赤羽(Akabane)
目次
ビタミンEの摂りすぎで死亡率が高まった?!
本題の前に、まずビタミンEという栄養素についておさらいしておきましょう。
- 油に溶ける脂溶性ビタミン
- AやCと並んで「抗酸化ビタミン」と呼ばれる
- ナッツ類、植物油などに豊富に含まれる
ザっとこんな感じでしょうか。まとめると、体を酸化から守ってアンチエイジング効果が見込めたり、がんなど生活習慣病の予防にも効く重要なビタミンです。
ビタミンEサプリは早死にリスクを高める?!
では本題に入ります。「ビタミンEサプリって健康に良いの?」というところで、2005年の大規模なメタ分析(信頼性の高い研究方法)の研究(#1)が参考になります。
結論から言うと、大量のビタミンEサプリの摂取は死亡率を引き上げるようですが、この研究の中身を覗いてみると、
- 19の実験を最終的に選出
- 9つはビタミンEのみ、10は他の栄養も含めた実験
- 総参加者は135967人、47~84歳、慢性の病気もち
- 追跡期間は1.4~8.2年間
- ビタミンEの摂取量は16.5~2000 IU/日
こんな内容でした。ビタミンEの「IU/d」という単位は国際単位で、ビタミンEは1IUで1mg。つまり一日につき16.5mg~2000mgという解釈になります。
以上を踏まえて、結果は次のようになりました。
- ビタミンEの大量摂取グループほど総死亡リスクが高まった
- 一日の摂取量400IU(400mg)を境に死亡率が大きく分かれた
- 一日の摂取量150IU(150mg)くらいから急に死亡率が上がり始めた
- 一日の耐容上限量は1000mg(合成ビタミンで1100mg、自然のビタミンで1500mg相当)
すごい結果ですね。ちなみにグリコのページによると18~29歳の一日のビタミンE耐容上限量は男性:800mg/女性:650mgだそうです。どちらにせよ、耐容上限量よりはるかに低い量でも死亡率が上がったことがわかりました。恐ろしい..。
ただ一つ注意すべきは参加者たちはみな慢性の病気持ちであった点ですね。つまり元々早死にのリスクが高かった人たちということ。だから健康な人でも同じくらいのリスクがあるか?といえば際どいです。
とはいえ、最初に紹介したようにビタミンEはサプリじゃなくてもナッツ類や野菜などから十分摂れるので、わざわざビタミンEのサプリを飲む必要もないかと思います。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
# Edger R. Miller Ⅲ,Roberto Pastor-Barriuso,Darshan Dalal, Rudolph QA. Riemersma, Lawrence J.Appel,Eliseo Guallar”Meta-Analysis: High-Dosage Vitamin E Supplementation May Increase All-Cause Mortality“,Annals of Internal Medicine,Vol.142,pp37-46,2005.
# 江崎グリコ株式会社HP「栄養成分百科」
http://www.glico.co.jp/navi/dic/dic_17.html(2018年3月1日アクセス)
#Wikipediaさんの「国際単位UI」の説明
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8D%98%E4%BD%8D
(2018年3月1日アクセス)