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マルチタスクはもうオワコン?勉強や仕事で成果を上げて幸せを勝ち取るシングルタスク

一点集中

あれこれ同時に手を出す『マルチタスク』から、一点集中の『シングルタスク』へ

シングルタスク

TeroVesalainen / Pixabay

「マルチタスク」と「シングルタスク」という言葉は聞いたことがあると思います。そして大抵の場合、マルチタスクが出来るほうが仕事や勉強ができるスペックの高い人、みたいな印象があるのではないでしょうか。一方でシングルタスクは一つのことしか同時にできない柔軟性のないタイプ、くらいのイメージかなと。

ですが結論から申し上げますと、マルチタスクは非効率です。理由は単純で、人は同時に2つのことが基本的にできないからです。(例外は後ほど) つまり、マルチタスクはテキパキ仕事をしてる風に見えて、その実態はタスクを短い時間で切り替えまくっているだけなのですね。ということで、マルチタスクとシングルタスクの定義をまずそれぞれ明確にします。

マルチタスク… 2つ以上のことを同時にやろうとする(タスクの秒、分単位での切り替え)
シングルタスク…1つの事に集中する(一点集中)

マルチタスクの良い例としては、テスト期間中に勉強しながらもスマホが気になってつい友達とLINEしながらやってしまう、などですね。他には、メールボックスをPCの画面端に置きながら仕事をする、なんていうのもマルチタスク。意図せずとも、恋の悩みや不安を抱えながらだと部活や勉強に身が入らない!なんてのもマルチタスクだからですね。

シングルタスクは幸福度を上げる?

一点集中

Free-Photos / Pixabay

これはアメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイ教授が提唱した「フロウ」という概念に基づいています。テニプリの無我の境地や黒バスのゾーンはこれが出元です。つまりこの人の存在無くしてテニプリや黒バスはあり得なかったのですね。このミハイ教授の研究(#1)では、被験者に一定間隔で鳴るポケベルを携帯してもらって、その都度「どんな気分で、何をしている最中か?」を記録してもらったようです。するとこんな結果に。

  • 何かに没頭してる瞬間が最も主観的幸福度が高かった

集中してる時って、確かに時間の流れが速く感じます。終わった後の充実感や達成感も味わえますし、シングルタスクで一点集中できたほうがより幸せに感じられるのかもしれません。

マルチタスクとデュアルタスクの違い

忙しすぎィ!

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冒頭で申し上げた「マルチタスクの例外」をここで回収します。人間の脳は同時に2つの物事をこなす事ができない、と言いましたが、例外があります。それは異なる脳の領域を複数併せて使う時です。これを「デュアルタスク」(#2)といいます。例としては、カラオケ、運転、料理などです。歌いながらディスプレイの歌詞を見たり、ハンドル操作をしながら道のりを考えたりできますよね。つまりはこういうことになります。

マルチタスク ≠ デュアルタスク

脳の異なる複数の領域で同時処理できないタイプのタスクは全てマルチタスクです。そしてマルチタスクの実態は、ただ単に素早く秒単位でタスクを切り替えているだけ、でしたね。

「違いは分かった。でも素早く切り替えられるんなら別にマルチタスクでも大丈夫では?」と思われるかもしれません。ですが答えから言うと、やはりマルチタスクは効率が悪いです。

マルチタスクの非効率性を指摘した論文研究(#3)がありまして、この研究では次のようなことを指摘しています。

  • タスクA→タスクBという風に切り替える
  • Bの最中に前のAへの注意力が残ってBへの集中力を削いでしまう
  • 次のタスクに集中できるようになるまでに時間がかかる

そしてちょっと文脈の違う実験ですが、IT系企業の社員たち(表記はinformation workers)を対象にした実験(#4)では、どんな状況でタスクを遮断されるのがストレスになるかが報告されています。

  • 莫大な集中力を要する仕事の最中
  • ある仕事への一連の思考の流れを断たれた時
  • 進行中の仕事とは違うタイプの仕事が介入/をやらざるを得なくなった時

これはなんとなく共感できるのではないでしょうか。ちなみに、内的なもの(休憩、違うことしたいなどの誘惑)と外的要因(隣の同僚に話しかけられるなど)に関わらず邪魔が入った41%の仕事がすぐには再開しなかったようです。

シングルタスクで爆発的一点集中を推進する方法

①集中力の天敵、誘惑をまず断ち切る。

マシュマロ実験

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先ほど最後にちょっとふれたように、内発的な誘惑もシングルタスクの邪魔になり得るんですね。実際に、1970年代に行われた「マシュマロ実験」(#6)と呼ばれる有名な研究では、誘惑に関する面白い結果が出ています。この実験では、600人以上の保育園の四歳の幼児たちを一人ずつ、実験室に連れていきます。そして中には大量のお菓子があるのですが、子どもはその中から一つお菓子をもらえます。

そしてその後、研究者は部屋を去るのですが、戻ってくるまで我慢出来たらもう一つお菓子がもらえる!という条件をつけたようです。当然、子どもはもっとお菓子が欲しいので我慢しようとしますね。ですが最終的に研究者が来るまで待っていられたのは全体のおよそ3分の1。(大体200人くらい)だったようです。そして平均の待ち時間はたった3分ほどでした。

