赤羽(Akabane)
目次
【筋トレ編】糖質で口をすすぐだけで運動パフォーマンスが上がるって本当?
筋トレ前に糖質で口をすすいでもパフォーマンスは上がらない!という実験結果
2019年にウィスコンシン大学 – プラットビルが発表した研究(#1)によると、糖質で口をすすいでも筋トレのパフォーマンスは上がらないぞ!という結論になったようです。
この研究では、筋トレ経験者17名(平均21歳)を対象に3回の筋トレセッションを行う実験を行っています。初回は実験内の筋トレの肩慣らし、残り2回で参加者を以下2つのグループにランダムで振り分けていました。
- 糖質: 糖質6%を含む液体25mlを飲む
- プラセボ: 人工甘味料を含む液体25mlを飲む
兼ねてから、糖質で口をすすぐだけでも有酸素運動のパフォーマンスが高まった!という報告が多数ありましたが、「それでは筋トレの場合どうなのか?」というところです。
具体的には、心拍数やRPE、運動による興奮レベルなどを上記種目の各セット前後でこまめに測定した様子。液体は1セッションで計9回飲む機会があったようで、こちらも各種目前に飲むというルールでした。
果たして実験の結果は、以下のようになりました。
- どの項目もグループ間で差はなかった!
というわけで、有酸素運動とは違い筋トレでは特にパフォーマンス向上は見られませんでした。ちなみに、両グループでトレーニングのボリュームは均等に揃えられていました。
このように、「糖質で口をすすぐのって筋トレだとあんまり効果なくない?」と報告するデータは他にもありまして、2020年にトロイ大学が発表した研究(#2)でも、マルトデキストリン(糖質)入りの飲料の効果は、ベンチプレスのパフォーマンスやトレーニングによる疲労感に対してプラセボと大差ない!という結果でした。
一応、糖質を口に含むと脳の報酬系が活性化する!という報告がありまして、何やら我々の体には糖質を口に入れただけでソレだと感知できるシステムが備わっているようです。報酬系はドーパミンなどの分泌に関わる脳の領域でして、これが運動パフォーマンス向上につながるというのは尤もらしいかと思います。ただ、ではどうして有酸素運動にはメリットをもたらし、筋トレではほぼ皆無なのか…?というところは謎のまま。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、以下の点は押さえておくと宜しいかと。
- サンプルサイズが小さい: 参加者数が少ない分、統計的なパワーは弱くなる
- サンプルは限定的: 若い筋トレ経験者の男性のみ対象なので、該当しない人たちでどうなるかは分からない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 兼ねてから、糖質で口をすすぐだけでも有酸素運動のパフォーマンスが高まった!という報告が多数だった
- しかし筋トレで検証したところ、トレーニング中の疲労感を軽減したり、パフォーマンスを高めてくれるような効果は確認されなかった
- 糖質を口に含むと、それを感知し、脳の報酬系を活性化させるシステムが備わっているようだが、これが有酸素運動にメリットをもたらし、筋トレではほぼ皆無な理由は不明
赤羽(Akabane)
関連記事はこちらもどうぞ
ブドウ糖で口をすすぐだけでやる気が回復する?! 糖分を摂らずにすり減った意志力を取り戻せるかも。飽和脂肪酸リッチな食品を口にすると集中力が落ちてしまうらしい参考文献&引用
#1 Krings BM, Shepherd BD, Waldman HS, McAllister MJ, Smith JW. Effects of Carbohydrate Mouth Rinsing on Upper Body Resistance Exercise Performance [published online ahead of print, 2019 Sep 27]. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2019;1–6. doi:10.1123/ijsnem.2019-0073
#2 Green, Michael S.; Kimmel, Cody S.; Martin, Tyler D.; Mouser, James G.; Brune, Madison P. Effect of Carbohydrate Mouth Rinse on Resistance Exercise Performance, Journal of Strength and Conditioning Research: July 28, 2020 – Volume Publish Ahead of Print – Issue – doi: 10.1519/JSC.0000000000003755