赤羽(Akabane)
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リアルな人間関係の意味は?「ファビング」がもたらす心理学的な悪影響と大事なポイント
ファビングは「リアルで人と会っている時にスマホをいじること」を指す造語で、「Phone(携帯電話)+Snubbing(冷たい態度をとる)」の組み合わせからきています。
ではこうしたスマホの弊害は心理学的にどんな悪影響があるんでしょうか?早速見ていきましょう。
ファビングはリアルなコミュニケーションにどのくらい悪影響がある?
ではまず「ファビングって実際どのくらいリアルのコミュニケーションに悪影響なの?」という疑問から。
これについて参考になるのが2018年にケント大学が発表した研究(#1)で、128名の男女(平均19.62歳、18〜34歳、女性114名)を対象にファビングに対する反応を見たもの。
具体的には、まずアニメを観てもらうんですが、その際に次の3つのグループにランダムで振り分けられます。
- 一部ファビング
- 終始ほとんどファビング
- ファビングなし
これらはアニメの登場人物の一人がどのくらいファビングするか?で分けたもの。スクリーン側を向いているキャラがこうしたアクションをします。でアニメ内では、スクリーンに背を向けたキャラも手前に居て、このキャラを自分に見立てて視聴してくれ!といった流れで進みました。(*音声はナシで口はパクパクしている)
そしてその後リアルな会話への帰属意識やポジティブ/ネガディブ感情レベル、コミュニケーションの質や満足度などの質問に答えてもらって、グループ間でどんな違いが出るか?を観たんですね。
すると結果、次のようなことがわかりました。
- ファビングは相手にコミュニケーションの質が低いと感じさせた
- コミュニケーションから得られる満足感も低いと感じさせた
- こうした結果にはコミュニティへの帰属意識が低まることが大きく関係していた
まとめると、ファビングがひどい程その場のリアルなコミュニケーションから得られる満足感は減るわ、質も低く感じられるわ、いいことがなかったんですね。そりゃそうですな…(笑)
当然、目の前でスマホを取り出されてそっちに夢中になられたら、なんで一緒にいるのか?と顔を突っつき合わせている意味が感じられなくなってしまいますね。
ファビングに深く関わっているのはそもそものコミュニケーションに対する向き合い方?!
お次は「ファビングってそもそものコミュニケーションへの向き合い方次第だよね」というテーマです。
これに関して参考になるのは、2019年にトルコのOmar Halisdemir 大学が発表した研究(#2)で、634名の男女学生(女性430名)を対象に、コミュニケーションへの向き合い方とファビングの関係を調べたもの。
ここで見ているのは、
- アサーティブネス:お互いが等しくコミュニケーションに参加する意思を見せつつ、信頼と尊重の気持ちを持って接する態度
- パッシブネス:コミュニケーションにおいて上手く自分を表現できず、効果的な対話ができない態度
コミュニケーションにおける以上のような性質。この2つは天秤の関係で、一方が高まれば他方は低下する感じになります。
で学生らにこうしたアサーティブネス/パッシブネス度やファビング度を確かめる診断テストを行って、互いがどんな風に関係しているかを見ていったようです。
すると結果は、こんな感じになりました。
- アサーティブネスが低いとファビングの傾向が高まった
- パッシブネスが高いとファビングの傾向が高まった
- スマホの場合、ファビングの傾向が高まった
まとめると、低いアサーティブネスと高いパッシブネスはファビングの傾向と相関が見られたんですね。
しかも今回はトルコの中央アナトリア地域の3つの高校から参加者を選出していましたが、学校や性別は結果に影響しなかったみたい。
ここから言えるのは、コミュニケーションへの向き合い方も気をつけないとファビングにつながる可能性がある、と。お互いがコミュニケーションに積極的に参加していれば、そもそもスマホが気になる!なんて思うこともないんではないでしょうか。
まとめ
では最後に今回のまとめです。
- ファビングはやっぱり人を不快にさせる
- コミュニケーションの質を下げたり仲間はずれ感も高めるかも
- ファビングは目の前のコミュニケーションへの向き合い方が良くないと起こりやすいかも
この辺りを押さえておくとよろしいかと思います。まだまだ研究は初歩段階ですが、ファビングは体感的にもされていい気分はしませんね…(笑)
赤羽(Akabane)
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#1 Varoth Chotpitayasunondh, Karen M. Douglas. The effects of “phubbing” on social interaction. Journal of Applied Social Psychology, Volume 48, Issue 6.
#2 Parmaksiz, I. (2019). Relationship of Phubbing, a Behavioral Problem, with Assertiveness and Passiveness: A Study on Adolescents, International Online Journal of Educational Sciences, 11 (3), 34-45.