り入れていた研究は3件しかなかった
- 肝心のトレイニーを対象にした研究はもっと少ない:同じく2018年の系統的レビューでは、12件のうち、筋トレ経験者を対象にしたものはたった2件しかなかった
- 実験期間が短くてあまり参考にならない:同じく2018年の系統的レビューでも、最大で15週間までの実験結果しか得られなかった。ピリオダイゼーションは年単位で計画する「マクロサイクル」などもあるし、少なくとも半年以上の長いスパンで効果を見たほうがデータとしては参考になる
まとめると、ピリオダイゼーションの対筋肥大効果はまだ全然ハッキリしていない、と。幾つかの研究で効果は確認されているものの、測定法が微妙だったり、肝心のトレイニーを対象とした実験は少なかったり、課題は山積みです。
一方で対筋力アップ効果は結構出ていて、例えば2018年にはメタ分析(#3)も発表されています。結論は、トレイニー(主にアスリート)や初心者問わずある程度の効果が得られて、特に初心者にはオススメ!といった感じ。
まとめ
では最後に今回の内容をまとめます。
- ピリオダイゼーションは週や月の中でトレーニングの量や強度を変えていくテクニック
- 筋肥大への効果を調べた研究自体少なめで、精度の高い研究はもっと少ない
- トレイニーを対象にした研究も少ないし、現状はあまり参考にならないので、とりあえず筋力アップを狙うなら試す価値アリ
ピリオダイゼーションは現状、筋力アップを狙うなら試す価値がありそうですね。特に初心者の方は積極的に取り入れてみるとよさげ。
赤羽(Akabane)
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#1 Jonathan W. Evans. Periodized Resistance Training for Enhancing Skeletal Muscle Hypertrophy and Strength: A Mini-Review. Front. Physiol., 23 January 2019.
#2 Grgic, J., Lazinica, B., Mikulic, P., and Schoenfeld, B. J. (2018). Should resistance training programs aimed at muscular hypertrophy be periodized? A systematic review of periodized versus non-periodized approaches. Sci. Sports 33, e97–e104.
#3 Williams TD, Tolusso DV, Fedewa MV, Esco MR. Comparison of Periodized and Non-Periodized Resistance Training on Maximal Strength: A Meta-Analysis. Sports Med. 2017 Oct;47(10):2083-2100.