赤羽(Akabane)
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ワークライフバランスはやっぱり大事!というヨーロッパ30ヶ国の大規模な調査結果
ヨーロッパ30カ国の調査データ!ワークライフバランスと健康度の密な関係
2020年にビーレフェルト大学が発表した研究(#1)によると、ワークライフバランスが崩れると主観的な健康感が低下することが分かりました。いかにもな結果ですが、詳しい内容も見ておきましょう。
この研究では、2015年にヨーロッパ30カ国で働く32,275名を対象に行われたアンケート調査を集めて、彼らのワークライフバランスや主観的な健康度の関連性を分析したものです。
具体的に、それぞれの調査で聞かれた質問はこんな感じです。
- 主観的な健康度…総じて、あなたはどのくらい健康ですか?
- ワークライフバランス…総じて、あなたが働いている時間帯は仕事外の家族や社会活動への取り組みにどのくらいフィットしていますか?
*その他にも、仕事の形態や時間、年齢や性別などの基本データも調査
上記の質問に対して、アンケートでは5段階で回答するようになっていました。そして調査の結果を分析すると、以下のようなことがわかったようです。
- ワークライフバランスの乱れと主観的な健康度合いには強い相関が見られた(調整済みオッズ比: 2.07; 95% CI: 1.93–2.23)
- この相関関係は女性でわずかに強く見られた(女性…調整済みオッズ比: 2.23; 95% CI: 2.01–2.47 vs 男性…調整済みオッズ比: 1.97; 95% CI: 1.78–2.18)
やはり、仕事とプライベートのバランスが崩れるほど健康面でも乱れが見られる可能性が高いみたいですね。また、男性よりも女性でこの傾向が強かったみたいですが、正直この辺りは地域によってまちまちな感じでした。
ちなみに、ワークライフバランスが最も良かった地域は男女ともに北欧だったようで、デンマークやスウェーデン、フィンランドなどが対象に含まれていました。一方で、最も悪かった地域は南ヨーロッパ地域でして、こちらはスペインやイタリア、ポルトガルなどが含まれていました。
注意点・まとめ
ただし注意点として、以下の点も押さえておいた方が良さそうです。
- 地域は限定的: ヨーロッパ諸国のみの調査結果なので、アジア圏など他地域ではまた変わった結果になるかも
- 因果関係は特定できない: 過去の調査データを振り返って傾向を見ているだけなので、調査範囲外の他の要素が結果に影響している可能性を否定できない
- ワークライフバランスに関する質問は一つしかなかった: もっと色々な面からワークライフバランスの良し悪しは測定されるべき(今回は「時間」のフィット感だけだったが、他にもメンタル面や行動面など)
総合的に、データとしての質は高くありません。その上、ワークライフバランスを尋ねる項目が一つしかなく、正確性も微妙な印象です。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- ワークライフバランスの乱れと低い主観的な健康度には強い相関があった
- 地域によってまちまちだが、全体で見ると女性の方がこの相関関係が強かった
- 男女ともに北欧の国で最もワークライフバランスが良く、一方で南ヨーロッパ地域では最も悪かった
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Mensah, A., Adjei, N.K. Work-life balance and self-reported health among working adults in Europe: a gender and welfare state regime comparative analysis. BMC Public Health 20, 1052 (2020). https://doi.org/10.1186/s12889-020-09139-w