赤羽(Akabane)
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新年の抱負、受験勉強、習い事・・・
人生に「目標」はつきものです。夢を叶えるのだって立派な目標ですし、大きいことでなくても「夏までに腹筋割る!」とか「今月は服を買いすぎないようにする」でも立派な目標です。誰の人生にも「目標」があって、それの連続です。
しかし世の中は達成できない目標で溢れています。「結局三日で腹筋やめちゃった・・」とか「友達の買い物についていったら結局服買っちゃった・・」みたいなことって結構あるかと思います。自分の立てた目標を達成したくない人なんていないはずなのに、どうしてこうなってしまうのでしょうか?
考えられる原因は、目標達成までの道のりがハッキリしていないからというのが大きいみたいです。
目標達成には「If thenプランニング」が最強!
2006年に行われた色々な目標達成の研究をまとめたメタ分析(#1)によると、目標達成の確率を上げるには「If-then プランニング」という方法が効果的であることがわかったようです。まずは簡単に説明しましょう。
Let’s If-Then プランニング!!
まず「If Then プランニング」とは何なのか?これは、
- 「If(もし~なら) ,Then(その時は~)」の形式で条件とそれを満たしたときのアクションを決めておく
といったテクニックのこと。要は中学英語でも習う「If(もし)」の構文に当てはめて、目標達成に近づくアクションを習慣化しよう!という感じですね。実際に作ってみると、
- 「(If)学校から帰ったら,(Then)洗面所に行って手洗いうがいをする!」
こんな具合。では次にもっと具体的に「痩せたい!」というメジャーな目標に向かってプランニングしてみます。
目標は決まりました。ですがまだ何か足りませんね…「その為に何をするか」です。ということでザっと思いつくものを挙げてみます。
- 間食のお菓子やパンを控える
- ジムに行ったり運動をする
シンプルにこの2つですね。ここまでは多くの人がやってはじめは上手くいくと思うのですが、これではまだ足りません。何が足りないか…それは実行意図(Implementation Intention)です。
If-Thenプランニングを使って、いつ(when)、どこで(where)、どのように(how)、目標達成を実現するのに必要なアクションを取るのかを前もって決めておくことだ。[筆者訳](#1)
要は目標達成に必要なアクションはもっと細かく、だけどシンプルに設定する必要があるということです。「ジムに行って運動する~」とかではまだ漠然として大雑把すぎるようです。そこで、今度はもっと細かく設定してみます。
間食のお菓子やパンを防ぐために…
- そもそもお菓子やパンを買ってこない
- 買い物でスーパーに着いたら、まず野菜コーナーから周る
- 野菜コーナーを周ったら、次はお肉コーナーを周る
- お肉コーナーを周ったら、代わりのおやつとしてミックスナッツを買う
- ナッツをかごに入れたら、レジへ直行する
ジムへ行って運動を習慣化するために…
- 休日の朝は早起きしてジムへ行く
- 上司や同僚に飲みに誘われたら、「○○」と言って断る(考えておく)
- 帰宅したら、荷物を置いてすぐにお風呂場へ直行する
- お風呂からあがったら、翌日のトレーニングの支度を始める
- 眠る前には、枕元にトレーニングウェア一式を置いておく
- 土日の朝目覚めたら、すぐに枕元のウェアに着替える
- ウェアに着替えたら、準備してある荷物をもって家を出る
あくまで例ですが、目標達成のためのアクションはこのくらい細かく、そして誰が見ても同じ行動を取れるくらいシンプルに予め設定しておく必要があります。例えば太ってしまった原因がお菓子の食べ過ぎだと考えられるなら、お菓子類をそもそも買ってこなければいい話ですね。その為に実行意図を意識してこのような「If-Thenプランニング」をしました。
- いつ =買い物をするとき
- どこで =スーパーマーケット
- どのように =(お菓子コーナーを避けるように)決められた順にコーナーを周る
このように、上で挙げたIf-Thenプランニングはよく見てみると全部結果として「痩せたい!」という大きな目標に繋がっているのが分かると思います。目標を立てて動いても長続きしなかった理由は、決して怠け者だからではないんですね。
道のりがハッキリしていれば、自ずとその為にやるべき事とやるべきでない事も区別できるようになってきます。そしてたとえ途中で思わぬ誘惑に遭遇しても、あらかじめ決めておいた「If-Thenプランニング」のおかげで考える間もなく自動的にやるべきアクションに移れるようになります。
赤羽(Akabane)
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科学的に証明された目標達成法「If-Then プランニング」の改良版で30%効果を上げる方法最強の目標達成法「IF-THENプランニング」は食生活を健康にするしメンタルヘルスにも効くしやはり最強だった件。(一応)元となった大規模なメタ分析
63の論文研究から94もの実験を選出したメタ分析(信頼性が高い研究法)の研究(#1)によると、実行意図をもって決めた「If-Thenプランニング」がさまざまな目標達成に大きく貢献したことがわかりました。研究の概要は以下の通りです。
- 63の論文研究から94の実験を選出
- 総参加者は8461人(大多数は大学生)
- 基本は次のようなグループ分け
- 実行意図を意識するグループ
- 実行意図を意識しないグループ
- 目標の内容はザっと以下の通り
- 参加者それぞれの目標達成、低脂肪の食事を心がける、タスクの切り替え、課題を終わらせる、アナグラムの計算、レポートを書く、エクササイズをやる、つまらないタスクに耐える、数学の計算問題をやる、禁煙するetc..
色々なジャンルの目標が設定された研究をかき集めて全部あわせて調べたようですね。結果は次のようになりました。
- If-Thenプランニングは全体では目標達成のために中~大の効果があった
- 精神面に問題を抱えた人により実行意図によるIf-Thenプランニングの効果が出た
- ラボでの実験から健康面、教育面の目標まで幅広いジャンルで効果があった
- 実行意図を意識しないグループではその都度何がベストなアクションか考えこんで、それに取り掛かるために時間と労力を費やしてしまっていた
全体的に実行意図を意識したIf-Thenプランニングは目標達成をより確実にする結果となりました。中でも精神面で問題を抱える人たちに効果的だったようで、実行意図を意識することが自己コントロールが難しい人に特に良い効果をもたらす可能性が出てきました。
最後に実行意図とIf-Thenプランニングのメリットだとされることを明記しておきます。
- 意図したアクションを忘れずに起こせる
- アクションに移るのに絶好の機会が来るのを見逃さない
- 機会がおとずれた時にサッとアクションに移れる
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Peter M.Gollwitzer, Paschal Sheeran,”Implementation Intentions and Goal Achievement : A Meta-Analysis of Effects and Processes“,Advances in Experimental Social Psychology,Vol.38,pp69-119,2006.