赤羽(Akabane)
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「お返ししなきゃ…」返報性が逆にプレッシャーになる「返報性不安」
まず「返報性の法則」について軽くおさらいしておきましょう。
恩を受けたらお返しせずにいられない「返報性の法則」
返報性の法則は簡単に言うと、恩義を受けたら返さずにいられなくなる心理のこと。
他人に何かをしてもらったら「しっかり恩を返さなくちゃ」と思いますよね。誰かにプレゼントを貰ったときだったり、何か頼み事をして借りを作った時にもこんな気持ちになるかと。
でこの心理現象で最も有名なのが1971年の実験(#1)で、同じ部屋に居合わせた参加者にコーラをあげるだけで、なんとその後「くじ付き抽選券を好きな枚数でいいから買って欲しい」という申し出に対して、買ってくれる抽選券の枚数が増えた!というお話もあるんですね。
こうした現象が色々な状況で確認されて、瞬く間に「返報性の法則」は一般的なルールにまで出世しました。
「お返ししなきゃ…」が逆にプレッシャーになりやすい?返報性不安レベルをチェックしよう
ではここからが本題です。社会心理学の根底ルールにまでなっている「返報性の原理」ですが、これに不安を感じてしまう人も一定数居るみたいです。
この問題について参考になるのが、2018年に浙江大学が発表した研究(#2)。これは「返報性不安」というものについて、まとめとして返報性不安レベルをチェックするテストを作ってくれています。
ちなみに「返報性不安」とは、何かを貰ったりして恩義を受けた時に、「何かお返しをしなくちゃ..」と逆にプレッシャーを感じたりする性質のこと。この傾向が強い人には、
- 返報性回避性向:何を返そうか?と考えるのが嫌なのでなるべく恩や親切を受けたくない
- 返報性ストレス:恩や親切を受けると逆に不安やストレスが募る
- 返報性返済意欲:恩や親切を受けると一生懸命「返さなくちゃ..」と考えすぎる
こういった特徴があるみたい。スーパーの試食品をパクパク食べまわるような方は、返報性不安については何ら心配なさそうですね(笑)
「返報性不安レベル」をチェックする11問
では早速「返報性不安レベル」をチェックしていきます。以下の計11問の合計点を採点基準に沿って出して、合計点を問題数11で割って全体の平均点を出してみましょう。
採点基準
- 1…全く同意しない
- 2…あまり同意しない
- 3…どちらとも言えない
- 4…やや同意する
- 5…とても同意する
返報性不安度テスト11問
- 借りを増やしたくないので、必要ないときには決して助けを求めない
- すぐに返せると分かっていない限りは大抵恩や親切を受けないことだ
- 返せないなら友人に頼み事はすべきではない
- 恩返しできないなら頼み事はしない
- 誰かが助けようとしてくれる時、その親切に報いることができないなら断る
- 何を返そうか考えずに済むから、頼み事や助けを求めるのをためらう
- 誰かから親切をうけると、どうやって返そうか心配になる
- すぐに親切や恩を返せないんじゃないかとよく不安になることがある
- もし親切や恩に報いることができなかったら、みんなはどう思うだろう..と心配になる
- たまに恩に報いることを気にしすぎていると思うことがある
- 誰かに借りがあるとき、心が落ち着かない
いかがでしょうか。ちなみに平均点の基準は3.325点だったようです。これより高ければ、返報性不安度が高い!ということになりましょう。
結論、「返報性の原理」を嫌がる人も居るから、むやみやたらに使い過ぎないように気を付けたほうがいいよ!ということですね。原理だけ知っている人が返報性不安が高い人に押しつけがましく恩を売ったらどうなるか?…この先は想像に容易いですね..
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Dennis T.Regan. Effects of a favor and liking on compliance. Journal of Experimental Social Psychology, Volume 7, Issue 6, November 1971, Pages 627-639.
#2 Xiling Xiong, Siyuan Guo, Li Gu, Rong Huang, Xinyue Zhou. Reciprocity anxiety: Individual differences in feeling discomfort in reciprocity situations. Journal of Economic Psychology, Volume 67, August 2018, Pages 149-161.