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メタ分析を更に超越した統計的に最強な研究手法「アンブレラレビュー」とは?

アンブレラレビュー

赤羽(Akabane)

今回はメタ分析を超える大規模な研究手法「アンブレラレビュー」のお話です。

まず従来の研究の質ランキングを振り返る

統計データを見る際に非常に重要なのが、何と言っても情報の質。巷で出回っている出典明記がないデータは論外ですが、厳しい査読チェックを通過した科学論文でさえ、データに信頼性レベルがあるというのが事実。

そしてその信頼性レベルというのは、

メタ分析 RCT 観察研究 エビデンス

※筆者が作成。

従来このようなピラミッドでランクづけされていて、近年では特に「メタ分析を優先的に読め!」みたいな風潮が強まってきているんですね。

もちろん当サイトでも優先的にメタ分析を紹介していて、ブログ検索窓で「メタ分析」と検索してみるだけでかなりヒットすると思います。(*メタ分析の説明は後ほど)

最強をもう一つ超えた超最強の研究手法「アンブレラレビュー」

といったところで、今回は「最強のメタ分析を更に超えた研究があるよ」というお話をば。一応参考として2018年にキングスカレッジロンドンが発表した研究(#1)を提げて見ていきましょう。

結論から言うと、これは「アンブレラレビュー」という手法。メタ分析との違いをわかりやすく図解するとこんな感じ。

メタ分析

※筆者が作成。

アンブレラレビュー

※筆者が作成。

簡単に言うと、単体の研究をゴッソリ集めたメタ分析を更に総まとめして結果を確かめるという方法です。文字通りメタ分析を傘(アンブレラ)のように覆っていますね。

そしてアンブレラレビューはまさにここ数年でたくさん行われるようになってきていて、

(#1)より引用。タイトルに”Umbrella Review”がつく論文数

パッと見ても顕著なレベル。2019年にはこのグラフが更に大きくなると予想されます。

ではこのアンブレラレビューにはどんなメリットがあるのか?まずは言うまでもなく、

  • 対象になる研究数とサンプル数が大きくなる分、データのカバー率が上がって情報の質も高くなる

この点。メタ分析を上回るカバー率ですので、やはりここは最大の強みになるかと。ただし一方で、

注意
  • 規模が大きい分それぞれの結果を細かく調べるのが難しい
  • 規模が大きい分莫大な時間がかかる(一つ発表するのも困難)
  • 中身がゴミだと出てくる結果もゴミにしかならない

規模がどでかいが故にこの辺りが逆にネックになってくることも。いくら超最強な研究手法とはいえ、やっぱり欠点はあるということですね。

ちなみにゴミのくだりはメタ分析と同じ弱点でして、やはり分析に含める研究がしょぼいと出てくる結果もそれ相応になってしまうということですね。

アンブレラレビューに踏み出す時の10の心得

では最後に参考の研究より、アンブレラレビューを行う際の10個の心得を紹介して締めくくりとしましょう。これは読む側の我々にも有益な観点なので、ザッとみておいて損はないかと思われます。

ポイント
  • そのアンブレラレビューは本当に行う必要があるか考える
  • レビュー方法などのプロトコルをはっきり明記しよう
  • 興味があって調査する変数をはっきり定義しよう
  • 研究間で共通の効果量を設定しよう
  • 研究間のバラつきや隠れたバイアスをちゃんと報告しよう
  • エビデンスレベルをランク化しておこう
  • センシティビティアナリシス(因果関係の特定など細かい分析)を行おう
  • 結果の透明性をちゃんと報告しよう
  • 適切なソフトウェアを使おう
  • アンブレラレビューの限界を知ろう

この中で、個人的に有難いのは「エビデンスレベルのランク化」でしょうか。これがあると、まずザッと論文の趣旨や概要をつかむのに「この結果がかなり高めな信頼度で、あっちの結果はちょっと信頼度が低め」みたいなことがパッと見でわかるのですごい読みやすいです。

また研究間の結果のバラつきやバイアスの報告も非常に大事。これは簡単に言うと、研究によって結果の違いが大きかったり、結果が極端に偏っていた時にそれをしっかり報告する義務のこと。アンブレラレビューはいかんせん規模が大きいので、その分ココの差が出やすくなりますからね。

赤羽(Akabane)

まとめると、アンブレラレビューは傘のようにメタ分析を更にまとめた研究手法、と言うことだけでも押さえておけばOK。個人的には科学論文界に革新をもたらしくれる研究手法だと思っております。ぜひご参考までに。

参考文献&引用

#1 Paolo Fusar-Poli, Joaquim Radua,”Ten simple rules for conducting umbrella reviews“,Evidence-Based Mental Health 2018;21:95-100.