赤羽(Akabane)
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発酵食品は万病の元「慢性炎症」にどのくらい効果があるのか?
発酵食品と言えば納豆やヨーグルトなど、最近では健康なイメージがすっかり定着していますが、実際のところ本当なのでしょうか?
そこでこの記事では、万病の元として注目されている慢性炎症に対する発酵食品の効果について見ていきます。
発酵食品は短期的にも炎症を抑える効果がある?!
2020年にテヘラン・ユニバーシティ・オブ・メディカル・サイエンシズが発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、発酵食品は短期間でも一部炎症を抑える効果が確認されたみたいです。
この研究は22件のRCTから1,461名(18~75歳)を対象にした総まとめ的なもので、各研究内では参加者らを以下の2つのグループに分けていました。
- 発酵食品グループ:発酵乳、ヨーグルト、発酵ホエイ、発酵食物繊維、ワイン、発酵全粒粉パンなどを期間中食べる
- 比較グループ:発酵食品でない食品を期間中同じ量食べる(コーンスターチとか)
各実験は1~8週間で行われて、比べるのはグループ間の実験前後での炎症性サイトカインの増減でした。簡単に言うと、体内で炎症が起こっている時に増える物質のことですね。
そして全体の結果をまとめてみると、以下のようなことが分かりました。
- 発酵食品でTNF-αが有意に減少していた(WMD = -8.26 mg/l, 95% CI: −14.61, −1.91, p = 0.01)
- CRPやIL-6では特に効果が見られなかった
まとめると、発酵食品で一部炎症性サイトカインの減少が確認されたんですね。一見するとパッとしない感じがしますが、あくまで数週間までの短期の結果なのを差し引けばまあまあかなという印象です。
また更に詳しく見てみると、CRPやIL-6に関しては年齢やBMI、発酵食品の量など、他の要素別に見ても大した効果が得られなかった様子。ただ年齢を50歳から2つに分けて比べたところ、50歳以上の人では抗炎症効果が、一方でそれ以下の人で逆に発酵食品がCRPやIL-6を増やすという結果も出ていました。これは高齢の人の方が炎症が多い点を踏まえると頷ける内容かと思います。
注意点・まとめ
今回の研究は、参加者も色々な国・人種の方が含まれていたり、健康な人からあらゆる疾患の患者まで幅広い特徴の方が対象だったりして、結果を一般化するという点ではイケているデータでしょう。
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくとよろしいかと思います。
- 実験期間が短い
- 結果にバラつきがかなり見られた
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 発酵食品は質の高い短期的な実験でも一部炎症を抑える効果が確認された
- この効果は特に50歳以上と高齢へ向かうほど高くなって、逆に若いと発酵食品で炎症が増えるかも..?という可能性も示唆された
- 発酵食品という大きいくくりではなく、何を食べるか?を気にすると良さそう
こんな感じでしょうか。発酵食品は年齢などによって得られる効果が変わってくるかもしれません。
赤羽(Akabane)
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#1 Nasim Saeidi Fard, et al. Fermented foods and inflammation: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Clinical Nutrition ESPEN, Volume 35, February 2020, Pages 30-39.