赤羽(Akabane)
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【ただしSPFに条件あり】日焼け止めは日光のビタミンD合成を邪魔しないらしい。
早速ですが、この問題について最新の研究結果を見ていきましょう。
日焼け止めは、ちゃんと塗れば日焼けを回避しながらビタミンD合成も実現可能らしい
これは2018年にキングスカレッジ・ロンドンが発表した研究(#1)で、79名のポーランド人(スキンレベルⅡ~Ⅳ)を対象に、日焼け止めがビタミンD合成をどのくらい邪魔するのか?を調べたものです。
舞台はリゾート地、スペイン・テネリフェで、まず彼らを1週間の期間で次の4グループに分類しました。
- 高PA日焼け止め(20名):SPF15でPAが高い日焼け止めを朝、昼、昼下がりで塗る
- 低PA日焼け止め(20名):SPF15でPAが低い日焼け止めを朝、昼、昼下がりで塗る
- お任せ日焼け止め(22名):各人好きなように普段使いの日焼け止めを塗る
- ノンホリデー(17名):テネリフェより日差しが少ないポーランドのウッチで普通に過ごす
ちなみにPAはUVAをカット、SPFはUVBをカットする能力を表しています。一般的にはSPF30あたりが一番使われているので、SPF15はあまり強いほうではないですね。
で実験中、日焼け止めグループは30分おきに日光の照射や当たっている時間、体の露出具合などを記録していって、ホリデー前後の血中ビタミンD濃度を「液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置」で測定したようです。
するとこの結果、こんなことが分かりました。
- 日焼け止めを塗った場合はどのグループも日焼けを阻止できていた
- 高PAの日焼け止めのほうが低PAのものよりビタミンD合成が多くなっていた
- 最もビタミンD合成が増えていたのはお任せで日焼け止めを塗ったグループだった
まとめると、しっかり高PAの日焼け止めを塗っていれば日焼けは阻止できるうえに、日光によるビタミンD合成は邪魔されなかったんですね。
また唯一ビタミンD合成が減っていたのはウッチで過ごしたノンホリデーグループでした。これは、十分な日射がなかったからかもしれません。
注意点・まとめ
ただし注意点も幾つかあります。
- 日焼け止めのSPFは低めだった:今回の使われた日焼け止めはSPF15とやや低め。ビタミンD合成にはUVBが関わっているので、高SPFだとビタミンD合成が減ってしまうかも
- お任せグループの詳細は分からない:今回最も結果が出たのは、各自で普段通り日焼け止めを塗ったグループだったが、彼らがどんな日焼け止めを使って、どのくらい塗っていたか?などは不明
- グループ分けはランダムではない:実験の質を高める方法として、グループ分けをランダムで行うのは定番。今回の実験ではこの点がクリアできていない。
この辺りは押さえておくと良さそうです。では最後に今回のまとめも見ていきましょう。
- 日焼け止めはしっかり塗っていれば日焼けを防ぎつつビタミンDも合成された
- SPF15くらいだったら日焼けも防いでビタミンD合成も十分おこなわれるかも
- 高SPFだとどうなるか分からない
こんな感じでしょうか。個人的には高PAでSPF30~50の日焼け止めが日焼け防止には最適だと考えているので、15だとちょっと心もとない感じがしますね~。
赤羽(Akabane)
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#1 Young AR, Narbutt J, Harrison GI, et al. Optimal sunscreen use, during a sun holiday with a very high ultraviolet index, allows vitamin D synthesis without sunburn. Br J Dermatol. 2019 May 8.