赤羽(Akabane)
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筋トレのセット間休憩中に自重のアイソメトリックスを加えたらどんな効果があるのか?
アイソメトリックス(等尺性運動)とは、壁押しや空気椅子みたいに、関節の角度を変えずに筋肉に力を入れるテクニックのことです。
あまり普段の筋トレで取り入れることはないんですが、私もスクワットやレッグプレスで脚を追い込んだ後、インターバルに自重の空気椅子でさらに追い込む!みたいなことをやっていたわけです。
そこでこの記事では、筋トレのインターバルに行う自重のアイソメトリックの効果についてみていきましょう。
セット間の休憩時に行う自重のアイソメトリックスにはメリットとデメリットがあるかも
2020年に筋トレ研究で有名なショーンフェルド氏らが発表したRCT(#1)によると、セット間のインターバルに自重のアイソメトリクスを加えるとメリットとデメリットがあったとのことでした。
この研究では27名の筋トレ経験者男性を対象に、8週間の筋トレプログラムを行うんですが、その際に彼らを以下の2つのグループにランダム分けします。
- セット間アイソトレ(14名):セット間の休憩時に最初の30秒でアイソメトリックストレーニングを行って更に追い込み、残りの90秒で休む
- 伝統的な筋トレ(13名):セット間の休憩は全部しっかり休む
違いは、種目ごとのセット間インターバルに普通に休憩するのか、それとも自重でジッとする筋トレを追加するのかの違いですね。筋トレプログラムは週3のペースで、各種目は8〜12レップ×3セット、セット間の休憩は2分設けられたようです。
具体的な筋トレプログラムの中身は、全身をまんべんなく鍛える感じで、ベンチプレスやミリタリープレス、ロウイング、ラットプルダウン、レッグプレス、スクワットなどが含まれていました。
そして実験前後で筋力や筋肉量の変化を比較したところ、こんな結果になりました。
- セット間アイソトレの方が太もも中央の筋肉量が程々に増加していた
- 逆に脚の筋力は伝統的筋トレの方が大きく増加していた
- その他の部位での筋力、筋肉量についてはグループ間で有意な差は見られなかった
まとめると、休憩時間に自重のアイソメトリックスを追加することで脚の筋肉量は増加、一方で筋力は落ちてしまっていたんですね。
ちなみに最終的な筋トレのボリュームについてはグループ間で大差なかったようで、もしかするとセット間に追い込んでしまったことでメインのトレーニングをこなせる数が減ってしまって、これが筋力アップの妨げになっているんでは?とも考えられます。
一方で脚のトレーニングに絞ってみると、伝統的筋トレの方がややボリュームが多かったようで、これが結果に差を生んでいる可能性もあります。とはいえ、同様にボリュームの差があるにもかかわらず、ベンチプレスでは筋力、筋肉量ともに有意な差は見られなかったので、この辺りは謎ですが..。
注意点・まとめ
ただし幾つか注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくとよろしいかと。
- 食事の内容はあまり把握できていない:食事についてはセルフレポートで、実験中に2回しか調査できていない
- 対象は若い筋トレ経験者男性のみ:高齢者や女性、筋トレ初心者など他の層でも同様の結果が得られるか?は分からない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 筋トレのセット間に自重のアイソメトリックスで追い込むとメリットとデメリットがあった
- 今回の実験では脚の筋肉量は増加、一方で筋力アップは普通のトレーニングと比べて妨げられていた
- メインのとレーニングのパフォーマンスを維持できるのであれば試してみても良いかもしれない
こんな感じでしょうか。あくまでメインのトレーニングが大事なので、そちらのパフォーマンスに影響する場合はやらなくていいかなと思いますね。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Schoenfeld BJ, et al. To Flex or Rest: Does Adding No-Load Isometric Actions to the Inter-Set Rest Period in Resistance Training Enhance Muscular Adaptations? A Randomized-Controlled Trial. Front Physiol. 2020 Jan 15;10:1571.