腕立て伏せは効かないって本当?プッシュアップの効果や手の幅、使う筋肉まとめ

腕立て伏せは効かないって本当?プッシュアップの効果や手の幅、使う筋肉まとめ

腕立て伏せは効かないって本当?プッシュアップの効果や手の幅、使う筋肉まとめ

今回は「腕立て伏せって実際どうなの?」というお話です。

ここでは腕立て伏せの効き目や手のポジションなど細かい部分をザックリ調べた結果を見ていきましょう。ではまず効果の程から。

腕立ては効かない?ベンチプレスと比べると…

2017年に日本体育大学が発表した研究(#1)では、腕立てとベンチプレスを同じ負荷でやったらどっちが効くの?という問題を調べていました。

この実験では18名の若い生理学専攻の男子学生(平均20.2歳)を対象に、ざっと次の2つのグループに分けられました。

  • 低負荷ベンチプレス(9名):週に2回、1RM(1回ギリギリ挙げられる重量)の40%の重さでベンチプレスを行う
  • プッシュアップ(9名):週に2回、ベンチプレスと同じくらいの負荷になるように腕立て伏せをする

ポイントは、違う種目でも負荷は同じくらいに揃えている点ですね。でトレーニング後はDNSのプロテインを補給していました。

そしてこうした実験を8週間続けて、実験前後の計3回で上腕二頭、三頭、大胸筋や、ベンチプレスの1RM、1RM40%で何回挙げられるか?など筋力と筋肉量をチェックしたんですね。

すると結果はこんな感じになったようです。

結果
  • ベンチプレスも腕立ても実験後の1RMや筋肉量アップはさほど変わらなかった
  • 大胸筋、三頭筋の筋肉量増加は両グループで同じだったが、二頭筋はベンチプレスでのみ増加していた

どうやら負荷さえ揃えばベンチプレスでも腕立てでも筋力&筋肉量アップ効果はあまり変わらないみたい。

ただ注意点は、参加者らは最低1年以上の筋トレ経験があること。つまり、腕立てでベンチプレスと同等の効果を得るには、腕立てでも上手く効かせられる技術も必要だと考えられるわけです。

  • 腕立て伏せでも同じ負荷の軽量ベンチプレスと同じくらい効かせられる
  • 主に大胸筋、上腕三頭筋あたりに効く
  • ただしある程度狙った部位に効かせる技術がないと最初は難しいかも

この辺りをひとまず押さえておくと良さそうですね。

腕立て伏せの手の幅で鍛えられる部位は変わるぞ!

2016年に釜山国際大学が発表した研究(#2)では、腕立て伏せの手の幅で鍛えられる部位について調べてくれていました。

この実験では12名の健康な男子学生(平均21.4歳)を対象に、以下の3つのパターンで各々9回ずつ腕立て伏せをしてもらいました。

  • 狭い(50%):肩幅の半分くらいの手の幅で腕立て伏せを行う
  • 普通(100%):肩幅くらいの手の幅で腕立て伏せを行う
  • 広い(150%):肩幅+半分くらいの手の幅で腕立て伏せを行う

で腕立て伏せ時の筋肉の活動を筋電図で測定して、パターンごとにどの部位が活発になっているか?をチェックしました。今回対象になった筋肉は、

筋肉の部位
  • 三角筋、鎖骨の肩峰、小胸筋、大胸筋、前鋸筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、広背筋、棘下筋

この辺りです。するとこの結果、パターンごとに活発な筋肉はこんな感じになりました。

結果
  • 狭い(50%):大胸筋、小胸筋、棘下筋、上腕三頭筋
  • 普通(100%):大胸筋
  • 広い(150%):前鋸筋

まとめると、肩幅より狭い腕立て伏せで胸から上腕、肩甲骨周り(ローテータカフ)の筋肉が活発になっていました。

しかも腕立てでメインの部位になる胸の「大胸筋」や「小胸筋」への効き目でみても、どうやら肩幅より狭めの腕立てがベストみたい。これは意外ですね。

この結果をどう受け取るか?は人それぞれですが、ポイントをまとめると次のような感じでしょうか。

  • 最も胸や上腕、肩甲骨周りまで効率よく鍛えられそうなのは肩幅より狭い腕立て
  • 大胸筋だけを集中して鍛えたいなら肩幅くらいの腕立て
  • 前鋸筋を集中して鍛えたいなら肩幅より広い腕立て

ただこの研究では対象の男子学生らの筋トレ経験が詳しくわからないので、初心者と経験者でどう変わってくるか?など細かい部分はハッキリしていません。

注意点・まとめ

では最後に今回のハイライトをまとめて締めましょう。

ポイント
  • 腕立ては負荷が揃えばベンチプレス同様に胸や上腕に効かせられる
  • 腕立ての手の位置は肩幅より狭いくらいが最も効率的だった
  • ただし初心者、経験者、性別の違いなど細かい要素によって結果は変わってきそうだ

こんなところでしょうか。腕立てでも十分効かせられる!という点とフォームで言えば手の幅は狭い方がいいかも!という点は押さえておくと良さそうですね。

赤羽(Akabane)

私も出先などでジムに行けない時や家トレでたまにプッシュアップは取り入れますが、ゆっくり上げ下げをしたり、しっかりやればかなり効くなぁと実感します。ただ筋力を鍛えるには自重以上の負荷も大切になってくるので、その場合はウェイトトレーニングの補助的な感じで取り入れるとよろしいかと思います。
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参考文献&引用

#1 Naoki Kikuchi and Koichi Nakazato. Low-load bench press and push-up induce similar muscle hypertrophy and strength gain. J Exerc Sci Fit. 2017 Jun; 15(1): 37–42.

#2 Kim YS, Kim DY, Ha MS. Effect of the push-up exercise at different palmar width on muscle activities. J Phys Ther Sci. 2016 Jan;28(2):446-9.