秒でできるストレス対策「リアプレイザル」で恋人との関係が良くなる、ある条件とは?

リアプレイザル 人間関係 恋人

神経科学的なストレスマネジメント「リアプレイザル」

リアプレイザルというメンタルテクニックがありまして、ほんの数秒でできるストレス対策として名高いです。

  • 起こった出来事への解釈のしかた、捉え方を変える

たったこれだけ。例えば事故現場の映像を見せられた時に、「これはケチャップよ..彼らは役者に違いないわ!」と言う風に事故への解釈を変える、といった感じです。これならメンタルが不安定になった時にその場で実践できそうですね。

ちなみに本当に効果はあるの?という点については、2014年に大規模な研究(#1)が発表されてまして、リアプレイザルは脳神経レベルでストレス対処に有効なことが証明されております。

リアプレイザルを使えば人間関係が良好に?

といったところで、今回はリアプレイザルが意外なところでも役立つかも!というお話を。これは2017年にニュー・サウス・ウェールズ大学が発表した研究(#2)で、リアプレイザルは恋人との関係を良くしてくれるのか?を調べたもの。

ザッと中身を覗いてみると、

  • 135名の恋愛関係にある男女学生(付き合って平均2年)を対象に、
  • 10分間リアプレイザルを行う場合、何もしない場合の2パターンに分けた
  • その後、彼らの実体験に基づいて、パートナーと揉めた出来事の再現シナリオを聞かせて、対象者の反応を観察する

こんな感じ。つまり過去にパートナーと揉めた体験談が目の前で再現されて、それを見て感じたことを声にだしてもらう、と。これに対して、あらかじめ揉めた体験をリアプレイザルしておけば、その後で再現シナリオを聞いてもマイナスな気持ちは抑えられるんでは?とにらんでいるんですね。

例:彼女が最近素っ気ないのでつい暴言を吐いてしまった
リアプレイザル:彼女が素っ気ないのは関係がマンネリ化しているからだと思うがいかがかね?デートの場所を変えてみたり、服装をイメチェンしてみたり、君にもできることがあったんじゃないかと思うよ。
ポイント:第三者の視点で揉めた出来事について見つめ直すこと

ちなみに「そんな実験したら意図がバレちゃうんじゃないか?」という疑問については、

この実験の目的は、表向きでは会話を聞いて理解する能力、社会的な交流を確認するものだと銘打ってある[筆者訳]

とのこと。しっかり意図は隠して実験を行ったようで、現に気づいた人はいなかったみたい。

そしてこの実験の結果、ある条件下で、リアプレイザルは次のような効果を発揮したようです。

結果
  • シナリオを聞いてパートナーに対して攻撃的な感情が湧く割合が減った
  • その場でシナリオを演じるメンバーたちに対して攻撃的な感情を抱く割合も減った
  • シナリオを聞いてネガティブ感情が湧く割合は変わらなかった

全体的にリアプレイザルが衝動的な感情を弱めてくれるのがわかります。ではある条件とは何か?それは、

  • パートナーとの関係性が良好なこと

だったみたい。要はパートナーと上手くいっている場合でのみ、リアプレイザルのメンタル安定効果が得られた、と。

とはいえ、この辺りは当の本人たちの性格にも大きく左右されるかと思います。実際問題、実験の中でも、

  • 攻撃的な態度が出やすいタイプだとシナリオによって怒りや負の感情を抱く割合が多かった

という結果が出ておりました。やはり元々短期な性格だと、リアプレイザルを使っても負の感情が湧いてしまうこともあるみたい。

赤羽(Akabane)

まとめると、リアプレイザルで恋人との関係を良くするには、当の本人の性格、パートナーとの良好な関係性が特に大事!という結論に。今回の実験デザインは緩めですが、衝動的な言動を減らしてくれる意味でも、リアプレイザルは良好な人間関係に繋がるんではないかと思います。お手軽なので是非。

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参考文献&引用

#1 Buhle JT, Silvers JA, Wager TD, Lopez R, Onyemekwu C, Kober H, Weber J, Ochsner KN,”Cognitive reappraisal of emotion: a meta-analysis of human neuroimaging studies.“,Cereb Cortex. 2014 Nov;24(11):2981-90.

#2 Blake, K. R., Hopkins, R. E., Sprunger, J. G., Eckhardt, C. I., & Denson, T. F. (2018),”Relationship quality and cognitive reappraisal moderate the effects of negative urgency on behavioral inclinations toward aggression and intimate partner violence.“,Psychology of Violence, 8(2), 218-228.