ここで紹介したのはあくまで子どもですが、それは大人でも例外ではないはずです。例えばダイエットに失敗する大人は数えきれないですよね。

そこで、「If Then プランニング」という科学的にも効果的とされる目標達成法の出番です。これは簡単にいうと、「(もし)Aだったら、Bをする!」と予め決めておく方法なのですが、これが刹那的に湧いてくる誘惑に効果覿面。例えば、テスト勉強の最中に眠くなってしまうのをどうにかしたいとします。それなら、次のような感じに決めておくといいでしょう。

  • (If)勉強中眠くなったら、(Then)立ち上がってその場でスクワットをする

こう決めておけば、眠くなった瞬間に自分で決めたルールを思い出し、「スクワットしなきゃ」となりますね。慣れれば脊髄反射的に(Then)の部分に移れるようになります。

②瞑想・有酸素運動で集中力の更なる高みへ。

瞑想

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次の方法は瞑想・有酸素運動です。
この瞑想というのはスピリチュアルなやつではなく、マインドフルネス瞑想と呼ばれるやつです。マサチューセッツ大学のジョン・カバット・ジン博士がはじめてMBSR(Mindfulness-Based Stress Reduction)(#7)という研究に著したのが始まりだと言われています。具体的な方法は、こんな感じ。

①リラックスして背筋を伸ばす
②肩の力を抜き、目を軽く閉じる
➂呼吸に意識を向けつつ、自分にとってラクな呼吸を続ける
④雑念が沸いてきたら、呼吸に集中する
➄疲れを感じたら、数分~10分程度で終わりにする

はじめは慣れずに10分も瞑想に集中できないかもしれません。徐々に時間を伸ばしていけると思います。個人的には、478呼吸法(#9)(4秒吸って7秒止めて8秒で吐く)という方法がおすすめです。

また他のハーバード大学の実験(#11)でも、1日約30分の瞑想を8週間続けることで被験者の脳内で海馬周辺の灰白質が分厚くなったという報告もあります。この海馬は記憶力や学習面を司る部分です。つまり簡単に言うと頭が良くなった(学習能力が高まった)のですね。

更にこの海馬は、脳の前頭葉や扁桃体とも深く関わりがあります。前頭葉は脳の司令塔、サッカーで言えばミッドフィルダーです。自制心や判断力、注意力を司りその他、人間らしい営みをしていく上で重要な役割を果たしています

そして次に有酸素運動。最近の研究では適度な有酸素運動がとても脳に良いことが分かっています。アメリカのピッツバーグ大学をはじめとした研究グループの発表(#14)によると一日30分歩く程度の有酸素運動が海馬の体積を増やしてくれるようです。

この研究では、55~80歳以上の120名の男女を対象に①一日40分のウォーキングを週3②ストレッチのみの2グループに分けて、有酸素運動に六か月間取り組んでもらった結果、①は海馬の体積に2%程の増加、②には1.4%程度の減少が見られたようです。

もう一つ、筑波大学大学院人間総合研究科の征矢英昭教授がおこなった2014年の研究(#15)によると、海馬を大きくするためには一分間に90~100の心拍数の運動でも効果があることが分かりました。

この心拍数は、ランニングよりはスローペース、速く歩く程度のジョギングによってもたらされます。このペースで行う運動を、一日10分程度、2週間続けると脳神経が増え、6週間で認知機能そのものが向上したそうです。(#16)

+α シングルタスクの合間の散歩!

自然

シングルタスクは基本的に短時間勝負です。一点集中な分、消費する集中力もそれなりだからです。となるとその分休息が必要です。そこで推したいのは散歩です!!

特に自然の中を歩くことをおすすめします。ミシガン大学の心理学助教授マーク・バーマン教授らが行った研究では、「繁華街より自然の中を歩いたほうがその後のタスクの成績も良かった!」という結果が出ています。

つまり、集中力を使う仕事の後には質の良い休憩が必要なんですね。しかもそれは自然を感じながら、リラックス状態になれればなお良しということになります。

参考文献&引用

#12 猪俣武範 著「働く人のための最強の休息」ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017。

#2,8,14,15,16 東北大学加齢医学研究所教授 瀧靖之 著「脳が目覚めるたった1つの習慣」かんき出版、2016。

#9Andrew Weil,「Breathing: the Master Key to Self Healing」,Sounds True,1999.

#1 Mihaly Csikszentmihaly ,Reed Larson,”Validity and Reliability of the Experience-Sampling Method

「The Concept of Flow」/Jeanne Nakamura & Mihaly Csikszentmihalyi

#3「Why Is It so Hard to Do My Work?」
The Challenge of Attention Residue when Switching Between Work Tasks/Sophie Leroy

#4「No Task Left Behind? Examining the Nature of Fragmented Work」/University of California Irvine Gloria Mark, Victor M. Gonzalez, Justin Harris

#6「COGNITIVE AND ATTENTIONAL MECHANISMS
IN DELAY OF GRATIFICATION/1972

The Development of Children’s Knowledge of
Self-Control Strategies/Stanford University,Harriet Nerlove Mischel and Walter Mischel(1983)

Decay of Gratification in Children(1990)

#7「Mindfulness-Based Stress Reduction in Massachusetts

#10「meditations-positive-residual-effects/Harvard University(2012)」

#11 「Eight weeks to a better brain/Harvard University