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鬼の背中を作る定番種目「ラットプルダウン」
ラットプルダウンと言えば、背中トレーニングの定番メニュー。マシーンなので懸垂よりも初心者向けですし、それでいて効果もバッチリ見込めるのでオススメの種目の一つであります。
今回はそんなラットプルダウン、色々なバリエーションの中からどれが最も効率よく鍛えられるの?という点を検証していきます。
ナローかワイドか?順手か逆手か?
まずは2012年にペン・ステート・バークスが発表したRCT研究(#1)から。この研究では、12名の健康な筋トレ経験者男性が、
- 順手(プルアップ)+狭いグリップ
- 順手(プルアップ) +広いグリップ
- 逆手(チンアップ) + 狭いグリップ
- 逆手(チンアップ) + 広いグリップ
この4種類のラットプルダウンを1RM70%の重量で行ってその間の筋肉活動を調べたんですね。すると結果は、
- 順手(プルアップ)は逆手(チンアップ)より広背筋に効いた!
- しかしグリップの違いは僧帽筋、上腕二頭筋には影響なし
となって、どうやら順手(プルアップ)のほうが全体的に筋肉を刺激できていた模様。僧帽筋と上腕二頭筋に有意な差がなかったのは、ラットプルダウンが主に広背筋をいじめる種目であって、2パーツでの筋動員がそもそも少なかったからだと考えられています。
首の前か後ろか?
お次は2002年にブラジルのリオにある研究所COPPEが発表した研究(#2)。この実験では24名の筋トレ経験者男性(少なくとも1年以上)が、
- ビハインドネック(首の後ろにバーを下げる)
- フロントネック(首の前にバーを下げる)
- V字バー
の3パターンでラットプルダウンを行ったんですね。負荷は1RM80%で、それぞれ5レップずつの筋肉の動きを測定した様子。すると結果は、
- 大胸筋ではフロントネックのほうがビハインドネック、V字バーよりも効いていた!
- 広背筋に関しては3種目で差はなかった
- 三角筋後部ではビハインドネックのほうがフロントネック、Vバーよりも効いていた!
- 上腕二頭筋ではビハインドネックのほうがフロントネック、Vバーよりも効いていた!
当たり前ですがそれぞれ効く部位が違うようです。ただしラットプルダウンで効かせたい部位を考えると、フロントネックのほうが本来の目的に沿っているというのが研究チームの見解でした。これには同感。
ナローかワイドか?順手か逆手か?首の前か後ろか?
そして最後は2002年にマイアミ大学が発表した研究(#3)。ここでは10名の健康な筋トレ経験者(ウェイトリフティング歴一年以上)を対象に、
- クロースグリップ
- 逆手(チンアップ)+狭く握る
- フロントネック+広く握る
- ビハインドネック+広く握る
の4パターンでラットプルダウンをやってもらった模様。負荷は各々の10RM(ギリギリ10回挙げれる重さ)で3レップずつ行ったとのこと。すると結果は、
- 広背筋、三頭筋長頭、大円筋ではフロントネック+広く握るが最も効いていた!
- 大胸筋、三角筋後部ではクロースグリップが最も効いていた!
ということで、こちらでもメインターゲットを狙いたいなら、広く握ってフロントネックのほうが効率的となりました。大円筋は、鍛えれば前から見た時にわきの下がモッコリ隆起してカッコいいですし、メインの広背筋もスタンダードなフロント+ワイドグリップがベターみたい。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Lusk SJ, Hale BD, Russell DM.,”Grip width and forearm orientation effects on muscle activity during the lat pull-down.“,J Strength Cond Res. 2010 Jul;24(7):1895-900.
#2 Sperandei S, Barros MA, Silveira-Júnior PC, Oliveira CG.,”Electromyographic analysis of three different types of lat pull-down.“,J Strength Cond Res. 2009 Oct;23(7):2033-8.
#3 Signorile JF, Zink AJ, Szwed SP.,”A comparative electromyographical investigation of muscle utilization patterns using various hand positions during the lat pull-down.“,J Strength Cond Res. 2002 Nov;16(4):539-46.