キッコーマン出資の最新研究「心疾患リスクが高い人は200mlの無塩トマトジュースを飲めばOK！」って本当？

赤羽(Akabane)

今回は、トマトジュースの健康効果について日本から面白い研究が出ていたので、そのお話です。

トマトジュースって心疾患リスクに効果あるの？

では早速ですが、件のデータを見ていきます。

参考は2019年に東京医科歯科大学が発表した研究(#1)で、あのキッコーマンが出資を手伝っています。

中身については、日本の栗山に住む481名(21~74歳)を対象に行われた観察研究で、実験期間内の1年間で好きなだけ無塩のトマトジュースを飲んでもらうという内容でした。ちなみにトマトジュースの特徴を挙げると、

といった感じです。そして実験の前後で、心疾患リスクになる数値(ブドウ糖耐性、血圧、血清の脂質など)を測定してその変化を調べつつ、アンケート調査で対象者らの生活習慣(運動、酒・タバコ、食事、既往歴など)も調べました。

すると実験の1年間で、全参加者は一日1本ペース(平均215mg/日)でトマトジュースを飲んでいたことが分かりました。そしてこの結果は、

結果

高血圧や高血圧予備軍の人では上下の血圧が改善していた(収縮期：141.2 ± 12.1→137.0 ± 16.3 mmHg, p = 0.003; 拡張期：83.3 ± 10.1→80.9 ± 11.1 mmHg, p = 0.012)
脂質異常症の人では悪玉コレステロール値が改善していた(155.0 ± 23.2→149.9 ± 25.0 mg/dl, p = 0.005)

こうなりました。健康な人では有意な結果は得られなかったものの、心疾患リスクが高い人たちでその数値が改善しています。しかも性別や年齢の違いは結果に影響を与えないみたい。こうした結果から、研究者らも次のように仰っていました。

無塩のトマトジュースは高血圧や脂質異常症の日本人患者に対して、上下の血圧や血清LDL値の改善といった効果があることがわかった。トマトジュースは安定して手に入りやすい食品なので、心疾患リスクの高い人々の栄養面での予防策として実用的かもしれない。[筆者訳]

とここまで見ると「トマトジュースで心疾患リスクは解決！」に見えるんですが、注意点もいくつかあります。

注意

特に2番目が問題で、これはトマトジュース以外の生活習慣の要素が上手く考慮できてないということです。例えば、高血圧とされた人の中に生活習慣アンケートに答えていない人がいると、トマトジュース以外の別要素が血圧改善に影響した可能性も考えられるわけです。

また高血圧と脂質異常症の人だけを調べた結果だと、サンプル数がガクッと少なくなりますし、調査期間も1年まで。この研究だけで「心疾患リスクが高い人はトマトジュースで改善しよう」と勧めるのはちと厳しい感じが否めないですね..。

ただ一応、2017年の大規模なメタ分析(#2)なんかを見ていると、トマトを食べるグループではLDLが改善してたり、リコピンサプリを摂取するグループで上の血圧が改善してたりします。こうした結果も踏まえると、トマトジュースだけでも心疾患リスクに多少効果があるのかも？と考えられます。

ということで今回の結果をまとめます。

ポイント

この辺りを押さえておくとよろしいかと思います。

赤羽(Akabane)

個人的にもトマトジュースならトマトより摂りやすいですし、助かります。無塩のものでお勧めのトマトジュースを以下に貼っておきますので、血圧や悪玉コレステロール値が気になる方は試して損はなさそうです。

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